グリーン車Suicaシステム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 11:32 UTC 版)
「Suica」の記事における「グリーン車Suicaシステム」の解説
多くの情報を非接触で通信可能なFeliCaの利点を活用し、JR東日本では首都圏エリア内の普通列車グリーン車自由席でSuicaを利用したグリーン車システムを導入している。これは所持しているICカードにグリーン券の情報を書き込み、カード自体をグリーン券として使用するシステムで、乗車前に磁気グリーン券を購入した場合の「事前料金」と同額で乗車できるほか、車内改札が省略されるなど、より快適にグリーン車を利用できる。 このサービスは2020年4月現在、JR東日本の東京近郊各線(湘南新宿ライン・上野東京ライン・宇都宮線・高崎線・上越線・両毛線・東海道線・伊東線・横須賀線・総武本線・成田線・内房線・外房線・常磐線)の普通列車グリーン車自由席で実施されており、Suica(モバイルSuicaはクレジットカード情報登録済みのもののみ)のほかPASMO(モバイルPASMOを除く)、TOICA、Kitacaの4種類のICカードでのみ利用可能である。その他の相互利用可能なICカードとEASYモバイルSuica・モバイルPASMOでは利用できない。 利用方法 ICカードの場合はグリーン車に乗車する前に、駅の自動券売機で「Suicaグリーン券」をICカードのチャージ残額で購入し、利用可能なグリーン券情報をICカードに記録する。Suicaグリーン券はグリーン車を連結する列車停車駅の自動券売機、もしくはホーム上のグリーン券販売機で発売しており、磁気グリーン券(きっぷ)は発行されない。モバイルSuicaの場合はアプリケーションのトップメニューから「Suicaグリーン券購入・払戻」を選択し、乗車区間を指定して購入手続きを行い、グリーン券情報を記録する。この場合の決済はチャージ残額ではなくクレジットカード引き落としとなる。 Suicaグリーン定期券は、購入した時点でグリーン券情報が搭載されているので、上記のように利用の都度グリーン券情報を書き込む必要はない。 グリーン車に乗車後、グリーン券情報の入ったICカード・モバイルSuicaを、着席する座席上部に設置されたリーダライタ(グリーン券情報読み取り部)に乗客自らタッチさせる。この際、インジケーターのランプ表示が空席を示す「赤色」から着席を示す「緑色」に変わる。緑色ランプの点灯時は車内改札が省略される。 同一列車内で座席を移動してもその都度座席上部のリーダライタにカードをタッチすればよい。この場合、同一カードが別の座席でタッチされた時点で情報が自動更新され、移動前の座席のランプが赤色に変わるため、逐一タッチする必要はない。ただし、改札を出ずに別の列車に乗り換える場合は、乗り換え前に再びタッチしてランプを赤色にし、乗り換え先の列車の座席でもタッチしてランプを緑色にする必要がある。なお、降車する(改札を出る)場合はリーダライタにタッチする必要はなく、購入区間を過ぎた時点で情報が自動更新され、ランプは赤色に変わる。 利用上の特徴 Suicaグリーン券は当日利用分のみが発売され、有効期間は購入当日の終電までの1回限りである。またグリーン券情報はICカード1枚につき1名分の乗車1回分のみ有効で、1枚のICカードでグリーン券を2枚以上購入することはできない。最初に購入したグリーン券を未使用のまま新たにグリーン券を購入すると、最初のグリーン券情報は消去され無効となる。 グリーン車内で着席後に赤色ランプが点灯したままの場合(タッチ操作を失念した場合、購入区間を過ぎて着席している場合、磁気グリーン券利用の場合等)や、グリーン車内を立席で利用している場合は、グリーンアテンダント(グリーン車乗務員)が車内改札を行うが、ICカードの場合は携帯式カードリーダーでグリーン券情報の確認を行う。この際にグリーン券を所持していない場合は、事前料金よりも割高な「車内料金」を支払うことになる。また購入区間を過ぎて乗り越し、差額が生じた場合は精算が必要となり、決済はいずれも現金のみである。 グリーン車内で有効なICカードは、事前に上記の購入手続きをしたうえでグリーン券情報が記録されたもののみである。したがってグリーン料金分のチャージ残額があるICカードでも、グリーン券情報が無い場合はリーダライタにタッチしても無効となる。 券売機やグリーン券販売機が故障して利用できない場合は販売機横に係員が立っている場合があり、「券売機故障のため事前料金でグリーン券を発券する」旨の依頼書が渡される場合がある。これをグリーンアテンダント等に提示すると、車内でグリーン券を事前料金で購入することが可能となる。ただし、この場合の精算は現金のみで、ICカードでは精算できない。 なお「湘南ライナー」(2021年3月12日まで運行)などライナー系車両のグリーン車にはカードリーダライタが設置されていないが、乗務員が乗車口もしくは座席にて携帯式カードリーダーで車内改札を行っていた。 臨時駅の偕楽園駅から乗車する場合、同駅発のSuicaグリーン券は発売しておらず、同駅でもSuicaグリーン券は購入出来ない。また、モバイルSuicaでも同駅を発着駅に指定することはできないが、赤塚駅から下車駅までのグリーン券を購入すれば利用可能である。また臨時駅で営業キロが設定されていないため、下り列車で赤塚駅以南から同駅まで乗車する場合は水戸駅までの運賃および料金が必要である。なお、上り列車は上りホームが設置されていないため全列車停車しない。 JR東日本以外の事業者線のグリーン券はSuicaグリーン券での発売はしておらず、原則として磁気グリーン券(きっぷ)のみの対応となる。JR東日本線からJR東海線へ直通する普通列車においては、湯河原駅以東から沼津駅方面へ向かう列車で、かつ発駅からJR東海線各駅(函南駅・三島駅・沼津駅)までのグリーン料金が熱海駅までの料金と同額の場合に限り、事前にJR東日本の車掌・アテンダントに申し出ることで対応が可能である。 JRE POINTからの交換 2018年3月17日より、JRE POINTの交換特典として(JRE POINT用)Suicaグリーン券に交換できるサービスが開始された。あらかじめJRE POINTのサイトまたはスマートフォンアプリから交換申し込みを行い、カードタイプのSuicaは申込みの翌日から30日以内に券売機で受け取り及び利用区間の指定を行う。モバイルSuica(EASYモバイルSuica、アプリケーション登録をしていないApple Pay適用Suicaは除く)は申込みの当日から31日以内にモバイルSuicaのアプリ内で利用区間の指定を行う。なお、上述のグリーン車Suicaシステムでは利用できる湘南ライナーなどのグリーン車にリーダーが設置されていない列車やグリーン車Suicaシステムのエリア外となるJR東海線各駅(函南駅・三島駅・沼津駅)にまたがる利用はできない。
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