えん・じゅとは? わかりやすく解説

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えん‐じゅ【延寿】

読み方:えんじゅ

寿命を延ばすこと。長生き


えんじゅ〔ゑんじゆ〕【×槐】

読み方:えんじゅ

マメ科落葉高木羽状複葉で、小葉長卵形。夏に、黄白色の小花群生して咲きくびれたさやのある実がなる。中国原産庭木街路樹とし、木材建築器具など用いる。花・実薬用。きふじ。玉樹槐樹(かいじゅ)。《 花=夏》「がくれの星に風湧く—かな/久女」


えん‐じゅ【鉛樹】

読み方:えんじゅ

イオン水溶液から析出した金属樹樹枝状結晶)。


えんじゅ 【延寿】

中国五代十国時代法眼宗禅宗一派)の三祖。余杭浙江省)の人。永明大道場浄慈寺)に住したので永明延寿。禅と念仏修し、日に「南無阿弥陀仏」を一〇称えたという。高麗王が弟子の礼をとった。著『万善同帰集』他。(九〇四~七五)→ 念仏禅

えんじゅ (槐)

Sophora japonica

Sophora japonica

中国原産です。わが国でも古くから植栽とれています。ハリエンジュ」に似ていますががありません。高さは20メートルくらいになり、奇数羽状複葉で4~7対の小葉あります7月から8月ごろ、先に円錐花序をだし、黄白色の蝶形花を咲かせます果実豆果で、数珠状に括れます。
マメ科クララ属の落葉高木で、学名Sophora japonica。英名は Japanese pagoda tree
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読み方
えんじゅ

延寿

読み方
延寿えんじゅ

エンジュ

(えん・じゅ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/14 10:07 UTC 版)

エンジュ
エンジュ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae
亜科 : マメ亜科 Faboideae
: エンジュ属 Styphnolobium
: エンジュ S. japonicum
学名
Styphnolobium japonicum (L.) Schott (1831)[1][2][3]
シノニム
  • Sophora japonica L. (1767)[4]
英名
Japanese Pagoda Tree

エンジュ(槐[5]学名: Styphnolobium japonicum[注 1])はマメ亜科エンジュ属の落葉高木。中国原産。日本には古くに渡来し、花蕾や莢は生薬にして役立てられた。

特徴

中国原産で、古くから台湾日本(北海道から九州)、韓国などで植栽されている。日本へは8世紀には渡来していたとみられ[5]、和名は古名えにすの転化したもの。別名でニガキとよばれることもある[7]中国植物名は槐[3]、または槐樹(かいじゅ)である[8]街路樹によく使われ、公園や学校などの庭木としても植えられる[9]

マメ科落葉高木で、樹高は5 - 15メートル (m) になる[10]。成木の樹皮は暗灰白色で、細かく縦にはっきりと裂ける[11][12]。若木の樹皮は濃緑色で、皮目がある[12]。一年枝は暗緑色で、無毛または短毛がある[12]

奇数羽状複葉互生[5]、小葉は5 - 10対あり、長さ3 - 5センチメートル (cm) の卵形で先端は尖り、全縁で[10]、表面は緑色、裏面は緑白色で短毛がありフェルトのようになっている。小葉は、対につくか、交互につくかは変異があるため、個体によりばらつきがある[13]。よく似る植物にイヌエンジュがあるが、イヌエンジュよりも葉は細身で、小葉の枚数は多い[13]

花期は7 - 8月で[11]、枝先の円錐花序に細かい白色の蝶形花を多数開き[9]、蜂などの重要な蜜源植物となっている。花の咲き方は、ややまばらに咲く[9]

果期は10 - 11月[5]。豆果の莢は長さ5 - 8 cmで、種子と種子の間が著しく、数珠のように大きくくびれる[5]。枝には豆果が残り、裂開せずに冬でもねばつく[12]。種子はヒヨドリ等の果実食鳥により散布されるため、唐突に雑木として生えてくることもある[14]

冬芽は葉柄内芽で、膨らんだ葉跡基部に隠れるように一部だけが露出しており、濃褐色の毛に覆われている[12]。仮頂芽はあまり発達せず、測芽は互生する[12]

また、シダレエンジュStyphnolobium japonicum var. pendulum、シノニムSophora japonica var. pendula)という枝垂れる変種があり、公園などに植栽される。

病虫害

エンジュの幹はカビなかまのさび病菌に寄生されると、こぶ状に膨らむ[5]

利用

街路樹として使われるほか、新芽は茶の代わりに、蕾と種子は染料になる[15]。乾燥させた蕾や莢果は止血作用から伝統薬として使われる。

街路樹・庭園木

日本をはじめ、中国や韓国でも街路樹として珍重されている[5]。公園や庭園にも植えられている[11]。韓国の世界遺産のひとつである昌徳宮には、大きなエンジュの木が植えられている[5]。日本では中国での「縁起の良い木」とされるゆえんから、庭木として鬼門の方角や玄関先に植えることがある[15]

