アフターバーナー
「アフターバーナー」の基本的な意味
「アフターバーナー」とは、ジェットエンジンの推力を増加させるために使用される装置のことを指します。排気ガスに燃料を噴射し、燃焼させることで高温・高圧のガスを発生させ、それを噴出することで推力を増大する。主に戦闘機などで使用され、短時間での高速加速や上昇力を向上させる目的で利用されている。「アフターバーナー」の英語表記・英語例文
英語表記:Afterburner英語例文:The fighter jet engaged its afterburner to quickly accelerate and climb to a higher altitude.(戦闘機はアフターバーナーを作動させて急加速し、高高度まで上昇した。)「アフターバーナー」の類語・類語の意味
類語:リヒート(Reheat)類語の意味:「リヒート」は、「アフターバーナー」と同様に、ジェットエンジンの排気ガスに燃料を噴射し燃焼させることで推力を増加させる装置を指す。英語圏では「Reheat」という表現も用いられる。「アフターバーナー」に関連する用語・知識
(1) ターボジェットエンジン:ジェットエンジンの一種で、タービンを利用して圧縮機を駆動し、燃焼室で燃焼させた高圧ガスを噴出することで推力を得るエンジン。(2) スクラムジェットエンジン:超音速で飛行する際に使用されるジェットエンジンで、高速で流入する空気を圧縮し、燃料と混合させて燃焼させることで推力を得るエンジン。(3) 推力:ジェットエンジンやロケットエンジンが発生させる力で、物体を前進させる方向に働く力のこと。「アフターバーナー」を用いた例文
・戦闘機はアフターバーナーを作動させることで、短時間で敵機に追いつくことができた。・アフターバーナーは燃費が悪くなるため、長時間の使用は避けられる。【アフターバーナー】(あふたーばーなー)
After Burner (A/B)
エンジンの排気ガスにケロシンなどの灯油系燃料を噴射して再び発火させる装置。
使用時には凄まじい爆音を発し、排気口から輪のように輝く炎が吹き上がるのでそれとわかる。
主に超音速航空機のジェットエンジンに取り付けられる。
「アフターバーナー」はジェネラルエレクトリック社の商標登録。
ロールスロイス社ではリヒート(Re-heat)、プラット&ホイットニー社ではオーグメンター(Augmentor)と呼ぶ。
簡単な構造で爆発的な出力を得られる反面、ミリタリー推力の数倍以上の速度で燃料を消費する。
たとえばF-15戦闘機の場合、アフターバーナー全開の状態を維持すれば5分で燃料を使い切る。
当然ながら全てを使い切れば作戦空域に到着する事も帰還する事もできないので、実際に使える時間は大抵1分に満たない。
主にマニューバーやスクランブルなど、数秒単位での加速力の差が人の生死を分け得る緊急事態(及びその状況を想定した飛行訓練)で使われる。
アフターバーナー
排気系において、未燃焼の炭化水素や一酸化炭素を再燃させるための温度を確保するバーナーのこと。かつては研究が進められていたが、触媒の実用化とともに姿を消した。しかし、ディーゼルエンジンなどの排気中に含まれるPMを酸化低減させる方法として、再び新たな角度から研究が進められている。
アフターバーナー
(Afterburner から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/19 06:35 UTC 版)
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この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2017年3月)
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アフターバーナー (afterburner, A/B) は、ジェットエンジンの排気に対してもう一度燃料を吹きつけて燃焼させ、高推力を得る装置である。なおアフターバーナーは後述の通りGE社の商標であり、一般名称はオーグメンター(augmentor, 推力増強装置)と言う。
原理
ガスタービンエンジンの理論空燃比は、空気 : 燃料 がおおよそ 15 : 1であり、熱効率やエンジンの小型化の面ではこの混合比で燃焼させるのが最も望ましいが、実際は60 : 1程度のリーンバーン(薄い混合比での燃焼)である。濃い混合比で燃焼させるということは、質量および体積当たりの発熱量が多いということであり、燃料ガスが高温となる。21世紀現在の技術では、高速回転による遠心力と圧縮・膨張するガス圧力に抗しながら、高熱に曝され続けても耐えられる強靭なタービンブレードの製造は極めて困難である。そこで、燃焼に消費するよりも多めに吸入した空気の一部は、タービンブレードや燃焼室といった構成要素を冷却するために利用され、排気筒内でも高温の燃焼ガスを取り巻くようにして排気される。ジェットエンジンのコア部分からの排気が冷却用空気によって希釈されるため、理論空燃比に比べると薄い混合比で燃焼することになる。そのため、燃焼室とタービンを通過してきた排気には、吸気時の約75 %の酸素が残る。十分に酸素を残した高温の排気に対して燃料を改めて噴射し、燃焼させることで推力を最大で約50 %増加させられる。これがアフターバーナーの原理である。燃焼によるエネルギーをほとんど回収しないため燃焼効率は極めて悪いが、大掛かりな装置を必要としないのが利点である。
