2015年最高裁判決についての論評
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「夫婦別姓」の記事における「2015年最高裁判決についての論評」の解説
判決批判判決支持木村草太(憲法学者)は、民法750条には「氏の変更を強制されない自由の侵害」も「男女間の不平等」」も存在しないとし、合憲判決へのメディアの反発が強いとはしながらも、「原告の主張に対する法律論としては筋が通っており、やむをえない」と述べている。しかし、「氏の変更を容認するカップル」と「氏の変更を容認しないカップル」間には不平等が存在するとし、選択的夫婦別姓を認めるか、事実婚にも法律婚と同等の権利を与えることによって解消できるとしている。また、民法750条は「別姓希望カップルやその子どもを法律婚から排除するだけ」で、「家族の一体感にも子どもの利益にも、かえってマイナスの影響を与えてしまっている」としている。 三浦まり(政治学者)は、裁判官出身か弁護士出身かという前職のプロフィルが反映された判決だとしている。 新見正則(医学者)は、裁判官の男女比率が男女ほぼ同数であれば違憲となった可能性を挙げ、家族のあり方もいろいろであってよいとし、個人番号があれば姓に関係なく個人の特定が可能と主張している。 下重暁子(作家)は、「先進国で夫婦同姓が残っているのは日本だけ」であり、合憲判決は「時代遅れで恥ずかしい」と主張している。 土堤内昭雄(日本フィランソロピー協会シニアフェロー)は、世界的には同性婚の広がりなどがみられるように結婚観が多様になり、全ての夫婦に対して法律が一律に同姓を規定する国は少なく、多様な価値観に基づく議論を期待する、としている。さらに、少子高齢化という人口構造の変化がシルバー民主主義をもたらし、社会制度づくりの意思決定の議論に歪を与えてはならない、とも述べる。 伊藤正志(毎日新聞論説委員)は、毎日新聞の論説で、合憲判決について女性の理解を得られるのかは疑問とし、女性が改姓することで「屈辱感を抱いたり、不便を感じたりする人は少なくない」ため、選択的夫婦別氏導入を進めるべきと主張している。 東京新聞の社説では、「高裁で人格権の一部だと判断された姓を一方だけが変えなくてはならないのは差別的」と報じている。 愛媛新聞は、合憲判決について、「国際的にも時代遅れで、不当な女性差別との批判も強い」とし、家族の絆や「幸せの形」も人によって異なる中、「法が個人を生きづらくし、逆に差別や排除の理由になってしまっては本末転倒」と報じている。 琉球新報は、社説で、国会に判断を委ねる判決であるとし「法の番人」としての責任を果たしていないとし、国会での法改正を急ぐべきと報じている。 泉徳治(元最高裁判事)は、政治家は常に多数を強く意識するため少数者の人権を守ることができるのは裁判所しかないのに、「今回の判決は、裁判所が果たすべき役割を果たしておらず残念」と批判している。 山浦善樹(元最高裁判事)は、「家族をめぐる裁判は、裁判官の人生観や家族観に左右される。過去の価値観にとらわれないでほしい」「どんな結論が出ても、繰り返し訴えていくことが大事だ。いずれ、国際基準からみて、日本の状況を恥ずかしいと思う裁判官が多数になる」としている。 鬼丸かおる(元最高裁判事)は、判決について、「男性は家の問題になると、他の事案には民主的だった方もかなり強硬に反対された」と述べ、「様々な事件への視点が男女で変わるなら、人口比で女性の最高裁判事を増やすべき」としている。 産経新聞は、選択的夫婦別姓導入について、「国会で論じられ、判断されるべきだ」とした判決は妥当と主張し、別氏を「希望しない」が8割を超えている世論を考慮すべきと主張している。多数の裁判官が「通称使用が広がることにより、不利益は緩和され得る」ために合憲と判断した、と主張している。また、寺田長官は補足意見で、両親と子の姓が異なることについて、「嫡出子との結びつきを前提としつつ、夫婦関係をどうするのかに議論の幅を残す」と補足意見があることに関して、子の姓について、結婚後のどの時点で姓を選択するのか、一組の夫婦に複数の子供ができた場合に子供ごとに姓を選択するのか、きょうだいで統一とするのか、等の議論が存在すると報じている。八木秀次(日本教育再生機構理事長・新しい歴史教科書をつくる会元会長)は、この裁判は最高裁が家族を「社会の自然かつ基礎的な集団単位」と位置づけた判決だと主張するとともに、世界人権宣言第16条と国際人権規約A規約(経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約)第10条の内容を踏まえた家族共同体の意義を重視した判決だと主張している。
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