サティ_(チェーンストア)とは? わかりやすく解説

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サティ (チェーンストア)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/20 03:17 UTC 版)

茨木サティの看板
マイカル茨木

サティ(SATY)は、かつてマイカルが運営していた商業施設である。総合スーパー(GMS)と百貨店の中間業態を標榜し、従来の総合スーパーよりも高級志向を打ち出した「生活百貨店」と位置づけていた。

「サティ」のブランド名は、"Select Any Time for Yourself"(どんなときでも自分のために選び吟味する)のイニシャルを取って命名された[1][2]

2011年3月1日ジャスコポスフール(旧:マイカル北海道)との統合に伴い、店舗ブランドをイオンへ転換し[3]イオンリテール運営で存続していた広島サティも同年7月18日に閉店したため、サティは27年の歴史に幕を下ろした[4]

概要

橋本サティ(現:イオン橋本店

1984年昭和59年)3月、当時のニチイが、実験店として奈良市学園前にサティ1号店を出店し、新業態として展開を開始した[5]。ニチイは、ビブレが都心の若者向けの業態として地位を獲得できたのに続き、サティは30代をターゲットに絞り、従来の店舗では取り扱うのが難しかったグレードの高い商品構成をした「高感度専売店」として開発された[6]。学園前は新設店舗だったが、2号店の和歌山、それに続く高崎、尼崎はいずれもニチイからの業態転換で[1]、順次各地に展開した。

当時開業したサティは、規模は小さいもののショッピングセンターとして扱われていた。ただしマイカルとしては、さらに多種多様な業態を複合した大型商業施設「マイカルタウン」を主力化していた。

1989年当時は、全店舗にスポーツクラブ・エグザスを併設していた[7]。なお、ファッション色の強かった尼崎・和歌山・高崎などのサティ店舗は、後にビブレに業態転換している。

開業当初から1990年代までは、細字に青緑ロゴマークが使われ、1990年代からは「生活百貨店」と銘打つようになってからは、ロゴマークも青緑からマゼンタに変わった。1996年にニチイからマイカルへ社名変更したタイミングで、ロゴマークも細字から太字へと変わった。

その後、新規出店やニチイブランドの店舗リニューアル時の業態転換により、ピーク時には200店舗を数えるまで増加した。しかし2001年のマイカルの経営破綻により、以降は店舗整理などで大量閉店した。イオン株式会社がマイカルの支援に乗り出したため、イオングループ他社店舗への転換や、グループ外企業による居抜き出店が行われた店舗も少なくなかった。

マイカルの子会社が運営していた店舗も、マイカル本体への吸収合併や事業譲受により、本州四国の店舗はマイカル直営となっていた。九州の店舗(門司サティを除く)はマイカル九州(2007年にイオン九州へ吸収)が運営していた。北海道ではマイカル北海道によって多数店舗を展開していたがマイカル北海道の独立により、2002年にポスフールに転換されたたため、末期には北海道に店舗は存在しなかった。

イオングループによる買収後は、マイカルの経営再建完了後の2006年からイオンへの統合まで、経営破綻後初の(新)盛岡南サティの開業から、2010年の新瑞橋サティまで、イオンモール内に「サティ」の店舗を数店舗のみ開業させた(マイカル九州が開業した原サティのみ例外)。原サティを除き、イオングループ加入後に開業した店舗はイオンモール内の核店舗としての出店だったこともあり、従来のサティの雰囲気を残しつつも一般的な総合スーパーに近い店舗構成となっていた。

イオンへの統合直前の最末期には、北海道青森県宮城県栃木県富山県福井県岐阜県静岡県岡山県和歌山県徳島県長崎県熊本県大分県宮崎県沖縄県の16道県を除く日本全国に店舗があった。青森県・沖縄県以外はかつて店舗があったものの統合以前に撤退した。

ブランド消滅

看板をサティからイオンのものに架け替える様子
(2011年2月18日撮影)

