社会問題化
社会問題化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/10 06:10 UTC 版)
孤独死とされる現象は明治時代には新聞報道されることがあったが「孤独死」という表現があったわけではない。孤独死に相当する事件は具体的名称に欠くものの明治時代より報道されている。 「孤独死」の概念は高齢化社会に突入した1970年代に誕生したもので、1995年以降は阪神・淡路大震災の被災者の孤独死がメディアで取り上げられて注目されるようになった。さらに2000年頃からは日常の社会問題として孤独死問題が頻繁に取り上げられるようになった。 NHKの取材によると、日本で誰にも看取られることなく死にゆく無縁死者数は年間32000人(2010年取材)にも上る。 遺品整理の第一人者横尾将臣は、孤独死の多くの現場を見た経験から、「孤独死のほとんどは、亡くならなくてもいい人が亡くなっている」と感じるようになり、苦痛を心身ともに抱えて追い込まれながら生きている者が眼前にいても、近隣でそのSOSを察知するコミュニティがないことに問題があると考え、孤独死や「ゴミ屋敷」で暮らす者達は、程度の差こそあれ自分自身の生活や行動を管理できない状態に陥った「セルフネグレクト(自己放任)」である点で共通しているとしている。 老老介護(高齢者がその親を介護している事例)において、介護していた側が急病などで突然死し、副次的に動けない要介護者側が死亡する場合も確認されている。 老老介護の問題などにも関連して、必ずしも一人暮らしであることだけが孤独死の要因とはいえない。2011年1月に大阪府豊中市で発生した元資産家姉妹のケース(→大阪元資産家姉妹孤独死事件)のように、一人暮らしではないが周囲の社会との連絡がなく孤立化、滞納を続けた相続税・固定資産の支払いやマンション経営失敗にともなう多額の借金などによって経済的に困窮した結果、餓死に至った事例も「典型的な孤独死」と呼ばれている。 同居孤独死(同居人の死に気が付かずに放置してしまう事例)において、同居しているにもかかわらず親の死に子供が気が付かなかった場合も確認されている。典型的なケースとして、「8050問題」を背景とした事例が見られる。 平成21年から23年にかけて「地域福祉推進市町村」に指定された全国58の市区町村においてモデル事業である「安心生活創造事業」が実施された。この事業では「悲惨な孤立死、虐待などを1例も発生させない地域づくり」を目指した取り組みが行われた。
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