2010年代以降 Fight for $15(最低時給15ドルへ引き上げる為に闘う)運動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 14:20 UTC 版)
「最低賃金 (アメリカ)」の記事における「2010年代以降 Fight for $15(最低時給15ドルへ引き上げる為に闘う)運動」の解説
2012年11月のニューヨークで行われたマクドナルドの店員による一日ストをきっかけ に、Fight for $15(最低時給15ドルへ引き上げる為に闘う)運動がファストファッションやウォルマートに代表される小売店舗をターゲットにした賃上げ要求運動が開始され、アメリカ国内各地で逮捕者(主に交通の妨害)が出るほどのデモ活動 が展開された。 この運動の目的は、人間らしい生活ができる最低水準となる貧困ラインを上回る賃金15ドルへと引き上げること、そして、ファーストフードの本体企業に使用者責任を負わせ、労働組合を組織しやすくすることである。 この運動の中心団体は、サービス従業員労働組合( SEIU)である。その中心団体を中核として地域住民の組織、学生、中小企業事業主、宗教団体、NPOやホテルやレストランの従業員を組織する労働組合UNITE-HERE(英語版)も参加している。 この運動に対して、アメリカ商業会議所や国際フランチャイズ・チェーン協会は、SEIUの支援による運動の影響が大きいことを批判的に指摘している。そして、経営者団体も現役従業員がほとんど参加がなく、労働組合が主導的な立場にあることを理由に批判した 更に、マクドナルド元CEOエド・レンシ(英語版)は、フォックス・ビジネスチャンネルの朝の番組で、最低時給が連邦最低賃金(7.25ドル)の2倍以上に引き上げれば、より安価なロボットを導入するなどして、ファーストフード企業の使用者側が引上げに対する人件費の上昇を抑えるために、安価なロボットに代替し、ファーストフード店員を解雇するなどの雇用の悪影響を指摘している。更には、オックスフォード大学のマイケル・オズボーン博士が2013年に発表した論文によれば、2030年代までにファストフード店で料理をする従業員が、ロボットやAIに取って代わられる可能性が81%と高いことを指摘している が、この論文に対して、実験室レベルで自動化が出来る仕事も含まれているため、過大に推計されているとの批判もある。そして、職業を構成するタスク(業務)単位でみた場合に70%超えのタスクが自動化される職業は9%程度(アメリカの場合も9%程度)にとどまるとの研究結果もある。またAIや機械化によって雇用が奪われるという主張もあるが、それらの技術によってタスク量が減少するが、AIや機械化を導入したり、維持したりする仕事やそれらの技術により新たな仕事が生まれることにより、雇用が生み出される可能性もある。しかし同時に、中程度の技能を有するルーティン業務が減少し、専門的な技能が求められない低スキルの仕事と高度な技能が求められる仕事へと2極化していき、経済格差が拡大していくとの予測もある。 一方で、中小企業事業主団体が最低賃金引き上げを求めるロビー活動を展開するようになるなど、運動を支持する動きは広がりをみせている。
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