ビタミンの発見とは? わかりやすく解説

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ビタミンの発見

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 08:01 UTC 版)

鈴木梅太郎」の記事における「ビタミンの発見」の解説

1910年明治43年6月14日東京化学会で「白米食品として価値並に動物脚気疾病に関する研究」を報告した。この報告では、ニワトリハト白米飼育する脚気同様の症状出て死ぬこと、糠と麦と玄米には脚気予防して快復させる成分があること、白米いろいろな成分欠乏していることを認めた。糠の有効成分に強い興味をもった鈴木は、以後その成分化学抽出目指し努力した同年12月13日東京化学会で第一報報告し、翌1911年明治44年1月東京化学会誌論文「糠中の一有効成分に就て」が掲載された。特に糠の有効成分(のちにオリザニン命名)は、抗脚気因子とどまらずヒト動物生存不可欠な未知栄養素であることを強調し、後の「ビタミン」の概念をはっきり提示していた。 ただし、その論文ドイツ語翻訳されたとき、「これは新し栄養素である」という一行訳出されなかったため、オリザニン世界的な注目を受けることがなく、第一発見者としては日本国内知られるのみとなってしまった。なお、上述した糠の有効成分は、濃縮して樹脂状の塊(粗製オリザニン)を得たものの、結晶に至らなかった。1912年明治45年)、ドイツの『生物化学雑誌』に掲載され論文で、ピクリン酸使用して粗製オリザニンから有効成分分離製出、つまりオリザニン結晶として抽出したこと、その方法などを発表した(ただしニコチン酸を含む不純化合物であり、純粋単離成功するのが1931年昭和6年))。 1911年10月1日オリザニン発売したものの、都築甚之助の精糠剤アンチベリベリン(同年4月アンチベリベリン粉末丸などを販売同年9月注射液を販売)がよく売れたのに対し、なかなか医学界受け入れられなかった。8年後の1919年大正8年)、ようやく島薗順次郎初めオリザニン使った脚気治療報告行った当時国内脚気医学は、いくつかの争点めぐって混乱していた。たとえば、「米糠ヒトの脚気に効くのか効かないのか」という点である。「米糠の効否」について意見分かれた最大要因は、糠の有効成分ビタミンB1)の溶解性にあった。糠の不純物取り除いて有効成分純化するためにはアルコール使われていたが、アルコール抽出法では糠エキス剤のビタミンB1微量しか抽出されなかった。そのため、脚気患者特に重症患者に対して顕著な効果上げることができなかったのである通常の脚気患者は、特別な治療をしなくても、しばらく絶対安静にさせるだけで快復に向かうことが多かった)。したがってオリザニンなどビタミンB1微量の製糠剤では効否を明確に判定することが難しくさまざまな試験成績は、当事者主観で「有効」とも「無効」とも解釈できるような状態であったまた、糠の有効成分化学実体不明であったでも、脚気医学混乱していた。アンチベリベリン(都築)、ウリヒン(遠山椿吉)、銀皮エキス(遠城兵造)、オリザニン鈴木梅太郎)、ビタミンフンク)のすべてがニコチン酸を含む不純化合物であったその中でオリザニンは、純粋単離成功するのが販売され20年後の1931年昭和6年)であり、翌1932年昭和7年)、脚気研究会香川昇三がオリザニンの「純粋結晶」は脚気特効のあることを報告した。 しかし、それでも脚気は、一般人にとって難病であった国民脚気死亡者は、日中戦争拡大などにより食糧事情悪化するまで、毎年1万人から2万人で推移した日本の脚気史#概要参照)。その理由として、ビタミンB1製造天然物質からの抽出頼っていたために値段高かったこと、もともと消化吸収率が良くない成分であるために発病後摂取による治療が困難であったことが挙げられるその後も、アリナミンとその類似品社会浸透する1950年代後半まで、毎年1千人上の脚気死亡者が出ることになる。 なお、上記で「ビタミンの発見」としたが、鈴木発見したのは正確にチアミンビタミンB1)である。ビタミンとは微量必要な栄養素のうち有機化合物総称として現在は定義されている。ビタミン初め抽出したとして世界的に知られるのはカジミール・フンクであり、ビタミンの名称は彼の命名よるものとされるが、実際にフンク命名は"vitamine"であり、ビタミン複数栄養素総称定義し直されるにあたって"vitamin"と綴り変えられた。

※この「ビタミンの発見」の解説は、「鈴木梅太郎」の解説の一部です。
「ビタミンの発見」を含む「鈴木梅太郎」の記事については、「鈴木梅太郎」の概要を参照ください。

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