スピリチュアルな痛み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/28 00:46 UTC 版)
「スピリチュアルケア」の記事における「スピリチュアルな痛み」の解説
『ターミナルケアマニュアル』は、スピリチュアルな痛みに関しておよそ次のようなことを述べている。 病は(しばしば、本人にとって)何の前ぶれもなくやってくるものであり、因果関係がはっきり判らずその説明がされない疾病も多く、そういった場合は当然のことながら「わたしだけがなぜこんなに苦しまなければならないのか」といった問い、自分の苦難の存在に関する問い・苦痛、が現れてくる。また、死を覚悟しなければならない病状になったり、他人の世話にならなければ生きることができなくなった場合、「私の人生はいったい何なのだろうか?」といった問い、生きる意味に関する苦痛が生じる。病気の状態だとしばしば、孤独感や罪責感という苦痛にさいなまれることも多く、また永遠に家族と別れなければならないと感じるので別離の予測に伴う苦痛もあり、また死後の世界のことを考える際に苦痛を抱くこともある。これらの苦痛は、単なる精神的な痛みというよりも、むしろそれを超えた"魂の叫び"、自己存在の根本的な意味や価値に関わる、より深いレベルの痛みと捉えることができる。これらは、「スピリチュアルな痛み(霊的な痛み)」と呼ばれる。これは、特定の宗教に属する人に現れるような痛みではなく、全ての人間に現れる痛みだと言われている。 スピリチュアルな苦痛を感じている状態に対しては、(万人に通用するような)ただひとつの援助方法というものは存在しない。スピリチュアルな苦痛を癒すには、人間対人間の人格的な交わり、心の交わり、あるいは信仰心といったものが必要である。スピリチュアルな痛みは、単純に宗教家だけいれば癒されるというわけではなく、むしろ患者に関わる全ての人との関係によってはじめて癒されるものなのである。
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