キャラクター造形におけるアホ毛
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 13:58 UTC 版)
「アホ毛」の記事における「キャラクター造形におけるアホ毛」の解説
あほ毛(第2義)複数本あるタイプ 「触角」と呼ばれるものは、2本以上の髪が飛び出ているものも含む。 漫画系サブカルチャー分野における「あほ毛」は、毛髪1本だけではなく、細い髪房として表現されることが多い。「あほ毛」という言葉が一般化する以前は「触角」もしくは「アンテナ」と呼ばれていた。「触角」と呼ぶ場合、1〜3本程度の束が飛び出しているものを指し、このように、現在では「あほ毛」はそのキャラクターの外観を構成する設定上の要素となっている(つまり、常時アホ毛を有するキャラクターとして設定されている)ことが多い。また、萌えの対象ともなっている。 ただし磯野波平(『サザエさん』)のように、禿頭で頭頂部から1本毛が生えているだけの場合も、一部ではアホ毛と呼ばれる。しかし、一般的にはアホ毛はあくまでも他にも多数の毛髪が頭頂部に存在している場合に、それにもかかわらず他の髪の毛から飛び出しているものに対する名称である。また、『ゲゲゲの鬼太郎』の鬼太郎の妖怪アンテナ(妖気計算髪)はアンテナであってもアホ毛とは呼ばれない。アホ毛はあくまでも、無意識に存在するか、あるいは後述のように心象描写のためのものである。 日本の少女漫画の嚆矢である手塚治虫『リボンの騎士』の主人公サファイアの男装バージョン、また、後年の『ふしぎなメルモ』の主人公メルモでは、髪を跳ねさせることによるキャラクター造形を見られる。「あほ毛」という呼称そのものは比較的新しいが、キャラクターの造形法としての歴史は古く、ベティ・ブープからキューピーまで遡ることができる。しかし、日本の漫画系サブカルチャー分野では、その黎明期において、今日「あほ毛」と見なされる髪形のキャラクターは男性キャラクターにこそ多く見られるものであった。上述のサファイア王子(男装時のサファイア王女)にしても、アホ毛のあるそれは男としての身なりであり造形であった。日本のこの分野において、女性キャラクターのほうにアホ毛を具える者が多くなるのは、遥かのちのことである。 アメリカン・コミックス(アメコミ)の世界においては、男性の「アホ毛」に当たる造形は古くからその存在が確認されている。たとえば、古典アメコミの代表格である『スーパーマン』では、主人公スーパーマンの前髪一束が小さく跳ねるように描かれており、それ自身が彼のトレードマークとなっている。 外見的特徴としてだけでなく、アホ毛自体に特殊な能力を持たせる例や、感情や表情の変化に応じてアホ毛の形状が変化する例もある(なお、後者のケースにおける最初のキャラはマブラヴの鑑純夏。(ニコニコ生放送で告白している)他の例は『すぱすぱ』など)。跳ねた髪の房に特殊な能力を持たせる例は前述の水木しげる『ゲゲゲの鬼太郎』の主人公・鬼太郎の「妖怪アンテナ」(妖気を感じると髪の毛が一房棘のように逆立つ)の表現に原型を見ることができる。さらに遡ればA・E・ヴァン・ヴォークトのSF小説『スラン』の触毛スランにも見られる。里見桂のマンガ『なんか妖かい!?』のヒロイン・ミルは、鬼太郎と同じ「妖怪(妖気)アンテナ」を持っている(同作へのオマージュである)。これを切ってしまうと能力が発揮できなくなるなどの描写もある。雑誌連載は1982年からであり、女性キャラクターの例としては最初期に属する。TVアニメ『スイートプリキュア♪』では主要登場人物のキュアビートが、第23話で決め台詞とともに自身のアホ毛を楽器の弦の如く爪弾き、アホ毛からギターの音色が流れ、ギターを使うキャラとして印象を高めるシーンが登場した。 アホ毛の認識度や知名度の上昇に伴い、アホ毛がキャラクターを語る上で重大な意味を持ったり、アホ毛そのものがキャラクター性を帯びたりする例も見られるようになってきた。『ぱにぽに』のヒロインの一人・姫子のアホ毛は、取り外し可能であったり、精神波や電波や虫の知らせを受信できたり、アホ毛そのものに人格が存在したり、寄生虫のごとく姫子を乗っ取ろうとしたりする。また『Fate/hollow ataraxia』においては、ヒロインの一人・セイバーのアホ毛を他者が触れることで、彼女の別人格である黒セイバー(セイバー・オルタ)が現れ、人格のみならず服装も瞬時に変貌する。さらに『トップをねらえ2!』では、主人公がアホ毛を用いて数億体ものバスター軍団を指揮するなど、大掛かりなギミックが登場している。
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