電解液への添加剤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/11 02:08 UTC 版)
物質輸送を改善する方法として、電解質に他の化合物を添加するも良好な結果を示している。例えば、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)をイミダゾリウムベースのILに添加すると、浸透したネットワークの形成やイオン対解離の増加などの要因により、溶液のオーミック抵抗が低下した42。それにより、CNTを、[C3mim][NTf2]を含む電解液に添加した場合、撹拌した状態では、出力が30%増加した。しかし0.1M Co2+/3+bpy3を[C2mim][NTf2]に添加した場合には出力が低下した。これはCNTの添加時に粘度が20%増加し、増加した伝導率の影響を上回ったためであった。このグループの別の研究では、CNTとポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)の両方をフェリシアン/フェロシアン化物電解質を含有した静的セルに添加することにより、サーモセルの出力が増加した44。これはPEDOT:PSSの添加により界面電荷移動抵抗が下がることに加え、電解液中の電荷キャリアの数が増加したためで、出力が約30%改善した。 魅力的なアプローチは、物質輸送特性を改善するのではなく、システムの熱力学を変えるために添加剤加える手法である。この方法では、温度依存性のホスト-ゲスト相互作用を利用してI-/I3-電解質にα-シクロデキストリンを添加する。低温では、I3-分子はα-シクロデキストリンによってカプセル化され、酸化還元活性なI3-種の濃度を効果的に低下させ、平衡をシフトさせてI-をI3-に酸化する。高温電極では、α-シクロデキストリン-I3-錯体の解離が起こり、I3-の還元が促進される。さらに、カプセルを介して化学種の平衡濃度を変化させることにより、ネルンスト方程式46から、セル全体の電位差を増加させることができる。このホスト-ゲスト相互作用は、ゼーベック係数を0.86から1.45mV K-1に増加させた。
※この「電解液への添加剤」の解説は、「熱化学電池」の解説の一部です。
「電解液への添加剤」を含む「熱化学電池」の記事については、「熱化学電池」の概要を参照ください。
- 電解液への添加剤のページへのリンク