むしょうののだいねんぶつとは? わかりやすく解説

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無生野の大念仏

名称: 無生野の大念仏
ふりがな むしょうののだいねんぶつ
種別1: 民俗芸能
保護団体名: 無生野大念仏保存会
指定年月日 1995.12.26(平成7.12.26)
都道府県(列記): 山梨県
市区町村(列記): 南都留郡秋山村無生
代表都道府県 山梨県
備考
解説文:  無生野の大念仏が伝承される秋山村は、山梨県のほぼ最東端にあたり無生野地区は秋山村西端にあって村境の雛【ひなつる】峠から流れ出し中央を東に向かう秋山川最上流地域になる。
 無生野の大念仏は、かつては、ともに旧暦一月八月それぞれ十六日前後行われたというが、今は旧暦一月十六日新暦八月十六日行われている。例年、まず一月七日無生野地区を二つ分けた上区、下区から一名ずつが選ばれ両者互いに相談して、どちらが一月あるいは八月担当するかを決める。一月担当者トウヤク当役)、八月担当者はアイトウヤク(相当役)とよばれる。さらに上、下区は各三組に編成されていて各組からコヤク小役)とよばれる一名ずつが選ばれ、これら小役六名当役、相当役とともに行事進行する大念仏は、かつては各年の当役、相当役の家で公開されていたが、平成年三月に地区公民館として秋山村無生集会所」が完成した後は、そこを会場にして行われている。
 当日になると集会所一部屋にドウジョウ道場)とよばれる二間四方区画設けるが、これは中央区画四隅枝葉のついた青竹立てて縄で互いに固定し、その縄や竹に御幣などを飾ったもので、中央に皮の締めクサビ強めた大き締太鼓据えている。また部屋の壁に、中央阿弥陀如来など三本掛軸掛け供物祈祷に使う御幣差したコシ(輿)とよばれるものなどを供えて祭壇とする。
 大念仏次第は「道場入り」「道場浄【きよ】め」「ほんぶったて」「かりぶったて」「一本太刀」「二本太刀」「ぶっぱらい」「念仏のふた」「送り出し」で、当日の夜七時から八時頃に始まり二時間ほど続けられる
 その概要としては、まず「道場入り」と「道場浄め」が、その場浄めるものとして行われる。これは道場向かって三人並び中央の一人経文唱え次に左右二人小石と塩を道場内外にまくもので、唱え動作ありかた修験行事儀礼次第に、ほぼ一致するものとされる次の「ほんぶったて」は道場中央の大太鼓両面それぞれ太鼓打ちがつき、二名鉦打ちと、ひとしきり演奏した後に経文唱え、さらに「かりぶったて」では、大太鼓の縁を叩きながら、やはり経文唱える。「一本太刀」は、大太鼓と鉦を打つ者の周囲を、小さ締太鼓持って後退りに進む者と、それを追うように太刀を振る者、さらに一本青竹回しながら進む者が道場内をめぐるもので、最初は、ゆるいテンポ始まり途中からは早まって太鼓・鉦の激し連打と、それに応じた激し所作となる。次の二本太刀」では、締太鼓を持つ者と、左右の手それぞれに太刀を持つ者の二名同様に道場内をめぐるもので、これらの所作舞踊の初源的な様子をうかがわせている。
 次のぶっぱらい」は病気平癒祈祷とされるもので、道場に続く部屋夜具敷き祈祷依頼者を寝かせ枕元に、三宝束ね御幣差した「輿」を置く。道場先程の「一本太刀」と同様の次第始まり一方夜具枕元には役の一人付いて祈祷文唱えながら御幣依頼者をさする。そのうち道場から締太鼓太刀青竹の者が踊りながら出てきて、順番布団の上飛び越え三度目には青竹の者が、竹で掛布団はねのけ病気回復象徴して終わる。
 次に道場の中で太鼓打ち中心になり、南無阿弥陀仏で始まる句を唱えて行事区切りとする。これを「念仏のふた」とよぶ。この後に「送り出し」となり、役員道場飾り片付け御幣四隅の竹などを、唱えごととともに集会所から出て大念仏供養碑』の所に置きに行って一連の大念仏が終わる。
 この大念仏由来として、地域では鎌倉時代末期大塔宮おおとうのみや護良親王と、その寵愛受けた雛鶴姫、さらにその王子にちなむものと語られている。一般に大念仏は、大勢集まって念仏唱えるものや道具立て整えた本格的な念仏踊をよぶが、これらの念仏踊は、古く平安初期空也始まり鎌倉時代一遍によって非常に盛んになったものとされ、ひたすら念仏唱え踊りながら自身解脱を望むものや、慰霊の意味合いの強いものなど各地多様に展開してきた。このなかで無生野の大念仏は「道場浄め」や祈祷の「ぶっぱらい」、また道場飾り方などに修験影響強く受けていて地域的特色が強いものとされる
 以上のように無生野の大念仏は、地域人々太鼓と鉦を鳴らして経典などを唱え締太鼓太刀持って、その周囲をめぐるもので、その所作には舞踊の初源的な姿をうかがうことができ、かつ地域的特色強く、また次第のなかに病気平癒など祈祷の意味をもつものがあるなど、祭祀行事から芸能へと展開していく過程を示すものとして持に重要なのである

