ジョージ・メイソンとナッシュケルビネーター
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「ナッシュ・モーターズ」の記事における「ジョージ・メイソンとナッシュケルビネーター」の解説
ケルビネーター社は1930年代当時の米国で高級冷蔵庫、高級キッチン器具の代表的メーカーであった。 チャーリー・ナッシュは1930年代中期に事業から引退することにしたが、この時、ケルビネーター社を経営していたジョージ・W・メイソンを後継者に選んだ。 メイソンはこれを受託したが、一つの条件を提示した。ナッシュがケルビネーターの大株主となることだった。一見極端な業種違いであったが、ナッシュ社側もこれを受け入れ、合同が成立することになった。 1937年1月4日にナッシュ社とケルビネーター社は合併、ナッシュ=ケルビネーター・コーポレーションとなった。ナッシュはナッシュ=ケルビネーター社の自動車のブランド名となった。異種企業同士の合併としてはそれまでの最大の合併だった。 ナッシュ=ケルビネーター社成立後のナッシュ車の新技術採用攻勢は目覚ましいものがあった。 ケルビネーターとナッシュのそれぞれの技術を生かし、1938年には自動車用の任意温度設定可能な暖房(ヒーティング)/換気(ベンチレーション)システムを発表した。外気を取り入れ、エンジン冷却水の廃熱を利用し温風を供給する自動車用ヒーターとして最初のものであり、現代の自動車用ヒーターで用いられている技術のベースとなった。1939年にはこの「コンディションド・エア・システム("Conditioned Air System")」にサーモスタットを追加し「ナッシュ・ウェザー・アイ(Nash Weather Eye)」と称される有名なヒーターが誕生した。 同じ1938年にはスチュードベーカー社、グラハム社と共に、エバンス・プロダクツ・カンパニー製のオートマチック・バキューム・シフトを装備した。これはバキューム(エンジン吸気によって産み出される吸気管の負圧)動力利用のギアシフトで、フロアから伸びるシフトレバーをなくした初期の試みの一つである。ダッシュボードのラジオのすぐ下に小さなギアセレクトレバーが装備された。 1939年から1940年の流線型ボディはジョージ・ウォーカー・アンド・アソシエーツおよびフリーランスのボディ・スタイリスト、ドン・モートルードがデザインしたものだった。ラファイエット、アンバサダー・シックス、アンバサダー・エイトの3シリーズでこのデザインを展開した。 1940年型からは、コイルスプリングによる前輪独立懸架と、シールドビームヘッドライトを投入した。 1941年式ナッシュ 600は米国製自動車で大量生産された初のモノコックボディ車となった。独立フレーム上に別体のボディを載せる在来構造の自動車に比べ軽量となり、また、空力抵抗も減少したため、燃費が非常によくなった。「600」という車名は20ガロン(75.7082リットル)のガソリンタンクで600マイル (966 km)走行可能なオーバードライブ機能を装備していたことにちなむものといわれている。1942年から1948年まではフロント、内装、クロームのトリムが改善された。大型のアンバサダーモデルではボディオンフレーム構造のまま600と同型ボディを使用していた。 1942年以降はアメリカの他メーカーと同様、第二次世界大戦の軍需生産のため一般向けの乗用車生産を中止した。 終戦に伴い、乗用車製造は1945年10月27日に再開、アンバサダーのセダンモデルがアセンブリーラインをラインオフした。アメリカ車の戦後生産再開モデルの例に漏れず、完全なモデルチェンジはまだ無理で、グリルやモールの小変更ができたに留まり、より長くよりスリムになったアッパーグリルバー、そしてロワーグリルの中央部以外に1942年型との違いはなかった。 直列8気筒アンバサダーは1946年に復活した。大型のアンバサダーエンジンはメインベアリング7個の234立方インチ(ci)6気筒の112bhp(ブレーキ馬力)だった。1946年型としてナッシュは木製ボディフレームと木製パネルを使用したボディを載せたサバーバンを投入した。クライスラーのタウンアンドカントリー(1990年以前)やフォードのスポーツマンと同様の仕様で、当時の流行を追ったウッドパネルボディのモデルだった。サバーバンは1947年型、1948年型と続き、3年間で1000台が生産された。1948年にはアンバサダーコンバーチブルが復活し1000台が生産された。
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