コンデンサ逆実装問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/01 14:23 UTC 版)
「きずな (人工衛星)」の記事における「コンデンサ逆実装問題」の解説
地上試験中に発生した不具合の原因究明過程で、タンタルコンデンサの逆実装が見つかった。そのため、他の衛星も調べたところ、打ち上げ直前だった月周回衛星かぐやの子衛星でも同様のミスが見つかり、急遽修理が行われるという出来事があった。 2007年(平成19年)初めより筑波宇宙センターにて行われていたきずなのプロトフライトモデル (PFM) の機械環境試験において、音響試験後の電気機能確認で挙動不審なデータが出た。原因を調査していくうちに基板上の実装に問題があるのではないかとなり、品質記録をすべて目視で確認したところ、コンデンサの逆実装が見つかった。この問題をかぐやにも水平展開し、同様の確認を行ったところ、かぐやの子衛星でも同様の取り付けミスが見つかった。 コンデンサの逆実装は、きずなで8箇所、かぐやで4箇所の、計12箇所。このコンデンサは「タンタルコンデンサ」と呼ばれるタイプで、特性は良いものの逆電圧の印加に弱く、長時間逆電圧をかけるとショートして発煙・発火に至る。きずなではある程度高い電圧がかかる場所に使用されており、長期間の試験の後に故障して発見されたが、かぐやにおいてはあまり電圧のかからない場所に使用されていたため、試験中は故障せずに見逃された。もし修理せずに打ち上げていた場合、打ち上げ後1000時間程度で故障した可能性がある。基板上にはコンデンサの+・-を示すしるしは無く、取り付け時に注意を促す文書なども無かった。組み立て後は部品の配置を見る外観検査は行われたが、個別の部品の検査は行われていなかったという。 この問題のため、かぐやの子衛星を修理することになり、かぐやの打ち上げが2007年(平成19年)8月16日から9月13日へ、28日延期された。(天候不良により、さらにもう一日延期されている。)打ち上げ延期により約1億6000万円の追加費用が生じたが、JAXAはNECに対して延期による追加費用の負担を求めていない。NEC側はかぐやの子衛星2機の修理費用を負担し、再発防止のための改善策をまとめてJAXAへ報告した。
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