伺う
「伺う」とは、「尋ねる・聞く・問う・質問する」もしくは「訪ねる・訪れる・訪問する・相手のもとへ行く」の意味で用いられる謙譲表現である。要するに「たずねる」の謙譲語であり、「尋ねる・訪ねる・訊ねる」のどの意味でも使える。
「伺う」の使い方・使い分け方の具体例
「伺う」と「窺う」と「覗う」の違い
「うかがう」と読む漢字には、「伺う」の他に「窺う」と「覗う」が挙げられる。「窺う」は「そっと(気づかれないように)様子を見る」「ひっそりと機会を待つ」という意味で用いられる。
「覗う」は「のぞき見る」という意味で用いられる場合がある。
なお「覗」の字は「のぞく(覗く)」とも読む。また、「窺」「覗」は常用外漢字(表外字)である。
「尋ねる」という意味の「伺う」は「(お)伺いを立てる」とも表現できる。ただの「伺う」よりも丁寧で恭しく、たとえば偉い人に判断を仰ぐような場面を表現する際に使えるが、恭しさの度合いが強すぎて皮肉めいたニュアンスを帯びる懸念もある。
伺う
「伺う」とは、訪れる・尋ねる・聞くなどのことを意味する表現。
「伺う」とは・「伺う」の意味
「伺う」とは、主に「行く(訪れる)」「尋ねる」「聞く(拝聴する)」という意味で使われる謙譲語だ。元となっている語は「たずねる(訪ねる・尋ねる・訊ねる)」である。例えば「来週の同じ時間にこちらから伺います。」「詳細をお伺いしてもよろしいですか」「詳細については伺っております。」のように使う。謙譲語とは、自分がへりくだることで相手を敬う敬語表現である。「尋ねる」という意味で「伺う」を使う場合「お伺いする」「お伺いを立てる」といった言い回しも可能だ。これは「伺う」と言うより丁寧で恭しさを伴う表現となる。そのため、目上の人に対して考えや判断を仰ぐ場合などに使う。ただし、相手との関係性や「伺う」内容によっては皮肉や嫌味といったニュアンスを感じさせる場合がある。
なお「行く 敬語」で検索すると「参る」という謙譲語が見つかるだろう。「参る」と「伺う」どちらとも「行く」の謙譲語である。ただし「参る」は、敬意を示す相手が訪問先にいることが前提の言葉だ。「伺う」は訪問先に相手がいなくてもよい。ニュアンスが異なるので使い分ける必要がある。
「伺う」はお告げや神託をもらうために神仏に願い出る場合にも用いられる。「国家の大事を決めるために占いや儀式によって神意を伺うことは珍しくなかった。」のように使う。また、落語や講談などの寄席(よせ)の場において客を前にしてひとくだりの話をしたり、大勢の人に向けて説明をする場合にも「伺う」は用いられる。「おなじみのところを一席伺います。」のように使う。
「伺う」の熟語・言い回し
話を伺うとは
「話を伺う」とは、「話を聞くこと」をへりくだった表現にしたものである。「高齢の方から話を伺う」のように使うのが通例だ。
なお、時折「お話を伺う」といった表現で使われることがある。一見するとこの使い方は二重敬語にあたるようにもみえる。二重敬語とは一文のなかで同じ種類の敬語表現が2つ以上重なって使われることを意味し、通常では誤りとされる言葉の使い方だ。しかし「お話を伺う」の「お」は丁寧語で、伺うは謙譲語だ。また、「お」は言葉をきれいにする「美化語(丁寧の接頭語「お」「ご」によって言葉を美化する用法)」として使われている。へりくだることが目的ではない。そのため、形式としては二重に敬語表現が見られるが、その使い方に誤りはない。「お話を伺う」は自然な敬語表現とされている。
様子を伺うとは
「様子を伺う」とは、「(何かを通して)物事の状態をさぐること」を意味する。なお、「うかがう」という言葉には「伺う」「窺う」「覗う」といった漢字があてられ、それぞれ意味が異なる。
