クレイ: 2000 -
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「クレイ (コンピュータ企業)」の記事における「クレイ: 2000 -」の解説
テラ・コンピュータとの合併後、Tera MTA システムを Cray MTA-2(英語版) と改称。これは商業的には失敗し、2つの顧客に出荷しただけだった。また、日本電気製SX-6の北米での独占販売権を得て Cray SX-6 として販売した。 2002年、ベクトルとMPPを統合したアーキテクチャの新機種 Cray X1(英語版) を発表。これはSGI時代のSN2のコンセプトがクレイ側で結実した成果である。2004年5月、アメリカ合衆国エネルギー省の世界最速のコンピュータを構築するプロジェクトに参加し、オークリッジ国立研究所向けに50TFLOPSのマシンを構築することになった。2004年11月 Cray X1 で最高性能 5.9 TFLOPS を記録し、世界第29位となった。X1 の後継である X1E では、より高速なデュアルコア・プロセッサを採用している。 2004年10月4日、エントリレベルのスーパーコンピュータ Cray XD1 を発表。AMD製のデュアルコア64ビットCPU Opteron を採用し、Linuxを動作させている。XD1は、1ノードに4個のOpteronと1個のザイリンクス製FPGA Virtex II Pro を備えている。このFPGAは動的に構成変更可能であり (再構成可能コンピューティング)、入出力用デジタル回路を必要に応じて構成できる。さらにこのFPGAは PowerPC 405 プロセッサコアを2つ内蔵している。 2004年、サンディア国立研究所 の Red Storm(英語版) システムが完成。96の筐体に多数のプロセッサが配置されたシステムであり、理論上は300筐体まで拡張可能で、設計上の性能は41.5TFLOPSとされている。これを製品化したのが超並列スーパーコンピュータ Cray XT3(英語版) である。T3Eのアーキテクチャに倣ったものだが、プロセッサはXD1と同じ AMD Opteron を採用している。2006年の後継機 Cray XT4(英語版) では、DDR2 SDRAM をサポートし、Opteron の新品種を採用、XD1 のようにFPGAを使えるようになっている。また、ノード間接続用通信プロセッサ SeaStar2(PowerPC 440 コア)を採用している。 2006年11月13日、テラ・コンピュータの流れを汲む Cray XMT(英語版) を発表。テラ・コンピュータに由来するマルチスレッド・プロセッサ技術と、XT4でも使われた SeaStar2 によるノード間接続技術を採用。ASIC、基板、筐体、システムソフトウェアなどを XT4 と共通化することでコスト削減を図っている。2011年にリリース予定とされたXMTの後継機には、スイス国立スーパーコンピューティングセンター (CSCS) からの予約注文が入った。 2006年、クレイは「アダプティブ・スーパーコンピューティング」と名付けた新たな製品計画を発表。その第1世代が XT4 と XMT である。2007年11月に発表された第2世代が XT5h(英語版) で、Opteron、ベクタープロセッサ、マルチスレッド・プロセッサ、FPGAを使って1つのシステムを構成する。 2008年4月、インテルとスーパーコンピュータの共同開発を行うことを発表。同年9月、その成果である Cray CX1(英語版) が完成した。これはデュアルコアまたはクアッドコアの Xeon プロセッサを最大16個搭載可能なブレードサーバシステムで、マイクロソフトの Windows HPC Server 2008(英語版) か Red Hat Enterprise Linux が動作する。 2010年初め、Cray CX1000(英語版)を発表。ラックマウント型で、Xeonを使うシステム、GPUを使うシステム、QPIを採用したシステムがある。同年5月、XT5の後継となる Cray XE6(英語版) を発表。XE6の最初の複数筐体システムは2010年7月に出荷された。 2011年5月現在、クレイがそれまでに出荷した最大のシステムは、オークリッジ国立研究所のJaguar(XT5ベース)である。22万個以上のプロセッサコアを搭載しており、LINPACKベンチマークで1.75PFLOPSを記録し、一時期世界最速となったが、2010年10月には天河一号に追い抜かれた。 2011年5月24日、Cray XK6(英語版) を発表。プロセッサコア数は最大50万個で、ピーク性能は50PFLOPSに達する。クレイの Gemini ノード間接続技術、AMDのマルチコアプロセッサ、NVIDIAのメニイコアGPGPUプロセッサを採用している。 2012年11月13日、TOP500ランキングにおいて今年6月にトップに立った米IBM製セコイアを2位に退けタイタン(Cray XK7ベース)が1位に返り咲いた。ピーク演算性能は20PFlops。タイタンは米オークリッジ国立研究所の所有で10月末に運用を始めた。理化学研究所と富士通が共同で開発した京と同様、地震や気象、医療などの分野で研究に使われる見込み。
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