パイソンズ最大の問題作
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/06 01:21 UTC 版)
「ライフ・オブ・ブライアン」の記事における「パイソンズ最大の問題作」の解説
『ライフ・オブ・ブライアン』は基本的に古典的な笑劇であり、テリー・ジョーンズ演じるブライアンの母親の次の台詞にそのことはうまく表されている。「私の息子はメシアなんかじゃないって言っているだろう。あんな言うこと聴かない愚かもんなんだから」。このブライアンの母親の台詞にも拘らず、この映画は様々な評価を受け、偽善的行為と宗教的狂信を含んだ喧騒としての組織された宗教への痛烈な批判とも、また「検閲されるに値する」宗教への冒涜だとも、または単にとても面白い映画だとも言われた。 この映画はまた、1970年代の左翼グループたちをこき下ろした、とも言われる。なぜなら映画では幾つもの派閥が、名目上はユダヤのローマ帝国による占領に対して同じように抗議しているが、実際にはお互いに運動の覇権を争っているからである。(例としては、「ユダヤ人人民戦線(Judean People's Front)」、「ユダヤの人民戦線(People's Front of Judea)」、「(メンバーが一人の)ユダヤの民衆戦線(Popular Front of Judea)」がある。) またこの映画は、マイケル・ペイリンとグレアム・チャップマンが演じる言語障害のある人物の描写についても批判を受けた。しかしペイリンは、これはただ単に面白おかしさのためだけである、と主張した。事実、彼の父親は軽い言語障害があり、また彼自身「どもり障害に対する専門家の診察とセラピー」を提供するThe Michael Palin Centreへ彼の名前を冠した。しかし、多くの論議を呼んだのは、映画の中での冒涜の罪による「石投げの罰」のスケッチのようなものに代表される、映画の中の冒涜的と考えられた描写であった。 この映画の冒涜的とも見られる描写は、この映画に対する抗議を引き起こす結果となった。とくに映画が、磔刑に処せられている受刑者たちが口ずさむコミカルな歌「Always Look on the Bright Side of Life」(意:人生の輝かしい面を見ようよ)で締めくくられる事について抗議が集中した。皮肉な事に、この歌は後にサッカーファンによって口ずさまれ、そして再びリリースされて大成功を収め、イギリスの国民的ポピュラーソングの一つとなった。この映画を冒涜と見る人々もいたが、大多数の人々は、もっとこの映画を楽天的に、またブライアンの人生がこの世での人生をうまくまとめあげている、と見た。 初めはイギリスで公開されたが、いくつかの町では町議会によって公開が禁止された。しかし、この映画を見たい人は公開が禁止されていない町に行ったため、このことは有効な手段とはいえなかった。IMDb(外部リンク参照)によると、この映画はノルウェーでは一年、アイルランドでは八年ほど公開が禁止された(ノルウェーの隣国スウェーデンでは「この映画は面白すぎるがためにノルウェーで公開禁止されたのだ!」と宣伝された)。またイタリアでは1990年まで公開されなかった。映画が作られてから実に11年後のことであった。 またエリック・アイドルによる即席のコメントに対しても、この映画が冒涜だとする抗議は行われた。彼は次のパイソンズの作品のタイトルは何かと聞かれ、『イエス・キリスト:栄光への欲望』と答えた。しかし、このアイデアはただ単に、これからについて思い巡らせた時の昔のものであり、イエスの人生のパロディはうまく作れないだろうと結論付けられ却下された、とその後報じられた。その後、批判の焦点はほぼ同時期に生まれた別個の個人に向けられ(多くの抗議者たちは、イエスがブライアンとは別に映画内で現れた事を理解していない)、そして伝説は生まれた。イエスが映画内で現れた時(馬小屋の場面とその後「幸福についての説教(Beatitudes)(『マタイによる福音書』 5: 1-48)」を話している時)は、イエスは本当に真摯に演じられている。つまりコメディとしてのこの映画は、群衆の一部がイエスの言っている言葉「祝福されるは平和を創る者であり…」を聞き間違えた所から始まるのである。イエス・キリストがブライアンとは別に現れたこと、そしてはりつけの刑がローマ時代に比較的よく使われていたことを考慮すれば、ブライアンがキリストに例えられているという非難は的外れであるとわかる。 メアリー・ホワイトハウス(Mary Whitehouse)とほかの運動家はリーフレット配布により反対を表明し、またこの映画を上映している映画館を柵で囲んだが、このことは皮肉にも観客を増やす結果となった。リーフレットは、「東方の三賢者は馬小屋を間違えなかった(映画では彼らは間違えてブライアンが生まれた馬小屋に入ってしまう)」などということを主張していた。その他のこのような意見は書籍『Monty Python: The Case Against』に納められている。モンティパイソンのメンバーのうち二人はこの映画についての議論の場にも現れたが、落ち着いた議論にはならず、それどころか抗議が激しくなったと噂された(これは後にBBCのテレビ番組『Not the Nine O'Clock News』で「ライフ・オブ・パイソン」スケッチとして面白おかしく真似された)。 ブライアニズムは基本的に個人的人間主義の教義である: ブライアン(彼を賛美する群衆に向かって):君たちはみんな個人個人なんだ。君たちはそれぞれ自分達のためにやりなよ!君たちはみんなそれぞれ違う人間なんだ! 群衆(みんなで一斉に):そうです!私たちはそれぞれ違う人間、個人個人です! 群衆の中の一人:いや、わしは…。 群集:シーーーッ! 映画ではモンティパイソンのメンバーはそれぞれ何度も違う役で出てきて、またカメオ出演にはスパイク・ミリガン(この映画がチュニジアで撮られた時たまたま休暇で来ていた)とジョージ・ハリスン(映画のもともとのスポンサーが、この映画の内容に難色を示しスポンサーを辞めたとき、ジョージ・ハリスンはハンドメイド・フィルムズを設立し、資金提供を手助けした)がいる。
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