中右記とは? わかりやすく解説

ちゅうゆうき〔チユウイウキ〕【中右記】

読み方:ちゅうゆうき

平安後期公家中御門(なかみかど)右大臣藤原宗忠日記寛治元〜保延4年(1087〜1138)の記事があり、院政期政治情勢有職(ゆうそく)などを知る基本史料。宗忠公記中右抄。愚林


中右記

読み方:チュウユウキ(chuuyuuki)

平安時代日記藤原宗忠著。


中右記

主名称: 中右記
指定番号 105
枝番 00
指定年月日 1986.06.06(昭和61.06.06)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 古文書
ト書 建長元年近衛兼経抄出奥書
員数 44
時代区分 鎌倉
年代
検索年代
解説文:  『中右記』は中御門右大臣藤原宗忠日記で、平安時代公卿日記中の名記として知られている。この陽明文庫はその鎌倉時代古写本で、本記である日次記四十四巻を存し、宗忠が正四位下侍従讃岐介、二十九歳であった寛治六年(一〇九二)秋記から正二位内大臣七十三歳長承三年一一三四春記に至る間を、途中断絶しながら、おおよそ十六年分収録している。
 体裁各巻ともほぼ同一で、いずれも巻子装になり、料紙楮紙用いその構成は、料紙界線施し方、書写時代などによって三種大別される。うち四十巻には天複地単罫の横墨罫があり、首には年記標記のあるものが多い。本文一紙二一二二行程度で一行二〇前後書写され、墨の書入加筆訂正傍注裏書、あるいはの首附などがみられるが、いずれも本文同筆親本のままに写した考えられる。さらに、このうち十三巻には岡屋関白近衛兼経抄出奥書があり、鎌倉時代中期頃に近衛家書写されたことが判明する
 嘉承二年秋冬巻は、天地単罫に横墨罫が引かれている。この一巻はもとは部類記一種であつたが、それを切継ぎして場合によっては年月日補筆し、日次記体裁したものである。
 また、長承三年一一三四)春、冬、同四年春の三巻天地とも単罫の横墨罫が引かれ筆跡体裁からみて鎌倉時代後期同一時の書写本考えられる
 この陽明文庫本は鎌倉時代書写になるまとまった古写本であり、その内容流布本本文をただし、あるいは欠を補うなど平安時代研究上に価値が高い。

中右記

読み方:チュウユウキ(chuuyuuki)

分野 日記

年代 平安後期

作者 藤原宗忠


中右記

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/18 21:50 UTC 版)

中右記』(ちゅうゆうき)は、藤原宗忠寛治元年(1087年)から保延4年(1138年)まで書いた日記である。宗忠は『愚林』と名付けたようだが[1]、「中御門右大臣の日記」を略して『中右記』と呼ばれる[2]

解説

応徳4年・寛治元年(1087年)、宗忠26歳の元旦から書かれた。初めから寛治5年(1091年)までは、元の日記をずっと後に整理して書き改めたもので、寛治3年(1089年)の分は本人、他の年は子の宗能が改稿した。その結果以降の時期と比べて簡略になっており、中でも寛治3年(1089年)の分がもっとも短くなった。改稿により原本は破棄された[3]

一部欠落はあるが、50余年にわたり政治上の要事を克明に書き留めた記録である。人の死亡時に六国史にあるような略伝を付けたのが日記では他に例のない特徴である[4]。当時の政治社会情勢や有職故実、人物像を知る上できわめて有用で、院政初期の基本史料である。

鎌倉時代の写本が宮内庁書陵部に所蔵されているほか、 江戸時代の写本が東山御文庫に収録されている[5]

災害の記録

見聞きした災害の様子が記述されており、規模や被害を推定する根拠の一つとなっている。

刊本

脚注

  1. ^ 矢野太郎「中右記解題」1頁。
  2. ^ 戸田芳実『中右記 はしがき』、3頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12239492/1/6 
  3. ^ 戸田芳実『中右記』、13 - 14頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12239492/1/11 
  4. ^ 矢野太郎『中右記解題』5頁。
  5. ^ 京都御所東山御文庫本および同別置本 画像公開書目一覧”. 東京大学 (2016年). 2025年2月18日閲覧。
  6. ^ 安田政彦『災害復興の日本史』p16 吉川弘文館 2013年2月1日発行 全国書誌番号:22196456
  7. ^ 『災害復興の日本史』p43
  8. ^ 『災害復興の日本史』p23

参考文献

  • 矢野太郎「中右記解題」、増補史料大成刊行会編『中右記 一』(増補史料大成9)、臨川書店、1934年。
  • 戸田芳実中右記 躍動する院政時代の群像』そしえて、1979年https://dl.ndl.go.jp/pid/12239492 
  • 松薗斉「藤原宗忠の家記形成」、『日記の家―中世国家の記録組織―』、吉川弘文館、1997年。初出1989年。
  • 杉本理「『中右記』の薨卒伝について」、『古代文化』45-1、1993年。佐々木令信編『中右記人名索引』上・下、臨川書店、1993年。
  • 吉田早苗「「中右記部類」について」、皆川完一編『古代中世史料学研究』下巻、吉川弘文館、1998年。
  • 杉本理「院政期貴族社会のネットワークについて―藤原宗忠と他の貴族間の交流を中心に―」、『古代文化』51、1999年。
  • 佐藤健治「『中右記』(藤原宗忠)―宗忠の見た白河院政」、元木泰雄・松薗斉共編著『日記で読む日本中世史』、ミネルヴァ書房、2011年。
  • 松薗斉「人生を仕上げた男―藤原宗忠『中右記』―」、『日記に魅入られた人々』、臨川書店、2017年。



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