パブリックドメイン 問題

パブリックドメイン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/11 15:25 UTC 版)

問題

著作権が切れパブリックドメイン化したにもかかわらず、元権利者が権利を主張したり、利用者側が「許諾」を得たり支払う必要のない使用料を支払う例が存在するとして、福井健策弁護士が問題提起している[5]

活用事例

著作物

著作権が消滅した著作物の活用事例として、電子図書館における著作物の収集活動が挙げられる。近年の情報技術の発達、インターネットの普及を受けて、著作物をデジタル化し、インターネットを介して誰でも閲覧することを可能とするものが多い。しかし、著作権の保護期間を延長する法改正が各国で相次いでいることから、その存続が危ぶまれているものも存在する。また、格安DVDソフトの製造販売のように、著作権が消滅しても依然として経済的価値を有する著作物(映画の著作物など)の流通によって、収益を図ろうとする事業も存在する。

青空文庫
著作権が消滅した文学作品を収集・公開しているインターネット上の電子図書館である。1997年著述家富田倫生が開設した。
プロジェクト・グーテンベルク
青空文庫と同様に、著作権が消滅した文書を電子化し、インターネット上で公開しようとする計画である。1971年、マイケル・S・ハートが開設した。最近では著作権の保護期間を延長する法改正が各国で相次ぎ、オーストラリアを始め事実上の活動停止や大幅な活動規模の縮小を強いられる事例も相次いでいる。
国立国会図書館デジタルコレクション
戦前の書籍を中心に蔵書をデジタル化、公開している。
ウィキソース
著作権が消滅した著作物およびフリーライセンスのもとにある著作物を集積し、公開するためのプロジェクトである。アメリカのウィキメディア財団が運営している。2003年に開設された。ウィキクォートも参照。
格安DVDソフト
ファンタジア』(1940年)、『ローマの休日』(1953年)など、著作権が消滅した映画を格安DVDソフトとして販売する事例がある。権利者にライセンス料を支払う必要がないため、著作権が存続している映画のDVDソフトと比較して、販売価格は1〜2割程度に抑えられている。

意匠

ジェネリックプロダクト
意匠権が消滅した家具などを複製したレプリカ品。

技術

特許が切れた医薬品は複数の会社から後発医薬品として販売されることで価格が低下する。

特許権消滅後に普及した工業技術としてフェネストロンなどがある。

脚注


注釈

  1. ^ 日本の法令上、地方公共団体が所有する財産のことを公有財産ということもあり、訳語として適切ではないという意見がある。

出典

  1. ^ 文化審議会著作権分科会 (2008年10月1日). “過去の著作物などの保護と利用に関する小委員会 中間整理” (PDF). e-Gov. デジタル庁. p. 55. 2023年2月25日閲覧。
  2. ^ 加戸守行『著作権法逐条講義(五訂新版)』(著作権情報センター、2006年)、377頁
  3. ^ 中山信弘『著作権法』(有斐閣、2007年)、349頁
  4. ^ 山本隆司『アメリカ著作権法の基礎知識』(2004 太田出版 ISBN 4872338316)120頁以下
  5. ^ [1]擬似著作権: ピーターラビット、お前に永遠の命をあげよう 福井健策|コラム | 骨董通り法律事務所 For the Arts


「パブリックドメイン」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「パブリックドメイン」の関連用語

パブリックドメインのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



パブリックドメインのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのパブリックドメイン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS