スピリチュアルな癒し
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 02:14 UTC 版)
「アロマテラピー」の記事における「スピリチュアルな癒し」の解説
精油の医療への利用は、第一次世界大戦時にフランスのガットフォセなどにより再評価され、精油の薬効の科学的研究が行われた。それと同時に、精神に関わる形而上学的な領域にも取り入れられた。アロマテラピーを世界的に流行させるきっかけになったロバート・ティスランドは、中国思想や西洋占星術の影響を受けており、その著作にはニューエイジ的な神秘思想が見られる。ヨーロッパの錬金術では、蒸留により植物から精髄(クィンタ・エッセンチア、第五元素、エーテル)として精油の抽出を目指しており、現在でも精油を植物の力や波動を宿す神聖な医薬品と見なす考え方がある。アロマセラピストには、花の「活気」(バイブレーション、振動という言葉も好まれる)は、化学的な方法では殺されてしまうが、錬金術師が第五元素(エーテル)を抽出するために用いた水蒸気蒸留法で精油を抽出すれば保つことができると信じる人もある。 ヴェルナーは、中世ヨーロッパの錬金術への憧れは、近代医学に対する不満とニューエイジの神秘思想からきていると指摘している。ヨーロッパ伝統医学における占星術的な身体観(獣帯人間)や植物の解釈、アーユルヴェーダ(インド伝統医学)のチャクラや中国医学の五行といった理論、宝石療法や波動理論などを取り入れた、スピリチュアルな癒し(心霊治療、波動療法、エネルギー療法)としてのアロマテラピーもある。精油を使って心身だけでなく魂、サトルボディ(微細身、エネルギー体、霊体)の健康を目指すスピリチュアルな施術者もいる。ただし、スピリチュアルな解釈を重視し科学的研究を軽視または無視する施術者も存在するため、精油による中毒や副作用などの問題が起こる可能性もある。 ドイツの神秘思想家ルドルフ・シュタイナーの世界観を背景とし、西洋医学に基礎を置いた代替・補完療法である人智医療(アントロポゾフィー医学、シュタイナー医学)・看護は、1900年代初頭にスイス・ドイツを中心に発展したが、このケア技術の一つに精油を用いた療法がある。リズミカルマッサージ(ドイツ語版)を前身とするリズミカルアインライブング(独語:Rhythmishe Einreibung)と呼ばれる療法は、「アロマオイルや軟膏を定型フォルムに添ってリズミカルにケアリングタッチで皮膚に塗擦するケア」で、シュタイナーと協働していた医師イタ・ヴェーグマン(ドイツ語版)が創始した。その源流はスウェーデン式マッサージにあるとされているが、マッサージと異なり、筋肉を揉みほぐすのではなく主に軽擦法を用いてオイルや軟膏を皮膚に塗布しなじませることを主眼とする。加えてリズミカルな手技によって人間の自然治癒力の回復を促すケア技術であるといわれている。「四構成要素モデル」(人間を自然界の四つの基本存在の特質である物質(鉱物)・生命力(植物)・心(動物)に加えて精神を持つホリスティックな存在と考える)と、「三層構造モデル」(人間を「頭部:神経 - 感覚システム」「胸部:リズムシステム」「腹部:四肢 - 代謝システム」の三層の機能モデルで捉えて、健康とは「両極のバランス維持」であり、中間にあるリズムシステムが両極の調和を図ると考える)という人智医療の理論に基づいている。痛みの緩和や呼吸の改善、健康感上昇、信頼感・安心感の形成、集中力強化などの効果があるとされ、また「共に癒されるケア」「看護の質を耕すケア」「孤独を癒し愛を伝えるケア」としての可能性を持つケア技術でもあるという。
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