2010年代・ツアーバス系との競合と座席の高級化
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「高速バス」の記事における「2010年代・ツアーバス系との競合と座席の高級化」の解説
2010年代の初年度である2010年はこれまでと比較して近距離の都市間バスも設定されることが多くなった(例:厳密には2009年設定であるが京成バスグループのマイタウン・ダイレクトバスや、京阪バスのダイレクトエクスプレス直Q京都号など)。また、一般路線バスを専門とする事業者の高速バス事業への参入(例:遠州鉄道のe-LineR)など、更なる競争激化の一途を辿る。 大都市では中心駅周辺の再開発に伴うバスターミナルの整備が進んでいる。福岡では2011年(平成23年)3月の九州新幹線鹿児島ルートの全通開業に向けた博多駅再開発に伴い、博多駅交通センターのリニューアルが行われ更に博多バスターミナルと改称された。大阪では2011年5月に大阪駅北側のノースゲートビルディングが完成し、駅南側の桜橋口にあったJRバス系の高速バス乗り場が大阪駅JR高速バスターミナルとして同ビル1階に移転した。東京では、東京駅周辺の再開発事業により既に2007年に八重洲南口のJRハイウェイバスのりばが少々北側へ移動しているが、工事の状況によっては若干の乗り場変更や再移動の可能性もある。また、新宿では新宿駅南口地区基盤整備事業に伴い、今まで事業者毎に分散していた高速バス乗り場を一本化したバスタ新宿が2016年4月にオープンした。 首都圏と京阪神を結ぶドリーム号はツアーバスとの競争に晒されながら好調を維持してきたが、更に競争力をつけるため、2010年7月よりプレミアムシートを装備した「プレミアムドリーム」を大増発する一方、その分通常の「ドリーム号」は減便となっている。プレミアム化は他社でも広がっており、ドリーム号の四国方面便(2009年から、JR四国バス運行便のみ)や「はかた号」でも2009年末ダブルデッカーに置換えと同時にプレミアムシートとエコノミーシートを導入した。また安さを求めるニーズがある廉価版は「青春エコドリーム号」に一本化する一方で運賃制度を多様化した。更に中国バスは座席は2列シート定員僅か14名の個室付きの「ドリームスリーパー」の運行を開始した。 プレミアムシートの導入は夜行便のみならず、首都圏発着の昼行便でも進んでいる。 関西圏では2010年に第二京阪全通後、京阪間の短距離高速バスの拡充を行った。京阪バスのダイレクトエクスプレス直Q京都号を皮切りに新規参入路線として大阪バスの京都特急ニュースター号や近鉄バスの八尾・京都特急線が運行開始となった。いずれも大阪東部と京都駅を直結する路線で鉄道では大阪市内経由で乗り継ぎが要する一方で高速道路ではほぼ直結できるという利便性を買っている。また同時に松井山手駅の近くに高速京田辺バスストップを新設し、南海バスの高速路線バスやドリーム号の客扱いも開始している。 2012年になると従来のツアーバスとの競争に加え、格安航空会社(LCC)との競争も無視できなくなった。一部の路線では「キャンペーン運賃」と銘打って運賃を半額近くに値引く例もあるが、一方で競争激化に耐えられず廃止される路線も出てきている。 2013年8月には「ツアーバス」の形態による都市間バスの運行ができなくなり、乗合バスに一本化された(次項)。また、新高速乗合バスとの一本化に伴い曜日別や便別など多様な運賃設定が可能になり、多くの従来からの高速乗合バスが幅運賃を採用した。例えば西武バス・越後交通・新潟交通が運行する「東京―新潟線」は2000年代まではどの日・どの便でも同一運賃だったが、2014年現在では東京―新潟間が6,200〜3,100円と同じ路線でありながら2倍の差がついている。 その後新高速乗合バスとの競争激化や更なるニーズの増加などの情勢をふまえ、「横浜イーライナー」や「ドリーム静岡・浜松号」など、比較的近距離においては4列シートの夜行便が新規に運行を開始したり3列シートから車両変更したりする例が現れている。 2010年代後半よりバス運転士不足が社会問題化してきたが、高速バスにもその影響が出てきている。繁忙期の続行便を大幅に減らしたり、路線の休廃止する 事業者も出始めている。
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