飛行場への攻撃
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 23:50 UTC 版)
バルカの北にある飛行場へ向かうため、「T1」巡視隊は主道路を用いて、街の東側に沿って移動した。イタリア軍のとある自動化部隊が脇を通って行き、友好的な挨拶が交わされた。部隊が飛行場に差し掛かると、ワイルダー大尉は馴染みの車両「トゥ・ティラ3(Tu Tira III)」を運転したかったので、指揮官のジープを後にした。当トラックに乗っていた他の者は、パーカーとホランドの両隊員であった。飛行場の入口近くで巡視隊は数名の歩哨に誰何され、そちらは撃ち倒された。飛行場の門に近寄ると、そこが閉ざされているものの未施錠であることが判明した。ワイルダーが門を開き、トラック群は飛行場に乗り込んだ。最初に遭遇した目標は、52缶の航空燃料を積んだトラックとトレーラーの1編成であった。機関銃の斉射でそれらは火の玉と化し、飛行場のほとんどを照らし出して、部隊が動き回る路を見出しやすくした。 イタリア軍は攻撃を予想していたものの、主道路から到来する車輛群がそれを行うことが可能とは考えていなかった。代わりに彼らは、南方から攻撃を仕掛ける歩兵部隊への反撃を準備していた。結果として、「T1」巡視隊はほとんど反撃に遭わずに攻撃を開始することができた。次の目標はコンクリート製の管理用建物で、これも士官用営舎や兵舎のための場所であった。窓から数個の手榴弾が投げ込まれて、内部で火災を発生させた。格納庫や他の建物、またいくつかの輸送自動車が銃撃を受け、44ガロン・ドラム缶の燃料集積所が破壊された。 飛行場本体では、「T1」巡視隊は1列を形成して時計回りに進み、曳光弾や発火性(英語版)、爆発性の弾薬の組み合わせで停留中の爆撃機を銃撃した。「T1」巡視隊が用いた火器は303口径の空冷式ブローニング銃の3組、50口径のヴィッカース重機関銃が2丁、2丁が1組にされた303口径のヴィッカース・K型銃(英語版)で、どれもトラックの後部仕切り、あるいは助手席の扉側柱に据えられた回転銃架を用いていた。これらの火力に加えて、「T1」巡視隊のマーリン・クロウ伍長は「ノーベルのゼリグナイト」(「808」としても知られる)から造られた小型の時限式発火爆弾を工夫していた。クロウとイーランズが列の最後尾の車両「テ・パキ3(Te Paki III)」に搭乗しており、箱一杯の爆弾を備えていた。まだ炎上していない飛行機に差し掛かると、2名は飛び降りて各飛行機へ走り、燃料タンクの上となる主翼上部に爆弾を設置した。信管が反応し飛行機が爆発炎上したので、両人は地面へ飛び伏せなければならなかったとクロウ伍長は述べた。 私は13個の爆弾をもって動き出して、その11個を片づけた。周り中で起きていることがあっても、自分の仕事をこなすのに忙しくて、恐怖でおののいてはいられなかった……残った2個の爆弾で、1つは安全用の信管が壊れていた。それで我々はそれらをまとめて、小型の単発機(イタリア軍が用いていた、ドイツのフィーゼラー・シュトルヒ機)に置いた……小型機は粉々に吹き飛んだ! — マーリン・クロウ 少なくとも10機の飛行機が、この形で破壊された。クロウとイーランズは全くの無傷で退避した。 「T1」巡視隊は飛行場でおよそ1時間を費やしたにも関わらず、ニュージーランド軍人側は誰も撃たれることなく、その車輛はいずれも行動不能となることはなかった。LRDGの運転手たちは高速での機動に熟達しており車輛を難しい目標となし、また同時に射撃手たちは正確で高度に集中させた射撃を続ける術を弁えていた。部隊に損害がなかった理由たりうるもう一つの要因は、当飛行場を防衛していた多数の対空砲が、地面に水平に射撃できなかったというものであった。 ワイルダー大尉が記した作戦後報告では、イタリア軍を以下のように観察した。 ……我々を待ち受けていたが、非常な恐慌状態に陥ったようで、その発砲は非常に乱れたものであった。 — N・P・ワイルダー ワイルダーの報告に基づいて、「T1」巡視隊は32機の主として爆撃機を破壊し、あるいは損傷させたと考えられた。イタリア軍の公式の数字は、16機が破壊され7機が損傷を受けたと見積もっている。
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