無生野の大念仏

名称: 無生野の大念仏
ふりがな むしょうののだいねんぶつ
種別1: 民俗芸能
保護団体名: 無生野大念仏保存会
選択年月日 1972.08.05(昭和47.08.05)
都道府県(列記): 山梨県
市区町村(列記): 南都留郡秋山村無生
代表都道府県 山梨県
備考 所在地同一都道府県内のもの(このデータ種別1から移行しています)
解説文:  無生野の大念仏が伝承される秋山村は、山梨県のほぼ最東端にあたり無生野地区は秋山村西端にあって村境の雛【ひなつる】峠から流れ出し中央を東に向かう秋山川最上流地域になる。
 無生野の大念仏は、かつては、ともに旧暦一月八月それぞれ十六日前後行われたというが、今は旧暦一月十六日新暦八月十六日行われている。例年、まず一月七日無生野地区を二つ分けた上区、下区から一名ずつが選ばれ両者互いに相談して、どちらが一月あるいは八月担当するかを決める。一月担当者トウヤク当役)、八月担当者はアイトウヤク(相当役)とよばれる。さらに上、下区は各三組に編成されていて各組からコヤク小役)とよばれる一名ずつが選ばれ、これら小役六名当役、相当役とともに行事進行する大念仏は、かつては各年の当役、相当役の家で公開されていたが、平成年三月に地区公民館として秋山村無生集会所」が完成した後は、そこを会場にして行われている。
 当日になると集会所一部屋にドウジョウ道場)とよばれる二間四方区画設けるが、これは中央区画四隅枝葉のついた青竹立てて縄で互いに固定し、その縄や竹に御幣などを飾ったもので、中央に皮の締めクサビ強めた大き締太鼓据えている。また部屋の壁に、中央阿弥陀如来など三本掛軸掛け供物祈祷に使う御幣差したコシ(輿)とよばれるものなどを供えて祭壇とする。
 大念仏次第は「道場入り」「道場浄【きよ】め」「ほんぶったて」「かりぶったて」「一本太刀」「二本太刀」「ぶっぱらい」「念仏のふた」「送り出し」で、当日の夜七時から八時頃に始まり二時間ほど続けられる
 その概要としては、まず「道場入り」と「道場浄め」が、その場浄めるものとして行われる。これは道場向かって三人並び中央の一人経文唱え次に左右二人小石と塩を道場内外にまくもので、唱え動作ありかた修験行事儀礼次第に、ほぼ一致するものとされる次の「ほんぶったて」は道場中央の大太鼓両面それぞれ太鼓打ちがつき、二名鉦打ちと、ひとしきり演奏した後に経文唱え、さらに「かりぶったて」では、大太鼓の縁を叩きながら、やはり経文唱える。「一本太刀」は、大太鼓と鉦を打つ者の周囲を、小さ締太鼓持って後退りに進む者と、それを追うように太刀を振る者、さらに一本青竹回しながら進む者が道場内をめぐるもので、最初は、ゆるいテンポ始まり途中からは早まって太鼓・鉦の激し連打と、それに応じた激し所作となる。次の二本太刀」では、締太鼓を持つ者と、左右の手それぞれに太刀を持つ者の二名同様に道場内をめぐるもので、これらの所作舞踊の初源的な様子をうかがわせている。
 次のぶっぱらい」は病気平癒祈祷とされるもので、道場に続く部屋夜具敷き祈祷依頼者を寝かせ枕元に、三宝束ね御幣差した「輿」を置く。道場先程の「一本太刀」と同様の次第始まり一方夜具枕元には役の一人付いて祈祷文唱えながら御幣依頼者をさする。そのうち道場から締太鼓太刀青竹の者が踊りながら出てきて、順番布団の上飛び越え三度目には青竹の者が、竹で掛布団はねのけ病気回復象徴して終わる。
 次に道場の中で太鼓打ち中心になり、南無阿弥陀仏で始まる句を唱えて行事区切りとする。これを「念仏のふた」とよぶ。この後に「送り出し」となり、役員道場飾り片付け御幣四隅の竹などを、唱えごととともに集会所から出て大念仏供養碑』の所に置きに行って一連の大念仏が終わる。
 この大念仏由来として、地域では鎌倉時代末期大塔宮おおとうのみや護良親王と、その寵愛受けた雛鶴姫、さらにその王子にちなむものと語られている。一般に大念仏は、大勢集まって念仏唱えるものや道具立て整えた本格的な念仏踊をよぶが、これらの念仏踊は、古く平安初期空也始まり鎌倉時代一遍によって非常に盛んになったものとされ、ひたすら念仏唱え踊りながら自身解脱を望むものや、慰霊の意味合いの強いものなど各地多様に展開してきた。このなかで無生野の大念仏は「道場浄め」や祈祷の「ぶっぱらい」、また道場飾り方などに修験影響強く受けていて地域的特色が強いものとされる
 以上のように無生野の大念仏は、地域人々太鼓と鉦を鳴らして経典などを唱え締太鼓太刀持って、その周囲をめぐるもので、その所作には舞踊の初源的な姿をうかがうことができ、かつ地域的特色強く、また次第のなかに病気平癒など祈祷の意味をもつものがあるなど、祭祀行事から芸能へと展開していく過程を示すものとして持に重要なのである



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