イオングループでは持株会社制への移行後、重複する事業分野の整理統合が大きな課題となっていた。イオンの持株会社化に伴うイオンリテール発足の段階では、不採算店舗の整理が優先されたが、経済危機による経営不振がさらに深刻化し、本格的な事業整理に乗り出すこととなった。

2011年3月1日にイオンリテールはマイカルを吸収合併し[8]、近く閉店が予定されていた広島サティを除く「サティ」全店舗が一斉に「イオン」に統合・名称変更された[3][8]。なお、イオン九州運営の「戸畑サティ」は、2010年4月の改装リニューアルを機に「イオン戸畑店」へ1年前倒しして先に店舗名を変更している[9]。その後、広島サティも2011年7月18日に閉店したため「サティ」の店舗ブランドは消滅し、27年の歴史に幕を下ろした[4]

イオンへの店名変更は「○○サティ」から「イオン○○店」として(○○は地名で同じものが入る)、旧サティの店舗名が「イオン」の後にそのまま付くようにされたが、一部の店舗はジャスコからの転換店舗や、旧カルフールのイオン店舗との店名重複を避けるなどの理由で、小地名(高知サティ→イオン高知旭町店など)や方角(高松サティ→イオン高松東店など)を追加した新店名に変更した店舗もあり、店名重複がない場合でも変更される場合もあった(秋田サティ→イオン秋田中央店など))。

2011年3月22日に開店したイオン伊丹昆陽店(現・イオンスタイル伊丹昆陽)は、当初はマイカルが伊丹西サティ(仮称)として開店する計画で、オープニングスタッフの求人もイオンリテールではなくマイカルが行っていた。

沿革

サティが関係する作品

サティそのものが登場する作品は無いが、映画のロケ地等として使用されたことがある。

脚注

出典

  1. ^ a b 山下 1990, p. 120.
  2. ^ マイカル北海道”. マイカル北海道. 2001年8月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月26日閲覧。
  3. ^ a b 武内彩「サティ:名称「イオン」に 全国91店舗で」『毎日新聞』毎日新聞社、2011年3月1日。オリジナルの2011年3月3日時点におけるアーカイブ。2024年7月14日閲覧。
  4. ^ a b “広島サティ:閉店 SC競争激化直撃 営業14年“感謝””. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2011年7月19日)
  5. ^ a b 山下 1990, p. 85.
  6. ^ 山崎 1988, p. 55.
  7. ^ 『ニチイ会社案内』11頁、1989年
  8. ^ a b 当社連結子会社間の合併契約締結に関するお知らせ (イオンリテール株式会社と株式会社マイカル、イオンリテール株式会社とイオンマルシェ株式会社)』(プレスリリース)イオン株式会社、2010年10月6日。オリジナルの2013年9月27日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20130927132232if_/http://www.aeon.info/news/2010_2/pdf/101006R_1.pdf2024年7月14日閲覧 
  9. ^ 戸畑サティは「イオン戸畑ショッピングセンター」に変わります。4月23日(金)「イオン戸畑店」がグランドオープンにさきがけ新生オープン!』(プレスリリース)イオン九州株式会社、2010年4月10日https://www.aeon-kyushu.info/files/management_news/331/pdf.pdf2025年7月20日閲覧 
  10. ^ “(1)「ニューSC」元年であった昭和59年”. ショッピングセンター 1984年12月号 (日本ショッピングセンター協会) (1984年12月1日).pp23
  11. ^ 『ショッピングセンター名鑑 1988年版』 日本ショッピングセンター協会、1988年12月27日。pp1346
  12. ^ 戸畑サティは「イオン戸畑ショッピングセンター」に変わります。4月23日(金)「イオン戸畑店」がグランドオープンにさきがけ新生オープン! (PDF) - イオン九州株式会社 ニュースリリース、2014年10月6日閲覧。

参考文献

  • 山崎聖文『ニチイMYCALグループの挑戦 : 進化・成長する生活提案企業の全貌』ダイヤモンド社、1988年11月。doi:10.11501/13171610 
  • 山下剛『MYCALグループ時代の感性を読む経営』講談社〈講談社ビジネス〉、1990年12月。doi:10.11501/13171629 

関連項目


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