冷却塔 冷却塔の概要

冷却塔

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/10/09 04:38 UTC 版)

型式

冷水池
冷水池(Cooling Pond)は、自然・人工湖沼の表面の蒸発のみを利用するものである。広大な面積が必要であるが、動力の消費は少ない。
噴水池
噴水池 (Spray Pond) は、の表面で上向きに水を噴霧して冷却するものである。強制通風式冷却塔の1000倍以上の設置面積が必要である。噴水としての装飾効果を兼ねて使用されることがある。
大気式冷却塔
大気式冷却塔 (Atomospheric Cooling Tower) は、格子状の板を上下に重ね上部から水を落とし、横方向から自然通風で冷却するものである。冷却効率が悪く、強制通風式冷却塔の10倍以上の設置面積が必要である。ほとんど使用されることは無い。
自然通風冷却塔
自然通風冷却塔 (Natural Draft Cooling Tower) は、巨大な煙突の下部に向流型の熱交換器を設け、空気の温度上昇による上昇気流で冷却するものである。煙突の高さが100mを超えるものも多い。運転経費が低いため、大気の湿度が低い地域の火力原子力発電所化学プラントなどで用いられる。自然の通気を促すため、双曲線形状である。
スプレイ塔
スプレイ塔 (Spray Draft Cooling Tower) は、高圧水を噴霧して空気を誘引して冷却するものである。送風機・充填物が無く低騒音である。能力低下防止のため、ノズルの定期清掃が必要である。水温低下が少なくてよい場合に用いられる。
強制通風冷却塔
強制通風冷却塔 (Forced Draft Cooling Tower) は、送風機で大気を強制的に通風させるものである。性能が安定し、設置面積が小さいため、一般に使用される。

分類

大気と熱媒体との接触方法による分類

開放型
開放型は、その上部より水を落とし、大気と接触させて蒸発させることで、水を冷却するものである。以下の特徴がある。
  • 冷却水そのものを直接的に蒸発させ、蒸発熱を逃がすので効率が良く、理論的には湿球温度まで低下させることが出来る。
  • 本体の構造が簡単で故障が少ない。
  • 大気中の粉塵汚染物質で水が汚染され、さらに蒸発による濃縮があるため、定期的に一定量の水の入れ替え(ブローと給水)が必要である。
  • 冷却水の中で藻類原生動物が繁殖すると、レジオネラの繁殖環境を形成し、熱交換時に発生するエアロゾルによってレジオネラ症の感染源となることがある。対策として、水の入れ換えや薬剤処理を行う設備とその維持管理が必要となる場合もある。
密閉型
配管回路内に熱媒体を密閉し循環させて、場合により熱交換器へ散水することにより熱交換を行うものである。以下の特徴がある。
  • 大気中の粉塵・汚染物質による循環熱媒体の劣化が少ない。
  • 外気温度が低い場合には、熱交換器内の水の凍結により管が破裂し破損する可能性があるので、強制通水等の凍結防止措置をする必要がある。
  • 不凍液などを利用した場合、ヒートポンプのための低温時の温熱源としての利用も可能である。

大気と熱媒体との流れの関係による分類

一般的な熱交換器と同様、流れの方向によって以下のように分類される。

空冷式熱交換の分類
向流型
大気と熱媒体が逆向きに対向するように流れるもので、効率が最も良いが設置に工夫が必要である。
直交流型
大気と熱媒体が直交するように流れるもので、多数を並べて設置することが可能である。効率は向流型より悪くなる。
並流型
大気と熱媒体が同じ向きに流れるもので効率が悪いためほとんど使用されない。
混合流型

理論

冷却能力の表し方

冷却能力を表す指標として、冷却トンが用いられる。1冷却トンは13L/minの水量を標準的な温度条件(入口冷却水温度37℃、出口冷却水温度32℃、入口空気湿球温度27℃)で冷やすときの冷却熱量で定義され、1冷却トン = 約4.535kWである。

冷却水温度の制御

冷却水の温度を一定に保つため各種制御が使用される。

  • 送風機の速度制御 - 大気との接触効率を変化させる。
  • 循環流量の制御 - 循環流量を変化させることにより大気との接触時間を変化させる。

冷却能力の計算方法

冷却能力は、水量、風量、冷却水温度、大気温湿度など多くのパラメータに依存している。 しかし移動単位数(NTU)という無次元数を用いると、パラメータを減らし解析を容易にすることができる。 NTUには、冷却塔が出せる能力を表す有効NTU(available NTU、(NTU)a)と、温度等の仕様条件から計算される必要NTU(required NTU、(NTU)r)の2種類がある。

\mathrm{(NTU)_a} = \frac{KaV}{L}
\mathrm{(NTU)_r} = \int_{t_\mathrm{w, out}}^{t_\mathrm{w, in}}\frac{c_\mathrm{w} \mathrm{d}t_\mathrm{w}}{h_\mathrm{s}(t_\mathrm{w})-h(t_\mathrm{w})}

ここで

  • K :熱交換部のエンタルピ基準熱伝達率 (kg/(m2 s))
  • a :熱交換部の単位体積あたりの水と空気の接触面積 (m-1)
  • V :熱交換部の体積 (m3)
  • L :水量 (kg/s)
  • tw, in, tw, out :冷却水の入口温度、出口温度 (K)
  • cw :水の比熱 (J/(kg K))
  • h (tw ) :熱交換部で水温tw の水と接触する空気のエンタルピ (J/kg)
  • hs(tw ) :温度tw における飽和蒸気のエンタルピ (J/kg)。空気の湿度に依存する。

解析の際には、横軸に水空気比N (水の質量流量 / 空気の質量流量)をとってそれぞれのNTUをグラフに表し、それらの交点、すなわち(NTU)a = (NTU)r となる水空気比N が実際の運転状態を表すことを利用して冷却能力などを求める。

導出
熱交換部の微小部分で交換される熱量dQ に関する次の「水温低下により水が失った熱量 = 蒸発により空気が得た熱量」という関係式を変形し、熱交換部全体で積分することで(NTU)a = (NTU)r を得る。
\mathrm{d}Q = Lc_\mathrm{w}\mathrm{d}t_\mathrm{w} = K(h_\mathrm{s}-h)a\mathrm{d}V



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