逮捕と訴追
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 15:33 UTC 版)
「プッシー・ライオット」の記事における「逮捕と訴追」の解説
詳細は「ru:Дело Pussy Riot」を参照 2012年3月3日、プッシー・ライオットのメンバーとされたマリア・アリョーヒナ(英語版) (Мария Алёхина) と ナジェージダ・トロコンニコワ(英語版) (Надежда Толоконникова) がロシア当局に逮捕され、2人はフーリガン行為の咎で訴追された。当初2人は、グループのメンバーであることを否認し、拘留により幼い子どもたちから引き離されたことに抗議し、4月に裁判が始まる前にはハンガー・ストライキも行なった。 3月16日に、もうひとり、それまでこの事件の目撃者として取り調べを受けていたエカチェリーナ・サムツェヴィッチ(英語版) (Екатерина Самуцевич) が、同様に逮捕、訴追された。 6月4日、彼女たちは2,800ページに及ぶ起訴状により正式に起訴された。7月4日になって、彼女たちは突然、7月9日までに弁論準備を終えるべしとの告げられた。これに対して彼女たちはハンガー・ストライキを宣言し、事実上2日間(告知された4日は水曜日、9日は月曜日で、平日は木・金の2日しかない)では裁判の弁論準備には不十分だと主張した。7月21日、裁判所はさらに6か月の拘置延長を認めた。 拘束されたプッシー・ライオットの3人のメンバーは、政治犯救援組織 Союз солидарности с политзаключенными (СПП) から政治犯と認定された。アムネスティ・インターナショナルは、「ロシア当局の反応の厳しさ」を理由に彼女たちを良心の囚人と認めた。 ロシア国内ではさらに厳しい見解が大々的に表明された。3月21日、モスクワのリザパラジェーニヤ教会(祭服教会) (Церковь Ризоположения) の聖体礼儀において、モスクワ総主教キリル1世は、プッシー・ライオットの行為は「冒涜的」であるとし、「悪魔が私たちすべてを笑いものにしている ... 偉大な祭壇の前で嘲笑することが許されるなら、また、このような不謹慎が、勇気のある政治的抗議表現であるとか、許容されるべき範囲の行為であるとか、害のない冗談だとされるなら、私たちに未来はない」と述べた。人気歌手のアーラ・プガチョワが女性の声を代弁して、拘束されている3人は投獄されるのではなく、コミュニティへの奉仕活動に従わせるべきだと述べた。BBCの特派員ダニエル・サンドフォード (Daniel Sandford) は、「彼女たちの扱いは—1967年にロック・バンド、ローリング・ストーンズのメンバーが裁判にかけられたときに作られた言い回しで言うならば—彼女たちは「車輪で轢かれる蝶」だと感じる多くのロシアの人々に、深刻な不安を与えた。 2012年6月下旬、裁判日程も決定されないまま続いていた3人の拘置への懸念が高まり、過剰かつ恣意的な処置への危惧から、公開状が作成されることになった。この公開状には、反体制運動に連なる主要な人々が署名しただけでなく、プーチン支持者として知られる映画監督フョードル・セルゲーヴィチ・ボンダルチュク (Фёдор Сергеевич Бондарчук) や、プーチンの再選運動のビデオに登場した女優チュルパン・ハマートヴァと俳優エフゲニー・ミローノフまでもが名を連ねた。ロシア映画人同盟 (Союз кинематографистов России) の代表である ニキータ・ミハルコフは、インタビューに応え、彼女たちに「反対」する立場から、この公開状に署名すると述べた。 2012年7月、社会学者アレック・D・エプシテイン (Алек Д. Эпштейн) が、3人を支援するために、ロシアの芸術家多数の作品を集めて編集した『Алек Д. Эпштейн. Искусство на баррикадах: Pussy Riot, «Автобусная выставка» и протестный арт-активизм(バリケードの芸術:プッシー・ライオット、«バス展示»、抗議する芸術活動)』を出版した。 3人の女性たちの裁判は、モスクワのハモーヴニキ(Хамовники)区の地区裁判所で7月30日に始まった。「宗教上の憎悪ないし悪意を動機とする組織的集団によって実行された、事前に準備されたフーリガン行為」の罪で訴追された3人は、最長7年の懲役に処される可能性がある。7月上旬にモスクワで行なわれた世論調査では、回答者のほぼ半数が裁判に反対であるものの36%は裁判を支持しており、残りは態度を決めかねているという結果が出た。被告たちは無罪を主張し、意図的に法を犯す抗議を行なったものではない、と述べた。7月31日、イギリスの日刊紙『フィナンシャル・タイムズ』は社説を出し、被告たちは既に「これまでに受けた惨い仕打ちのために、国際的にも特別な大事件 (cause célèbre) となっている」と論じた。
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