プロトン
名称:プロトン(Proton)
(プロトンK、ブロックD、プロトンM)
打ち上げ国名・機関:旧ソ連/インターナショナル・ロンチ・サービシズ社(ILS)
開発機関・会社:ソ連科学アカデミー
運用機関・会社:ロシア宇宙軍/インターナショナル・ロンチ・サービシズ社(ILS)
運用開始年:1965年7月16日(プロトン1宇宙実験衛星を打上げ)
打ち上げ場所:バイコヌール宇宙センター
プロトンは、1960年代初めから開発が始まった大型の打上げロケットで、2段型の原型機(アメリカでの呼び名はDまたはSL-9)により、3機のプロトン宇宙実験衛星が打ち上げられました。この衛星の名前から、ロケットの愛称はとられています。
その後、3段型のプロトンK(D-1、SL-13)に、4段目としてブロック−Dロケットを増設したプロトンK/ブロックD(D-1-e、SL-12)により、月探査機ゾンドやルナ、金星探査機ベネラなどが打ち上げられ、さらに、1968年にはプロトン4宇宙実験衛星、1971年にはサリュート宇宙ステーションがプロトンK単体で打ち上げられました。以後、プロトンKとその4段型は、実用化されたものとしてはロシア(旧ソ連)最大級の打上げロケットとして活用され、2000年には、国際宇宙ステーション用で使用される宇宙飛行士用の居住ブロックの打上げが予定されています。
実用化されたものとしては、世界的に見ても超大型の打上げロケットです。
1.どんな形をし、どんな性能を持っているの?
4段型のプロトンは、高度200kmの低軌道に20.6t、地球静止軌道への移行(トランスファ)軌道には4.4t、静止軌道への直接定置の場合には、1.9tの積載物(ペイロード)を運ぶことができます。
プロトンの1段目は、底まで燃料タンクになっている中心部の周囲を6基の大型ロケット・エンジンが囲んだ特有の形をしています。本体のまわりに別のブースターを並べたソユーズ・ロケットとよく似ていますが、方式としてはむしろ、外部に燃料タンクを備えたスペースシャトルに近いものです。
標準タイプの4段型の場合、1段目は、全長21.2m、胴体直径4.15m、全幅7.4m、発射時総重量は450.5t、6基のエンジンの総推力は1,067t。2段目は、全長14m、直径4.15m、総重量167.8t、推力244.7t。3段目は、全長6,5m、直径4.15m、総重量52.6t、推力は64.26t。4段目は標準型のブロックDの場合、全長5.5m、直径3.25m発射時総重量17.3トン、推力は8,760kgです。
1〜3段は、液体酸素/液体水素と違って比較的長い間、スタンバイ状態を保てるテトラニトロキシド(NTO)と非対称ジメチルヒドラジンを、4段のブロックDロケットは液体酸素とケロシンを燃料(酸化剤、推進剤)として用いています。
全体としては、全長65.8m、直径4.15mで、総重量745.5t、発射時の実効推力は902tに達します。
2.打ち上げや飛行の順序はどうなっているの?
発射の1.6秒前に1段目が点火、124秒の噴射ののち、第1段が噴射を停止、これを切り離す4秒前に2段目が点火、200秒の噴射のち、3段目に点火、3.5秒後に切り離しがおこなわれます。3段目は238秒間噴射、発射後約20分で4段目(3段型の場合は衛星)が分離されます。4段目のブロックDロケットは、打ち上げからおよそ55分で最初の噴射を開始、まず6.5分間噴射をおこない、静止軌道への移行軌道にペイロードを乗せます。ペイロードを直接、静止軌道に運ぶ場合には、5.5時間後、目標の高度に達したところで、やはり2.5分間の噴射がおこなわれます。
3.どんなものを打ち上げたの?
宇宙実験衛星、プロトンをはじめ、ゾンド4〜6、ルナ、ベネラ9といった惑星探査機や、サリュート1〜7、ミールなどの宇宙ステーション、さらにラドゥーガやゴリゾントといった静止軌道の通信衛星などの打上げに使われています。ソ連崩壊にともない、1996年の4月には、アストラ1−F放送衛星を皮切りに、一部民営化された宇宙開発機関RSCエネルギアと米国のロッキード社の合弁会社、国際打上げサービス(ILS)社によって、プロトンを使った、西側の衛星打上げの請け負いビジネスが始められました。
4.どのくらい成功しているの?
1999年12月時点での打上げ実績は269回、うち232回成功しています。成功率は86%です。
5.この他に、同じシリーズでどんな機種があるの?
現在、ILSとの共同により、静止軌道への移行(トランスファ)性能5.5t、静止軌道への定置性能3tのプロトンM型が開発されています。
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