熱化学電池
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/06 13:33 UTC 版)
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熱化学電池(ねつかがくでんち、Thermo-electrochemical cell, Thermo galvanic cell, Thermocell, Electrochemical energy harvestingなどと呼ばれる)は熱電変換素子の一種である。
熱化学電池は持続的に廃熱を回収し、電気エネルギーを生成する素子の一種である。副生物の生成や材料を消費せずに熱を電気エネルギーに連続的に変換できるという利点から、熱化学電池の研究が増加している。熱化学電池の出力や変換効率は比較的最近まで低く、応用展開が考えられていなかった。しかし、電極材料、電解質、酸化還元活物質、セル設計といった様々な部材やパラメータの改良の結果、熱化学電池の性能は最近飛躍的に向上した。
序論
現代では石油資源の消費はますます加速しており、再生可能資源からのエネルギー生産の増加が急務となっている。工業または地熱プロセスにより製造される低品位廃熱(200 ℃未満の排熱)は、発電に利用できる重要なエネルギー源として期待されている。また一方で医療機器やセンサーなどの小型携帯電子機器に電力を供給できるウェアラブルデバイスの分野で、体温の利用に対する関心が高まっている。
熱エネルギー変換に関する研究は、最近まで固体熱電素子に集中していた。熱電素子は、直列に接続されたp型とn型の半導体で構成される。熱勾配が印加されると、材料中の電荷キャリア(電子および正孔)が低温側に拡散し、この電荷の蓄積により電位差が生成される。この現象はゼーベック効果として知られており、単位温度差当たりに生成される電位差はゼーベック係数と呼ばれる。一般に、半導体材料に基づく熱電デバイスは、μVK-1オーダーと小さな電位差であり、低温での効率が低いために低品位排熱の回収には適さないという問題があった。
熱化学電池、またはサーモセルは、そういった低品位の熱エネルギーの変換への応用が期待される新たな素子である。熱化学電池は温度勾配が存在するときに、発光したり材料を消費したりすることなく連続的に電気エネルギーを生成することができる。酸化還元活性な電解質を用いることで、サーモセルはmV K-1のオーダーで電位差を生じさせることができる。これは低温熱エネルギー回収のための素子として興味深い。
この記事では、サーモセルの材料化学および電気化学の観点からの最近の進歩、特に新しいレドックス対、非水性電解質および新規電極材料の開発の概要を紹介する。さらにセル設計の進展に着目し、最後にサーモセルの性能の向上に向けた今後の展望について述べた。
熱化学電池の基本-エネルギーと反応速度論
サーモセルは、酸化還元対を含有する電解質と、外部回路に接続された2つの電極からなる(図1)。セルを横切って温度勾配が生じると、酸化還元反応の温度依存性により酸化還元対がアノード側で酸化され、カソード側で還元される。サーモセル内の電流の流れは、還元体が対流や拡散により電解質を通っておよびアノードへ移動し、酸化された種が反対にカソード側に輸送される。この一連のサイクルにより連続的な反応を生じるため反応は連続的である。構成成分の分解がない限りこの反応は理論的に無限に続けることができる。
温度勾配に対して生成される電位差の大きさは、デバイスの電力出力を決定する重要な要素である。
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