「窺う」は「(気づかれないように)静かに物事の状態を見る」「状態に応じて機会を待つ」といった意味だ。「覗う」の意味は「(小さな隙間などから)なかをのぞき見る」「こっそりと見る」などである。どちらとも謙譲語ではない。そのため「様子を伺う」の漢字表記は「様子を覗う」の方が意味にそっているといえるだろう。ただし「窺」「覗」は常用漢字ではないため、平仮名で表記されることが多い。
伺うこととは
「伺うこと」とは、「聞かせてもらいたい話がある」「知りたいことがある」といった意味で用いられる。
顔色を伺うとは
「顔色を伺う」とは、「相手の表情や態度から内心を探ろうとすること」を意味する。この場合の「伺う」は敬語としての表現ではない。言葉の意味を考えるに「顔色を窺う」と表記した方が適した表現となるだろう。
機を伺うとは
「機を伺う」とは、「(何かを行動するにあたって)適切な時期かどうか様子を見る」「最適な時期をつかむためにじっと我慢する」といった意味である。「機を窺う」と表記した方が、言葉を持つ意味を正確に表せるだろう。
「伺う」の使い方・例文
・今回は幸運にも当事者である方から話を伺う機会が得られた。・お話を伺うのを楽しみにしております。
・先だって伺ったお話はとても興味深いものでした。
・お問い合わせの際にはご本人確認のためにお名前や年齢を伺う場合があります。
・伺うべき質問がいくつかあるので寄らせていただきました。
・来月3日、正午に事務所へ伺います。
・「そちらに伺う」と連絡はあったが、約束の時間はとうに過ぎている。
・彼は強面なので「お礼に伺う」と言っただけで相手がおびえてしまった。
・親と子の間に生まれた呪いの言葉を解くには何も神様の言葉を伺う必要はない。
・毎度ばかばかしい話を一席伺います。
うかが・う〔うかがふ〕【伺う】
読み方:うかがう
[動ワ五(ハ四)]《「窺う」と同語源。目上の人のようすをうかがいみる意から、その動作の相手を敬う謙譲語となる》
1 「聞く」の謙譲語。拝聴する。お聞きする。「おうわさはかねがね—・っております」
2 「尋ねる」「問う」の謙譲語。「この件について御意見をお—・いします」
3 「訪れる」「訪問する」の謙譲語。「明朝、こちらから—・います」
5 《「御機嫌をうかがう」の意から》寄席などで、客に話をする。また、一般に、大ぜいの人に説明をする。「一席—・う」
[可能] うかがえる
[補説] 最近、「伺う」の意味は、3の「訪れる」のみとして、1の「聞く」、2の「尋ねる」の意では使わない人が増えている。
「 伺う」の例文・使い方・用例・文例
- 術後の訓練などについての話を大学教授の山田先生に伺う
- 当日は、田中、山田、そして私の3名で伺う予定です。
- 私はそちらへ伺うことを心から楽しみにしています。
- 私は彼の顔色を伺う。
- 明日私たちは3名でそちらに伺う予定です。
- 私はそちらへ伺う時間を変更します。
- 私はあなたに会いに伺う。
- 私は電車と徒歩で研究所へ伺うつもりです。
- スケジュール上の都合でその日に伺うことは難しい状況です。
- より詳細を伺うことは可能でしょうか。
- 後日お詫びに伺う所存でございます。
- 夜7時以降でもよろしければ今週中に貴社に伺うことが可能でございます。
- 本来はならばご挨拶に伺うところですが、取り急ぎ書面にて失礼致します。
- 貴社との打ち合わせ後にもう1社伺う予定がございます。
- 弊社側はいつでも貴社に伺うことができます。
- 病気のために本日は伺うことができませんでした。
- 貴社に伺うのに便利な場所の部屋を予約できればありがたいのですが。
- この壁画からは古代人の生活の片鱗を伺うことができる。
- あすスミスさんのお宅に伺うことになっている。
- 父がご出発の日時を伺うようにと申しております.
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