各種制度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/27 00:57 UTC 版)
天皇及び摂政等 皇室典範第21条や国事行為臨時代行法第6条により、摂政や国事行為臨時代行は、摂政在任中又は国事行為臨時代行委任されている間は訴追されない。ただし、各条文では「訴追の権利は、害されない」としており、摂政在任中又は国事行為臨時代行が委任されている間の訴追は公訴時効は停止となり、摂政退任又は国事行為臨時代行終了と同時に公訴の提起がされる。天皇についての条文はないが、摂政の条文から同様に解釈されている。 国務大臣 国務大臣について憲法は「国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない」とする(日本国憲法第75条)。「逮捕」と「訴追」との関係については先述のように学説に対立がある。首相の同意なしで現職閣僚が逮捕された例はある。1948年9月30日には栗栖赳夫国務大臣(経済安定本部総務長官兼物価庁長官兼中央経済調査庁長官)が昭和電工事件で逮捕された時、東京地裁は「訴追は、逮捕・勾留とは関係ない」との判断を下し、首相の同意なしに逮捕令状を交付した(3日後の10月2日に訴追前に閣僚を辞任している)。なお、栗栖の刑事裁判は1962年に最高裁で有罪が確定している。 国会議員 国会議員について憲法は「両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない」とする(日本国憲法第50条)。 外交官 外交関係に関するウィーン条約により、外交官は刑事裁判権から免除され、民事裁判権や行政裁判権も原則として免除される(同条約31条、外交特権)。認証を受けた外交官の違法行為や不良行為に対しては、ペルソナ・ノン・グラータしか対抗手段がない。国交が途絶し敵対関係にある場合にも、この特権は一般に保護されるため、外交官によるスパイ活動を防止するためには、重監視をつけるなど、事実上の軟禁状態に置くような手段が取られる。 条約では、刑事裁判および民事・行政裁判権の全てから免除されている(31条)が、外交官本人が自国(派遣国)の国内法で捜査・裁判されたり(同条約31条)、派遣国側が免除特権を放棄する場合(同条約32条)、あるいは国外退去処分と外交官認証の撤回ののち、別の条約(犯罪人引渡し条約)が適用されることを回避しているものではない。外交特権も参照 在日米軍の構成員等 在日米軍の構成員及びその軍属や家族についての日米間の刑事裁判権の帰属については日米地位協定によって定まる。 大統領 一般に国家元首に対する訴追は否定されており、フランス、イタリアでは国家反逆罪以外では訴追しないことが憲法に規定されている。この場合弾劾による議決(判決)により失職することで訴追の対象となる。弾劾制度については各国により対象者の範囲や制度の趣旨、訴追への過程が異なる。
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