音韻史
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古代チベット語の音韻はチベット文字によって比較的正確に表現されている。ただし、音節末子音は有声閉鎖音が書かれるが、実際には無声化して発音された。前置字の有声・無声は基字に同化して発音された。「hr」と「lh」は実際には「r」と「l」の無声音を表していた。「'」は母音の前では有声軟口蓋摩擦音であったが、子音の前では同器官的前鼻音化を表した。左右反転した i に音韻的な意味があったかどうかは意見が分かれる。 たとえば、「Srongbtsan Sgampo」(ソンツェン・ガンポ)は、現在のラサ方言では [sɔ́ŋtsɛ̃ ɡʌ̀mpo] と発音されるが、古代には [sroŋptsan zɡampo] と発音された。また、「'babs」の発音は [mbaps] であっただろう(現代ラサ方言では [bap])。 9世紀にすでに中央方言で子音連結の単純化、子音の無声化、声調発生がはじまっていたことが、チベット語の単語を他の言語で写した例、とくに中国語中古音およびウイグル語表記によって知ることができる。 上記の証拠によって、チベット語の発達の概要を以下のようにまとめることが可能になる。まず、821-822年の唐蕃会盟碑によって明らかなように、9世紀にはすでに音節頭の複雑な子音連結は単純化しており、声調も発生の過程上にあったと見られる。 次の変化がツァン方言におこった。r のついた子音がそり舌音に、y のついた子音が硬口蓋音に変化した。 その後に、東部と西部の言語以外で、上接字として書かれる子音、および音節末の d と s が消滅した。この段階のチベット語はラーハウル・スピティまで拡散した。ラーハウル・スピティでは上接字は無音になり、音節末の d と g はほぼ無音化し、as os us は ai oi ui に変化している。この時代にチベットから辺境の言語に借用された語彙は、より早期に借用された語彙と大きく異なっている。 それ以外の変化はより新しく、ウー・ツァン地域に限られる。ウー地方では、母音の a o u に舌頂音(i d s l n)が後続したときに、大部分がウムラウトをおこして ä ö ü に変化した。ツァン地方でも同様の変化がおきたが、ただし l が後続する場合は単に長母音化するだけだった。
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音韻史
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16世紀に訪れたキリスト教宣教師たちが記録した資料によると、「せ」「ぜ」は「xe」「je」と表記されており、現在の「シェ」「ジェ」に相当する音であったことが知られている。ジョアン・ロドリゲスが編纂した『日本大文典(Arte da lingoa de Iapam)』(1604年 - 08年、長崎)には関東方言について以下のように記述している。 xe(シェ) の音節はささやくように se(セ) または ce(セ) に発音される。例えば Xecai(世界、シェカイ) の代りに Cecai(セカイ) と言い、Saxeraruru(サシェラルル) の代りに Saseraruru(サセラルル) と言う。この発音をするので、関東のものは甚だ有名である。 このことから現在の発音が当時は関東の方言音であったことが分かる。現在でも東北地方の一部や西日本の方言に「シェ」「ジェ」の発音が残っている。
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音韻史
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下の表は、語幹の語頭での子音の対応に基づいてHale(1967)によって再構されたタノ祖語の子音を含む。 *ɡの証拠は接頭辞に由来する。*ɡは、語幹の語頭では見つからないため、上記の表では括弧内にある。ヘイルは鼻母音から鼻音化の特徴を再構する。母音の長さ、声調、強勢などの母音音質や韻律的特徴は、カイオワ・タノ語族ではまだ再構されていない。Hale (1967)は、母音品質の特定のセットを提供する。 次の表は、カイオワ・タノ祖語に再構された頭子音と娘言語におけるその反映を示している。 上記の表に見られるように、多くの音韻融合がさまざまな言語で発生している。上記を支持する同根語のセットは以下のとおり。
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