トレーサビリティ
トレーサビリティは「(食品の)移動を把握できること」を意味する英語由来の表現。「追跡可能(性)」と訳されることも多い。もっぱら、食品等の流通・品質管理の分野において、商品の生産過程や流通過程が流通・製造・原料の飼育や栽培に至るまで遡って追跡できること、および、そのためのシステムを指す意味で用いられる用語。
トレーサビリティは、かつて食品の産地偽装や異物混入といった問題が多発し、社会問題化していた際に、その必要性が認識され、導入・整備が進んだ経緯がある。
トレーサビリティ(のシステム)により追跡可能な一連の行程、および、その各段階における仕様を、方眼紙様の表にまとめた体系図が、トレーサビリティマトリクスと呼ばれる。
トレーサビリティマトリクスは、商品の製造工程はもちろん、包装の材料やラベルの印刷工程、印刷用のインク等、あらゆる工程を記入対象とする。そのように厳密に把握・管理することにより、あらゆる段階で発生しうる問題の追跡や管理にも役立ち、仕様変更も行いやすくなる。
食品トレーサビリティでは、原料の入手経路、農産品の栽培基準、農薬の使用基準と実際に使用した実績、種苗の入手経路や栽培土壌なども体系図に組み込まれ管理される。畜産物なら飼育基準や加工基準が、海産物なら漁獲地や、養殖に使われる薬剤が、トレーサビリティシステムマトリクスに含まれることになる。
トレーサビリティ
英語:traceability
トレーサビリティ(英: traceability)とは、商品の生産・流通過程が追跡可能であること、および、生産・流通の履歴を正確に記録・管理するシステムのこと。
英語のtraceabilityは動詞のtrace(跡を辿る)に接尾辞-ability(可能である)が付いた形容詞である。日本語では「追跡可能性」という訳語が用いられる場合も少なくないが、単に追跡できるかどうかに留まらず、追跡のための履歴の記録や管理体制までを包括した表現として用いるためにも、英語をそのままカタカナ表記にした「トレーサビリティ」という言い方が用いられることが多い。
「生産履歴」という生産・流通過程の記録を意味する用語もあるが、トレーサビリティはその記録を残す体制をどう構築するか、その記録をどれだけたどれるか、という概念である。
トレーサビリティは、食の安全の観点から、特に食品流通の分野において重視されるようになった。例えば、2003年に、牛海綿状脳症(BSE)や偽装表示の問題を受けて牛トレーサビリティ法が制定・施行され、牛肉の生産加工・流通履歴の管理が義務化されている。各事業者が食品を取り扱った記録を作成・保存しておくことにより、食中毒などの健康被害が生じた際に、問題を含む食品がどこから来たのかを調べたり(遡及=トレースバック)、どこに行ったか(追跡=トレースフォワード)を調べたりすることができる。
工業製品の生産・流通、家電製品等のリサイクル過程においても、トレーサビリティが求められるようになっている。
使用例:
一つ一つ番号で管理される宅配便は、トレーサビリティが高い。
完璧なトレーサビリティの構築には、関わる企業・個人のモラルが欠かせない。
トレーサビリティー【traceability】
トレーサビリティ
トレーサビリティ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/17 16:02 UTC 版)
2016年9月現在、連邦レベルでのトレーサビリティのシステムは存在しない。2003年の牛海綿状脳症(BSE)の初発生の際に、アメリカ合衆国農務省は2004年に全国家畜個体識別制度(NAIS)を導入して段階的に義務化する方針だった。しかし、コストや報告義務の負担増から特に肉用牛生産者から反発を受け、アメリカ合衆国農務省は2010年にNAISを廃止して新制度を検討することになった。2013年に家畜の州間移動に関するトレーサビリティ(Traceability for Livestock Moving Interstate)が導入されたが、疾病対策が主で、州を移動する家畜についての育成からと畜までの管理に限定されている。
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トレーサビリティ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 09:54 UTC 版)
「牛肉トレーサビリティ法」を遵守し、牛の情報を記録し、いつでも確認できる状況にしておくこと。
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トレーサビリティ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/02 17:16 UTC 版)
標準器による較正を受けた測定器を用いて、適切な対象を測定し、その値付けを行うことによって、別な標準器とすることが可能である。当然、その標準器によって更なる較正を行うことができる。このように較正は、厳密に定義された国家標準などをおおもととし、測定器と標準器とを介して、段階的に連鎖する測定の体系を構築するものである。この較正の連鎖をトレーサビリティと呼ぶ。また、このような較正体系を図式化したものを、トレーサビリティチャートと呼ぶ。 詳細は「トレーサビリティ (計測器)」を参照
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