シンエイ動画時代
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こうして再出発したシンエイ動画は社屋を田無市北原町へと移転し、その際には仕上部門を切り離し作画スタッフも大幅に削減して経営をスリム化している。この時に独立した作画スタッフが設立したものが亜細亜堂等のスタジオである。なお、小山が率いた美術部門は小山自身が独立した形で、早くに廃している。そして東京ムービーに在籍していた楠部三吉郎は専務取締役としてシンエイ動画へと移籍し、兄の大吉郎と共に経営を支えた。またAプロからシンエイ動画として独立した記念として東京ムービーが持っていた『ドラえもん』の映像化権を、藤岡から譲渡されたという逸話がある。 東京ムービーから独立後のデビュー作は、PR用の短編映画『草原の子テングリ』(1977年)であった。しばらくは他社のグロス請けなどをこなしたのち、1979年にはテレビアニメ『ドラえもん』を苦心の末、再びアニメ化にこぎ着ける。このシンエイ版『ドラえもん』の成功が、シンエイ動画の経営上の礎となった。 そして業務拡大のため、1982年には社屋を田無市南町に移転。一部のスタッフは旧スタジオに残り、あにまる屋(現: エクラアニマル)を設立した。そして1980年代を中心に数多くの藤子不二雄作品や『月刊コロコロコミック』連載作品などを中心に次々とアニメ化し、これらはテレビ朝日系を中心に放映された。1992年には田無市本町に社屋を新築し移転。この青い塗装のビルは同社の経営を支えた『ドラえもん』に感謝を込め『ドラえもんビル』という愛称がある。同年にはテレビアニメ『クレヨンしんちゃん』がスタート。 2003年1月には、テレビ朝日がシンエイ動画の10%の株式を取得し資本提携する。2009年4月よりテレビ朝日がシンエイ動画の株式の大半を取得し、テレビ朝日の連結子会社になった。岩永惠が新社長に、楠部が代表取締役会長へ就任した。2010年10月15日、楠部が保有する株式をテレビ朝日が追加取得したことによりテレビ朝日の100%子会社となった。2002年からテレビ朝日がケーブルテレビ・スカパー!、スカパー!プレミアムサービス、他で展開する通信衛星テレビ放送局・「テレ朝チャンネル」で、シンエイ動画製作作品(初回放送時にテレ朝系列でない作品を含む。)を集中的に取り上げる「シンエイアニメシアター」という番組が毎日放映されている。 2009年11月には旧社屋の北西方向、東京都道5号新宿青梅線旧道(青梅街道)沿い(西東京市田無町3丁目)に青い塗装の新社屋を落成、入居を開始した。旧社屋はしばらく空きテナントとなっていたが、2011年(平成23年)に社会福祉法人檸檬会がビルを借り上げ、「レイモンドたなしほいくえん」に転用された。 2012年7月、代表取締役社長に梅澤道彦常務が昇格し就任した。また別紙博行専務が代表取締役専務に昇格した。梅澤社長は、前任の岩永同様にテレビ朝日からの出向であった。 2015年、別紙が代表取締役を退任し、梅澤が単独で代表取締役を務める。 2016年にはアスミック・エース、トムス・エンタテインメント、ジェイアール東日本企画、住友商事と共にアニメ製作プロジェクトチーム「あにめのめ」を立ち上げる。シンエイ動画はトムスと共同でアニメ企画・制作を担当し、2018年の枠消滅まで『笑ゥせぇるすまんNEW』『からかい上手の高木さん』など5作品を手掛けた。 2017年4月、SynergySPを子会社化。同社の代表は元取締役・チーフプロデューサーの増子相二郎が就任した。 2018年からは企画開発部門を強化する。これまでテレビ朝日プロデューサーとして数多くのシンエイ動画作品に携わってきた杉山登を執行役員として招聘し、外部クリエイターや制作会社と提携してコンテンツを共同製作する体制を作る。2019年には81プロデュースとのコラボレーションによるYouTubeプロジェクト『What 声 You?』を立ち上げ、同プロジェクトを通して『アイドールズ!』に出演する新人声優を発掘した。また、2021年1月に放映されたストップモーション・アニメーション『PUI PUI モルカー』はスタッフの想定を超える反響を呼び、新たなIPビジネスの活性化に貢献した。同年より、シンエイ動画が9月9日に創立45周年を迎えることを踏まえ、4月9日から1年間を45周年イヤーと位置づけると共に、旧東映動画→東映アニメーションのインスピレーションにより社名とは別に「シンエイアニメーション」のロゴが採用された。 2021年11月、デジタル作画によるアニメーション制作需要に応えることを目的にギャザリングホールディングスと共同でデジタル作画スタジオを東京都中野区に設立することを発表した。スタジオの運営はギャザリングホールディングスの子会社であるレスプリが担当し、新規アニメーターの採用、育成は同社とシンエイ動画が共同で行う。 2022年9月、関西圏での人材獲得並びに新人アニメーターの育成などを目的として、兵庫県神戸市にスタジオを開設することが同年5月に同市から発表された。東京以外に拠点を置くのはこの事例が初めてとなる。
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