FTTN接続 (DOCSIS 3.0以降)
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「ブロードバンドインターネット接続」の記事における「FTTN接続 (DOCSIS 3.0以降)」の解説
「ケーブルテレビ」も参照 DOCSISによるFTTN(HFC:Hybrid Fiber Coaxial)接続は主にケーブルテレビサービスのインターネット接続に使われている。このFTTN(HFC)は末端では減衰しやすい既存の同軸ケーブルを活用するものの、基幹部分では高品質な光通信を採用して搬送波対雑音比(C/N比)を稼ぐというものである。 DOCSIS 3.0以降は複数通信チャネルを束ねるチャネルボンディングが導入され、通信に使う周波数帯を増やすことで大幅な高速化が可能となった。2006年8月には下り最大1Gbps/上り最大100Mbpsが実現可能なDOCSIS3.0が、2013年10月には下り最大10Gbps/上り最大2.5Gbpsまで実現可能なDOCSIS3.1が登場した。しかしながら狭帯域な同軸ケーブルでは広帯域な光ケーブルと異なり通せる周波数の幅が問題となっていった。規格上使用可能な周波数の上限はDOCSIS 3.0で1002MHzまで、DOCSIS 3.1で1794Mhzまで上昇したものの、日本の家庭設備では地上デジタル放送で使われる770MHzより上の周波数の通ることが保証されない状態となっており、また例え1794Mhzまで通せたとしても日本の BS-IF・CS-IF周波数帯 (1032~3224MHz) と衝突しているためBS・CSアンテナを導入している建物ではBSデジタル放送・CSデジタル放送信号の回り込みによる衝突の問題があり、2017年3月時点でも日本のケーブルテレビでは770MHzまでの帯域の使用が一般的となっていた。そのため仕様のフルスピードを出すことは困難であった。 例えばJ:COMでは2007年9月より関西で、翌10月より関東で、DOCSIS 3.0を用いたサービスを開始したものの、下り最大160Mbps/上り最大10Mbpsのサービス(「J:COM NET ウルトラ」→「160Mコース」)に留まっており、2015年1月の増速後でも下り最大320Mbps/上り最大10Mbpsに留まっていた(「320Mコース」)。 その後、J:COMでは2015年1月から4月にかけてデジアナ変換によるアナログ放送を終了し、2017年10月に「J:COM 熊谷・深谷」を皮切りにDOCSIS3.1を用いたサービスを導入し、それによりようやく名目速度上り30Mbpsを超える下り最大1Gbps/上り最大100Mbpsのサービスに到達した(「J:COM NET 1Gコース」)。 なお、FTTN (HFC) での高速化はノイズの影響を受けやすくなったり、全二重通信での増幅器の発振問題があったりするため、光区間の拡大が必要となるほか、新4K8K衛星放送の再送信の帯域不足の問題もあり、光回線 (FTTH) でのサービス提供に切り替えるケーブルテレビ会社が増えていっている。DOCSIS規格を制定しているCable Labs側でも受動光ネットワーク (PON) ベースのFTTH回線にDOCSISの運用管理機能を追加する DPoE (DOCSIS Provisioning of EPON) を用意するに至っている。 日本ケーブルテレビ連盟の技術委員会は2017年度より「伝送路高度化タスクチーム」を立ち上げてケーブルテレビ回線のFTTH化を支援するようになったほか、同2017年には総務省が『ケーブルテレビネットワーク光化促進事業』を開始し、2018年には『ケーブルテレビ光化による耐災害性強化事業』が開始され、FTTH化の目標が2025年度末までに「50%程度」と定められた(2019年度末時点では26.6%)。2019年度には『ケーブルテレビ事業者の光ケーブル化に関する緊急対策事業』も開始された(ただしこの補助金は放送目的で使う部分に限る)。また通信目的では『高度無線環境整備推進事業』の補助金も使用できるほか、一部の自治体では『新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金』もケーブルテレビの光化に使われている(鳥取市など)。 J:COMでも2019年から2021年までに3000億円掛けて光回線網を整備しており、2020年より光回線によって最大10Gbpsのサービスを提供している(「光10Gコース」)。 しかしながら旧来のFTTN (HFC) の設備を残している事業者もまだ残っており、同軸・HFCによるインターネットの契約数は2021年12月末時点で約652万件、その契約数が多い都道府県は東京都、大阪府、神奈川県の順となっている。そのため2022年現在もJ:COMは、総務省の「ブロードバンド基盤の在り方に関する研究会」において「ブロードバンドの品質基準」に上りの名目速度を含めず「下りの名目速度のみ」とするよう、またケーブルモデムでの名目速度ではなく「保安器での名目速度」とするよう主張している。
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FTTN接続 (DOCSIS 1.0/1.1/2.0)
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最初のDOCSIS 1.0は1997年に下り最大42Mbps/上り最大10Mbpsな規格として登場した。日本では1999年にケーブルテレビ会社のJ-COMと米@Home Network(英語版)が共同でアットホームジャパン(後のアットネットホーム)を立ち上げ、アットホームジャパンは2000年6月よりJ:COMケーブルテレビ網でCATVインターネットサービス「J-COM@NetHome」(後の「J-COM Net」)を提供するようになったものの、下り上り共に速度が低くなっており、2001年7月の増速後でも下り最大2Mbps/上り最大128kbps程度に、2002年2月の増速後でも下り最大8Mbps/上り最大2Mbps程度に留まっていた。 2003年のインターネット協会の調査によればJ:COMはCATVインターネットのトップシェアを獲得していたものの、2002年に安価なADSLで「Yahoo!BB 12M」などの下り最大12Mbpsのサービスが登場すると、高価で下り最大8MbpsだったCATVインターネットはカタログスペック的に見劣りするものとなった。そのため、J:COMは一部地域(東京都東村山市)でFTTH化の実験を行ったものの、FTTHでのテレビ放送サービスの実現は当時まだ厳しく、J:COMでは代わりにDOCSIS 2.0の導入へと進んでいった。 DOCSIS 2.0は2001年12月に下り最大42Mbps/上り最大30Mbpsな規格として登場した。2003年9月にはJ:COMがDOCSIS 2.0を用いた下り最大30Mbps/上り最大2Mbpsの「J-COM Net プレミア」(後の「30Mコース」)を開始した(2009年に「40Mコース」へと増速)。 2007年にJ:COMは次世代のDOCSIS 3.0を導入したものの技術的に後方互換が保たれており、その後も「1Mコース」「12Mコース」「24Mコース」「40Mコース」を長らく継続していたが、その後の玉突き式の増速によって低速なコースは少しずつ消えて行っている。
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