クロロホルム【chloroform】
クロロホルム
| 分子式: | CHCl3 |
| その他の名称: | クロロホルム、Chloroform、Trichloromethane、トリクロロホルム、TCM、R-20、RCRA waste number U-044、R-20【Refrigerant】、NCI-C-02686、Trichloroform |
| 体系名: | トリクロロメタン |
クロロホルム
(Chloroform から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/03 02:40 UTC 版)
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| 物質名 | |||
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Trichloromethane
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| 識別情報 | |||
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3D model (JSmol)
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| 略称 | R-20, TCM | ||
| ChEBI | |||
| ChEMBL | |||
| ChemSpider | |||
| ECHA InfoCard | 100.000.603 | ||
| EC番号 |
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| KEGG | |||
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PubChem CID
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| RTECS number |
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| UNII | |||
| 国連/北米番号 | 1888 | ||
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CompTox Dashboard (EPA)
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| 性質 | |||
| CHCl3 | |||
| モル質量 | 119.37 g·mol−1 | ||
| 外観 | 高屈折率の無色液体 | ||
| 匂い | 甘いミントの香り | ||
| 密度 | 1.564 g/cm3 (−20 °C) 1.489 g/cm3 (25 °C) 1.394 g/cm3 (60 °C) |
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| 融点 | −63.5 °C (−82.3 °F; 209.7 K) | ||
| 沸点 | 61.15 °C (142.07 °F; 334.30 K) 450 °Cで分解 |
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| 10.62 g/L (0 °C) 8.09 g/L (20 °C) 7.32 g/L (60 °C) |
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| 溶解度 | ベンゼンに溶ける。ジエチルエーテル、油類、リグロイン、エタノール、四塩化炭素、二硫化炭素と混和。 | ||
| アセトンへの溶解度 | ≥ 100 g/L (19 °C) | ||
| ジメチルスルホキシドへの溶解度 | ≥ 100 g/L (19 °C) | ||
| 蒸気圧 | 0.62 kPa (−40 °C) 7.89 kPa (0 °C) 25.9 kPa (25 °C) 313 kPa (100 °C) 2.26 MPa (200 °C) |
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| kH | 3.67 L·atm/mol (24 °C) | ||
| 酸解離定数 pKa | 15.7 (20 °C) | ||
| λmax | 250 nm, 260 nm, 280 nm | ||
| 磁化率 | −59.30·10−6 cm3/mol | ||
| 熱伝導率 | 0.13 W/(m·K) (20 °C) | ||
| 屈折率 (nD) | 1.4459 (20 °C) | ||
| 粘度 | 0.563 cP (20 °C) | ||
| 構造 | |||
| 四面体 | |||
| 1.15 D | |||
| 熱化学 | |||
| 標準定圧モル比熱, Cp |
114.25 J/(mol·K) | ||
| 標準モルエントロピー S |
202.9 J/(mol·K) | ||
| 標準生成熱 ΔfH |
−134.3 kJ/mol | ||
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ギブズの 自由エネルギー (ΔfG⦵) |
−71.1 kJ/mol | ||
| 標準燃焼熱 ΔcH |
473.21 kJ/mol | ||
| 薬理学 | |||
| N01AB02 (WHO) | |||
| 危険性 | |||
| 安全データシート(外部リンク) | [1] | ||
| GHSピクトグラム | |||
| GHSシグナルワード | 危険(DANGER) | ||
| Hフレーズ | H302, H315, H319, H331, H336, H351, H361d, H372 | ||
| Pフレーズ | P201, P202, P235, P260, P264, P270, P271, P280, P281, P301+P330+P331, P302+P352, P304+P340, P305+P351+P338, P308+P313, P310, P311, P314, P332+P313, P337+P313, P362, P403+P233, P405, P501 | ||
| 主な危険性 | 熱の存在下でホスゲンと塩化水素に分解、発がん性の可能性、生殖毒性、肝毒性[5][6] | ||
| NFPA 704(ファイア・ダイアモンド) | |||
| 引火点 | |||
| 脱出限界濃度 | 500 ppm[5] | ||
| NIOSH(米国の健康曝露限度): | |||
| 勧告曝露限界 | Ca ST 2 ppm (9.78 mg/m3) [60-分][5] | ||
| 最低致死濃度 LCLo |
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| 半数致死量 LD50 | 704 mg/kg (マウス, 皮膚)[3] | ||
| 半数致死濃度 LC50 | 47,702 mg/m3 (ラット, 4 時間)[4] | ||
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特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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クロロホルム (英: chloroform) は化学式 CHCl3 で表されるハロゲン化アルキルの一種である。IUPAC名はトリクロロメタン (trichloromethane) であり、トリハロメタンに分類される。広範囲で溶媒や溶剤として利用されている。
歴史
- 1831年 ドイツの化学者ユストゥス・フォン・リービッヒ、フランスの科学者ウジェーヌ・ソーベイラン (Eugène Soubeiran)、サミュエル・ガスリー (Samuel Guthrie) の3名がそれぞれ別に同年クロロホルムを発見。ソーベイランは次亜塩素酸カルシウムの粉末とアセトンもしくはエタノールと反応させることでクロロホルムを得た。この反応を一般化したものはハロホルム反応として知られている。
- 1847年 イギリスの医師ジェームズ・シンプソン (James Young Simpson) によりクロロホルムの臨床応用がエジンバラにて開始される。
- 1853年及び1857年、ジョン・スノウ (John Snow) が、ヴィクトリア女王にクロロホルム麻酔を用いた無痛分娩を行う。この事が、無痛分娩を世間に広く知らしめる契機となった[8]。
その後外科手術の際の麻酔剤としての利用が、ヨーロッパで急速に広まった。しかし毒性、特に深刻な心不整脈などの原因になり易いという特徴を持ち、その犠牲者は「中毒者の突然死」と表現された。このため20世紀の初頭に、麻酔剤としての主力はジエチルエーテルへと移行した。高い治療指数と低価格、確実な麻酔維持能という特長から、発展途上国では2006年現在でもジエチルエーテルが麻酔剤として好んで用いられている。実際、エーテルの引火原因となる各種電子機器、電気メスを排除できるなら、現代でも麻酔維持にはジエチルエーテルが最も優れているといえよう。一時期、ハロゲン系脂肪族炭化水素であるトリクロロエチレンがクロロホルムよりも安全な麻酔剤であると提案されたことがあったが、これも後に発がん性が確認された。
合成
工業的には塩素とクロロメタン、もしくはメタンを400-500℃で加熱することで得られている。この温度ではフリーラジカルハロゲン化反応が起き、メタンやクロロメタンが徐々に塩素化された化合物へと変換される。
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