セルの直列スタッキング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/11 02:08 UTC 版)
「熱化学電池」の記事における「セルの直列スタッキング」の解説
サーモセルの実用化への壁は、その電圧が低いことである。単一セルの最大電圧は、ゼーベック係数および温度勾配で決まるが、多数のセルを直列に接続することで電圧を増加できる。これは、電力出力を最大にするために複数の熱電対が直列に接続されている固体熱電素子と同様の概念である。液体サーモセルでは、n型およびp型半導体に相当するのは、負および正のゼーベック係数を有する酸化還元対であり、例えばフェリシアン/フェロシアン化物とFeSO4/Fe2(SO4)3水溶液との複合体である27。 フェリシアン/フェロシアン化物または第二鉄/塩化第一鉄のいずれかを含むPVA系ヒドロゲル電解質を用いたハーフセルのゼーベック係数はそれぞれ-1.21 mV K -1および+1.02 mV K-1である49。電池を直列に接続した場合、合計電位は2.3 mV K-1に等しいΔT= 10 Kで23 mVに倍増したが、電流は同じままであった。59個のこれらのセル対からなるアレイを直列に接続し、同じΔTに対して最大電位を0.7 V、すなわち70 mV K-1まで上昇させた。 最近の研究では直列接続により予想外に高いセル電圧を達成している。図8(a)?(d)は、28個の交互に並んだp型およびn型の半電池(14個の全電池)の、フェロシアン/フェリシアン化物(Se = -1.43mV K-1)およびFeSO4 / Fe2(SO4)3(Se = 0.5 mV K-1)のアレイから構成されている(文献中では、半導体の文献と整合させるため、逆のゼーベック係数の符号で示されている。27)。4つのアレイを直列に接続することにより、ΔT = 21 K(104 mV K-1)に対して2.18Vの最大開回路電圧が達成され、これらの直列接続されたセル設計に対して大きな電位が達成され得ることが実証された。このアレイを用いたコンデンサの充電も実証された(図8(e))。 図8(a)酸化還元メディエーターとしてFe(CN)64- / Fe(CN)63-を共に使用する2つの「z-」直列接続された図。(b)p型半電池(酸化鉄メディエーターとしてのFe(CN)64- / Fe(CN)63-を使用する)およびn型半電池(Fe2 + / Fe3 +をレドックスとして使用する) メディエーター)が直列に接続されたものの図。(c)14個のn-p電池(28個の半電池)を有するサーモセルアレイ。緑色およびオレンジ色は、それぞれFe(CN)64 - / Fe(CN)63-およびFe2 + / Fe3 +酸化還元対の色である。(d)(c)の酸化還元対アレイのための密封サーモセルアレイの写真。(e)4つの直列接続されたサーモセルアレイによって充電されたときの異なるコンデンサの電圧-時間曲線、ΔTは21Kである。27。 Uhlら、62は、イオン性液体電解質および銅電極を用いて、図8に示すものと同様の高度に統合された直列構造を構築する方法を提案している。個々のセルを、等方性プラズマエッチングを使用して銅電極の間に挟まれたポリイミド層にエッチングした。その結果、直列に接続された幅約350μmのセルのアレイが得られた。しかしこの特定のセル設計の性能はまだ報告されていない。
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