薬用

カイカ
生薬・ハーブ
効能 止血
原料 エンジュ(花蕾)
成分 ビタミンK
臨床データ
胎児危険度分類
  • 不明。妊娠中、授乳中の摂取は避ける。
法的規制
  • エンジュの花・花蕾・果実は「医」
データベースID
KEGG E00221 D09255
別名 槐花(カイカ)
槐角(カイカク)
カイヨウ
化学式
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花を乾燥させたものは、槐花(かいか)、蕾を乾燥させたものが槐花米(かいかべい)または槐米(かいべい)という生薬で、止血作用がある[8]。莢を乾燥して生薬にしたものは槐角(かいかく)と称し[8]、止血剤や高血圧に用いられる[5]。花、蕾は6 - 8月、果実は8 - 9月に採集して天日乾燥して調製される[8]

エンジュに含まれるルチンはサプリメントとして利用されている。抽出されたトロキセルチン静脈瘤などの静脈疾患用医薬品として海外で利用されることがある。

花・蕾にはルチンを多く含有する。他に、ゲニスタチンとその配糖体のゲニステインケンフェロール、ソフォリコシド(Sophoricoside)などが検出されている。アルカロイドのシチシンを含む。

民間療法では、痔や目の充血に、1日量5グラムの花、蕾、果実を乾燥させたものを600 ㏄の水で煎じて、3回に分けて服用する用法が知られる[8]。熱をとって止血する薬草として知られ、出血が主なときは花や蕾がよく、腫れが主なときは果実がよいといわれている[8]

木材

木質は堅硬で、中国では馬車や荷車、造船にも用いられる重要な木材であった。日本では(ちょうな)の柄として用いられる[16]ほか、茶筒などの材料とされている[17]。ただし現在「エンジュ」の名で床柱などの美観材として流通しているのは別種のイヌエンジュで、本来のエンジュの方はこの面ではほとんど顧みられていない。

文化

エンジュの花言葉は、「上品」[5]「慕情」[5]である。

中国では、周の時代、朝廷の庭にエンジュが植えられていた。朝廷の最高位にある三公はエンジュに向かって座したと言われる。各家庭でも、エンジュは品格の高い木とされ[11]、縁起の良い木として、子供が成長して高位につけることを願って屋敷内に植えられた。三公は三塊(さんかい)といい、大臣のことを槐位(かいい)といった。そのため、エンジュの漢名は「槐」となっている[18]

日本では、鎌倉時代前期の鎌倉幕府第3代征夷大将軍である源実朝の『金槐和歌集』のタイトルは、実朝が右大臣の位にあったので「槐」の字を用い、さらに鎌倉の金偏をとって「金槐」としている[5]

脚注

注釈

  1. ^ Sophora japonica あるいは Japanese pagoda tree とも言う[6]

出典

  1. ^ Styphnolobium japonicum (L.) Schott”. USDA, ARS, National Genetic Resources Program.. 2009年5月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年3月28日閲覧。
  2. ^ Styphnolobium japonicum”. ILDIS LegumeWeb. 2009年5月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年3月28日閲覧。
  3. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Styphnolobium japonicum (L.) Schott エンジュ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年3月28日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Sophora japonica L. エンジュ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年3月28日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l 田中潔 2011, p. 64.
  6. ^ Styphnolobium japonicum, NCBI Taxonomy
  7. ^ 辻井達一 1995, p. 220.
  8. ^ a b c d e f 貝津好孝 1995, p. 179.
  9. ^ a b c 林将之 2011, p. 24.
  10. ^ a b 林将之 2008, p. 132.
  11. ^ a b c d 林将之 2008, p. 133.
  12. ^ a b c d e f 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 196.
  13. ^ a b 林将之 2011, p. 25.
  14. ^ 井手任, 守山弘, 原田直國, 横張真「果実食鳥によって街路植栽より林内に散布されたエンジュの分布特性について」『造園雑誌』第50巻第5号、日本造園学会、1986年、161-166頁、doi:10.5632/jila1934.50.5_161 
  15. ^ a b 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 77.
  16. ^ 大工道具の紹介 斧・鉞”. 竹内大工道具館. 2021年4月16日閲覧。
  17. ^ 北海道随一の「木地師(きじし)」が作り出す、後世に残すべき槐(えんじゅ)の工芸品たち ー 北海道網走郡美幌町のまち自慢”. FOUNDING SELECTION (2023年9月5日). 2025年3月28日閲覧。
  18. ^ 樹木シリーズ149 エンジュ”. 森と水の郷あきた. あきた森づくり活動サポートセンター. 2025年3月28日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク


えんじゅ

出典:『Wiktionary』 (2015/09/19 14:57 UTC 版)

名詞

えんじゅ 歴史的仮名遣い:ゑんじゅ

  1. マメ科エンジュ属の落葉高木学名Styphnolobium japonicum。高さは、6~10mに達する。長卵形全縁小葉からなり奇数羽状複葉互生する。花は大きな円錐花序配列し黄白色の蝶形花冠有する豆果は、種子種子の間が著しくくびれる中国原産で、古くから台湾日本韓国などで植栽されている。えんじゅの花は夏の季語

語源

同音異義語

えんじゅ


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