作用様式による分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 02:26 UTC 版)
内分泌で分泌された物質が、標的となる細胞にどのように到達し作用するかについて、本来の(狭義の)内分泌との対比から、以下のように分類される。 エンドクリン(内分泌、endocrine) 分泌された物質が、体液によって分泌した細胞から離れた器官に運ばれ、そこで作用する。 パラクリン(傍分泌、パラ分泌、paracrine) 分泌された物質が、分泌した細胞の近隣の細胞に作用する。 オートクリン(自己分泌、autocrine) 分泌された物質が、分泌した細胞自身に作用する。 ジャクスタクリン(接触分泌、juxtacrine) 分泌因子が膜結合型分子として細胞膜表面に提示され、隣接する細胞に作用する。 イントラクリン(細胞内分泌、intracrine) 細胞内に分泌された生理活性ホルモンが自身の核内受容体に作用する。 エンドクリンはホルモンなどに見られる機構であり、いわゆる内分泌の典型的な様式である。これに対して、パラクリンやオートクリンは神経伝達物質、オータコイドやサイトカインに見られる作用様式で、「外分泌/内分泌」という広義の分類ではいずれも内分泌にあたるが、その作用様式からはホルモンなどに見られる狭義の内分泌(エンドクリン)とは区別される。 ジャクスタクリンは受容体分子Notchのリガンド(Delta、Jagged)や種々のサイトカインの膜結合型前駆体などで見られ、膜結合型でも標的細胞に対する刺激作用を示すことから、分泌因子が液性因子として放出される他の分泌様式と区別して用いられる。多くのサイトカイン前駆体はshedding(ectodomain shedding)と呼ばれる切断により細胞外領域が細胞表面より遊離し、産生細胞と接していない標的細胞に対しても液性因子のサイトカインとして作用を示すことが可能になる。 また、分泌された液性因子が細胞外マトリックス(extracellular matrix; ECM)に捕捉され、その後ECMの分解により遊離して標的細胞にはたらく作用様式を特にマトリクリン(マトリクライン、matricrine)と呼ぶことがある。
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