一号御料車とは? わかりやすく解説

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一号御料車

主名称: 一号御料車
指定番号 123
枝番 0
指定年月日 2003.05.29(平成15.05.29)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 歴史資料
ト書
員数 1両
時代区分 明治
年代
検索年代
解説文: 明治十年一八七七二月五日行われた京都-神戸間鉄道開業式において、明治天皇乗車した現存最古御料車である。
 明治政府東京横浜間の鉄道開業次いで関西地方鉄道整備企図し、明治七年神戸大阪間の開通以後、同路線の延伸あたった本車両は京都まで開業にあわせ、明治九年に英国人技師スミスWalter Mackarsay Smith)の指導のもと、工部省鉄道神戸工場製作され木製二軸車【にじくしゃ】である。新橋横浜間の鉄道開業式では英国から輸入の上客車御料車にあてており、本車両が国産初の御料車となる。
 車体木製箱形で、大きさ当時一般客車より一回り大きく設計されている。台枠木製で、台枠の端ばりにねじ連結器緩衝器備えている。また前後車両ブレーキ指令伝え真空ブレーキ装置取り付けられているが、本車自体ブレーキ装置はない。台枠長手方向中央には、錬鉄製と思われる引張棒が縦通する。機関車からの引張荷重はねじ連結器から引張棒へと伝わり圧縮荷重緩衝器台枠が受けるが、これは鉄鋼材料引張荷重強く木材圧縮に強いという特性複合して利用したのである走行装置鉄鋼材料主体とし、一部木材の木混合製である。車輪はマンセルホイールと呼ばれる混合構造で、鋳鉄製の輪心とタイヤの間に、防音防振効果もたらすチーク材がはめ込まれている。また輪心にある鋳出銘文から、英国製であることが認められる
 外装は、車体腰板中央菊花紋章を抱く龍の図様配され御料車であることが明示されている。台枠側ばり外側軸受け上部位置には「弌【いち】」の文字付せられ、一号であることを示す。内装は、壁や天井絹張りにし、洋式調度菊花紋章あしらわれている。車体配色玉座室【ぎょくざしつ】を中央配する部屋割り室内調度など一八七〇年代英国調を基調としているが、玉座室の扉絵右近の橘左近の桜)や室内外の装飾にはわが国伝統的な図様技法用いられている。これらは全体として遺例少な明治初期工芸装飾伝える。
 なお、明治二十六年に鉄道庁新橋工場汽車監督方トレヴィシック(Francis Henry Trevithick)が作成した車両形式図面」の該当車両図から、本車両は明治中期以降大きな改変行われていないことが知られる
 明治二十二年に東海道線全通すると間もなく東京回送されたが、後継車両製作されたため、大正二年(一九一三)には廃車となった廃車後鉄道省大井工場構内御料車庫での保管経て昭和十一年(一九三六)に鉄道博物館現在の交通博物館)が万世橋移転するに際して現有帰した
 このように本車両は現存最古御料車として明治初期工芸装飾を今に伝え、さらに鉄道創業期客車車体構造知りうる唯一の遺例として、わが国交通史上に貴重である。



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