フーガ イ短調とは? わかりやすく解説

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ショパン:フーガ イ短調

英語表記/番号出版情報
ショパン:フーガ イ短調Fugue a-Moll KK.IVc/2作曲年: 1841?年  出版年1898年  初版出版地/出版社Leipzig 

作品解説

2007年9月 執筆者: 齊藤 紀子

 1827年ごろまたは1841年頃の作品とされている。出版は、ショパン死後1898年なされた

 ショパンバッハ敬愛していたことはよく知られており、数多く作品対位法的な手法見られる。しかし、2分の2拍子イ短調書かれ、2声によるこのフーガは、ショパン諸作品の対位法的な箇所比べ比較簡素な構造をもつことから、弟子教育のために書かれ作品か、もしくは若いときの習作考えられている。主題は、属音から主音へと完全4度上行する旋律開始するため、作曲にあたっては、「変応」が要求されるまた、主題の各小節半音階的動き少なくとも1つ見られることは、バッハフーガ思い返すと、興味深いことに感じられる

Fryderyk Chopin “Minor works for piano” ed. I.J. Paderewski, L. Bronarski, J. Turczynski Warszawa : Instytut Fryderyka Chopina 1961


バッハ:フーガ イ短調

英語表記/番号出版情報
バッハ:フーガ イ短調Fuge a-Moll BWV 947出版年1847年  初版出版地/出版社Peters 

作品解説

2007年10月 執筆者: 朝山 奈津子

 19世紀出版譜(ライプツィヒペータース社によるバッハ鍵盤作品全集、グリーペンケルル校訂1847年刊)より古い資料いっさい失われているため、真贋疑われる作品初版となった校訂譜は、フォルケル所蔵の手稿譜に基づいて作られた。
 資料状況からバッハ真作であることを証明するのはきわめて困難である。が、様式書法が単純である、ということは偽作決定的な証拠にはならない。「フーガ」というタイトルはずしてみれば、《カプリッチョ》BWV993などと構造上の類似点見出せるからである。また、八分音符連打で上行する主題オルガン用の《幻想曲》BWV571ときわめてよく似ており、曲の後半で平進行伴奏風の和音多用されるところも、共通している。
 この曲には対比的3種動機見出せる。主題始まり確実に知らせ八分音符同音連打回音連ねて徐々に上行・下行する十六分音符、そしてダイナミックな分散和音である。分散和音は曲の終盤にようやく現れる。すると、それまで足踏みしながら少しずつ進んできた音楽一挙に広がり持って流れ出す。やがて伴奏も、それまでトゲのような前打音吸収して滑らかな四分音符連結昇華される。(このとき特に現代ピアノでは、和音鋭く、あるいは重くならないよう注意しなければならない。)
 フーガしてみればこのような構成あまりに単純に過ぎるのだが、闊達なリズムをよく生かした簡潔愛らしい作品である。


バッハ:フーガ イ短調

英語表記/番号出版情報
バッハ:フーガ イ短調Fuge a-Moll BWV 958作曲年: 1710?年 

作品解説

2008年6月 執筆者: 朝山 奈津子

 後代資料のみによる伝承と、やや拙い音楽内容から、疑作とされている。
 主題同音反復テンポの違う3つの動機を含む。こうした主題は、聴き手にとっては逃すことのない判りすいもの作曲家にとっては多声部との組み合わせが容易で扱いすいものとして、古いフーガ教程理想的主題教え種類のものである。しかし、この作品全体響き古風と言うよりはむしろ、ヘンデルのような明る柔軟性をも備えてバッハよりやや後の時代音楽思わせるまた、声部書法厳格に守られず、4つめの声部処々現れては消えてしまう。さらに、バッハ円熟期フーガに必ず現れる中間の完全終止は、この曲では全体の5分の4を過ぎたところでようやく発生する。しかもG-Durという遠隔の調であるので、残り12小節主調へとうまくまとめるには、やや展開を急がねばならなくなった
 バッハ他の作品比べてみると、摸続進行や平進行単純な反復が目立つ。真の作者明らかでないが、おそらくそれはJ. S. バッハではない。とはいえ、ここにはバッハあまりに精緻なフーガ作品にないのびやかさと、氾濫する常套句ゆえの安心感とがある。演奏技術それほど要求しないので、フーガ練習用としても親しみやすい作品である。


バッハ:フーガ イ短調

英語表記/番号出版情報
バッハ:フーガ イ短調Fuge a-Moll BWV 959作曲年: 1710?年 

作品解説

2008年6月 執筆者: 朝山 奈津子

 これがバッハの作ではあり得ないことは音楽内容から明らかである。しかし、この作品音楽的に拙い」と断定するのは、必ずしも正しくない。〈フーガ〉としてみれば確かに対位法的展開はおろか声部書法ままならないようであるし、ポリフォニーとは相容れないような三和音連続や摸続進行などを多用するそもそも主題からして対位法的展開に向いているとは言い難い
 しかし、フーガ主題率いる各セクションまとまりは明確であり、結部で次の主題入り準備する。その和声進行音域変化緊張感ドラマティックですらある。この作品フーガというよりはむしろ、フーガ書法用いた小品、というべきであろうし、そのようにみれば、各部であっさりと使い捨てされる音型は――展開が足りないではなく――むしろ創造力富んでいるということできよう


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