コンデンサのように振舞うもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 18:51 UTC 版)
「コンデンサ」の記事における「コンデンサのように振舞うもの」の解説
これらのふるまいについて、容量性がある、と言ったりする。以下の項目のうち、プリント基板と電界効果トランジスタについては、寄生容量も参照されたい。 プリント基板 多層基板において、隣接する層の同じ場所にプリント配線が通るとき、両配線間に比較的大きな安定した容量が形成される。プリント基板設計において、基板の未使用の領域を銅箔で埋めて接地点あるいは電源ラインの配線に用いる(グランドプレーンなど)、電源配線を信号線より広くすると言った処理は習慣的に行なわれている。 電界効果トランジスタ 電界効果トランジスタのゲートのインピーダンスは非常に高く、構造的にもコンデンサがソース・ドレイン間に接続されているとみなせる。単体のトランジスタでもゲート・ソース間電圧を意図的にプルアップ・プルダウンしないと、ゲートが入力端子から切り離されたままではゲート電圧がホールドされてしまう。特に、MOSFETは接合型FETと比べて必然的に、ゲート・ソース間、ゲート・ドレイン間、ドレイン・ソース間に寄生容量を内包する構造である。MOSFETの集積回路においては、ゲートの静電容量に周波数と電圧の二乗をかけた値に比例して、信号の交流成分がゲートからソース・ドレインに流れ、これが結果として集積回路の消費電力の一部となる。CMOSがまだ珍しかった頃は、CMOSを採用した機器(ポケットコンピュータなど)では、低消費電力を狙ってあえてクロック周波数を抑える例が見られた。近年はマイクロプロセッサの高クロック化に伴う消費電力の増大及び発熱が顕著であり、この問題を回避する為にコア数を増やすなど、クロック当りの性能を向上させるのが現在のトレンドとなっている。 バリキャップ ダイオードは、逆電圧を加えた状態では直流電流はほとんど流れず、非常に高い直流抵抗値を示す。このとき、ダイオード内部には空乏層とよばれる絶縁領域が形成されており、これを誘電体としてコンデンサとしての振る舞いを見せる。この空乏層の厚さはかかっている逆電圧の高さによって変動するため、厚さに反比例して容量も変動する。容量はダイオードごとに異なるが、一般に大電流を扱うものほど容量も大きくなる。ダイオードの持つこの物理的性質を積極的に応用し、電圧に応じて制御できる電子的な容量可変コンデンサとして使えるように特に設計されたものを、バリキャップという。バリキャップは、わずかな電圧の変化で大きく容量を変えることができ、また電圧に反比例し容量が変化するため共振回路に使うと同調周波数が直線的になる、という特性がある(回転角に対しそのような容量変化をするバリコンは一般に特殊品である)。 スタブ 高周波回路において、他端の短絡した1/4波長より短い伝送路、あるいは、他端が解放になっている1/4波長より短い伝送路は容量性の負荷にみえる。アンテナの整合を取る場合に用いられることがある。 電気的に短いアンテナ モノポール、ダイポールその他のタイプのアンテナで、電気的な長さが1/4波長より短いものは、駆動回路(無線機など)から見た場合、容量性の負荷にみえる。整合を取るため小さな容量の可変インダクタが挿入されることがある。 人体 静電気の研究において、人体は10pFのコンデンサと1MΩの抵抗を並列に接続したものとしてモデル化される。 コンデンサマイク コンデンサの電極のうち一方を振動板(ダイアフラム)としたもの。空気の振動により電極間の間隔が変化するため、電極間に形成される容量も変化し、一定の電荷を蓄積した状態ならば端子間の電圧も変化する。これを電気信号として取りだすことでマイクとして利用する。また、素子に一定の電荷を与えるために電源が必要であるが、テフロンなどの誘電体の高い電界を与える(特に、溶融した誘電体を冷却固化する際)と電荷を半永久的に保持する性質を利用し、電荷を保持した薄膜(エレクトレットと呼ぶ)を電極に張りつけることで素子への給電を不用としたものをエレクトレット・コンデンサマイクと呼ぶ。更にエレクトレットを振動板側に張りつけたフロントエレクトレットあるいは膜エレクトレットと、固定電極側に張りつけたバックエレクトレットに分れる。構造上出力インピーダンスの高い素子となるため、信号線にノイズが混入しやすく、これを防ぐため、素子直下にFETを用いた増幅回路を組み込んだ素子もよく用いられる。 電線間 電線と電線の間にもわずかながら容量があり、長距離になればなるほど問題になってくる。 対地容量 電線などと地面との間にも容量がある。 コンデンサ コンデンサの図記号 電解コンデンサの図記号 可変コンデンサの図記号
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