2ストロークのディーゼルエンジンであるネイピア ノーマッドには、排気に未燃焼燃料が含まれるという2ストロークサイクルとディーゼルエンジンの特性を逆手に取り、排気を再燃焼するための燃焼器を搭載することで、大きな出力が必要になる離陸時に燃焼させることで推力を増強させることが可能だった。
構造
アフターバーナー部はジェットエンジンの圧縮機と燃焼室、膨張タービン部で構成されるコア部分とエクゾーストノズル部の間に位置している。エクゾーストパイプ部分の冷却のために、円筒部分が2重構造になっているものもある。
エンジン・コアのタービンからの排ガスは高速流であるため、アフターバーナーに適していない。流速を局所的に低下させるため、複数個のフレームホルダーが設けられ、火炎を維持して燃焼が持続するようになっている。フレームホルダー上流側やフレームホルダー内に燃料ノズルが複数個開口しており、噴射された燃料が素早く涙滴状から霧状になるよう工夫されている。フレームホルダーには2箇所程度に点火プラグが備わり、アフターバーナー動作時に燃料噴射の直後に点火される。また点火プラグを持たない形式では、コアからの排ガスが希釈されず、高温のまま直接吹き付けられる。そのためタービンブレードなどが満足に冷却されないので、耐熱強度が高い素材であっても、ブレード類の寿命はかなり短くなる[1]。
アフターバーナー使用時には、排ガスの圧力と流速が大きく変わるため、推進力を最適化するためにエクゾーストノズルの構造を可変式にすることが一般的である。
装備状況



主に戦闘機と超音速爆撃機が装備しており、旅客機では超音速輸送機のコンコルドとツポレフ Tu-144に留まる。
アフターバーナーは大量の燃料を消費するため、高推力が必要な時のみ使用される。爆撃機や旅客機の場合は離陸時と超音速飛行時に、戦闘機の場合はそれに加え、戦闘機動時にも用いられる。
F-15はミサイルなどの武装を一切搭載せずに巡航速度で飛行すれば数時間は飛行可能だが、アフターバーナーを全開にし続けると15 - 20分で燃料を使い切ってしまう。したがって通常このような装置が装備、使用されることはないが、この非効率的な補助装置は以下の条件時に使用される。
1. 機体の重量や設置空間に厳しい制限がある。
2. 高出力が要求される機会が限られているため、エンジンの定格を大きくすることが非合理になる。例えば、戦闘機で空中戦を行う場合である。
逆に、一定の出力で使用することを前提にしている商用の発電機や、民間の一般的な航空機では使用されない。軍用であっても船舶、車両での使用においては、クラッチの切り離しや減速歯車の使用で対応する余地があるため使用されない。
また、新しいジェットエンジンであるターボファンエンジンが旧来の純然たるターボジェットエンジンに比べると低速向けの特性になってしまったため、ターボファンエンジンを搭載した戦闘機は、遷音速~超音速飛行時においてアフターバーナー装置がほぼ必須になった。ターボファンエンジンは、ファンからの排気が燃焼に関与しないため、排気に含まれる酸素量が多くなる。そのため、アフターバーナーによる出力増大効果が大きい(しかし、一方でアフターバーナー作動時の燃料消費量もかさんでしまう)。出力増大効果が大きいということは、出力増減幅が大きいことを意味し、過酷な飛行状況や突発的な緊急事態への適応能力が高いと言えるため、高速度性能を要求されるはずの戦闘機にもターボファンエンジンが導入されている理由になっている。
最近ではジェットエンジンや機体の技術革新に伴い、ロッキード・マーティン社のF-22戦闘機が、ターボファンエンジン搭載ながらアフターバーナーなしでの超音速飛行を可能にした。
名称について
アフターバーナーという名称は、本来GE社によって商標登録されているため、同社のターボジェットエンジンに装備されている物のみを指し、MIL規格によると、この装置の用語としてはオーグメンター(augmentor, 推力増強装置)を用いるのが正しいとされる。
また、ロールス・ロイス社のジェットエンジンにおいてはリヒート(reheater, reheat jetpipe, 再燃焼装置)、プラット&ホイットニー社はオグメンタ(augmentor,(推力)増強装置)という言葉を用いている。なお熱力学一般には再熱器(reheater)という言葉があり、蒸気機関においては主タービンを駆動した後の蒸気を再度加熱し、場内電力のためのタービンを駆動したり補機駆動に用いたりするが、別途の燃料は用いず余熱を利用する場合が多い。
出典・脚注
- ^ 見森昭編 『タービン・エンジン』 社団法人日本航空技術協会、2008年3月1日第1版第1刷発行、ISBN 9784902151329
関連項目
- スーパークルーズ
- 戦時緊急出力 - レシプロエンジンにおける、水メタノール噴射装置やナイトラス・オキサイド・システムなどを使用した際の緊急出力。
AFTER BURNER
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 05:49 UTC 版)
「エア・ギア」の記事における「AFTER BURNER」の解説
超高速の移動技。音速の壁を越えた衝撃波と炎だけを後に残し、その姿は見るものの視界から消えるという。
※この「AFTER BURNER」の解説は、「エア・ギア」の解説の一部です。
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