国家反逆罪とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 国家反逆罪の意味・解説 

反逆罪

(国家反逆罪 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/29 07:28 UTC 版)

反逆罪(はんぎゃくざい , : treason)は国家または君主に対する忠誠義務違反の罪。

歴史

ゲルマン法の反逆罪の原型には、①信義に反することを意味する「Treubruch」、②共同体に対する忠誠を侵害する「Landesverrat」というものがあった。前者は、封建的な主従関係等における信頼を害する罪であるが、この関係は個人的・双務的であるため、正式に心中の近いを撤回した上で反乱を起こしても、反逆罪とはならない。他方、後者は、本来的には君主個人に対する罪ではないが、君主が共同体を体現するものと認識されるようになると、王家に対する罪としての「Hochverrat」という観念が分立した。これに類似し、ローマ法には、③至高の国家権力の神聖不可侵性「majestas」を害する罪という観念があり、この「majestas」がローマ人民の共同体に帰属するものからローマ皇帝個人に帰属するものとされていっていたが、これも西欧における反逆罪概念の原型となった。[1]

イングランドでは、前記②の「Hochverrat」と「Landesverrat」の区別に対応し、「国王個人」に対する罪と「王冠」に対する罪を区別する議論もあったが[2]1351年の反逆法では君主と王朝の区別はされなかった[3]。また、1381年の反逆罪法は、ワット・タイラーの乱などを踏まえ、前記①の観点からすれば反逆罪とならないはずの農民反乱なども含め、反逆罪に当たるとした[4]。さらに、1534年の反逆罪法は、国王の生命身体のみならず、その地位、権力、威信などを反逆行為の対象と定めており、前記③「majestas」の毀損を問題とする性格を有し、反逆罪をローマ法化させた[5]。そうしたところ、1649年チャールズ1世が国王の地位にいながらにして反逆罪を犯したものとして処刑されており、これはイングランドの「majestas」の占有主体が国王から人民に移転したと評価されることになる[6]

18世紀フランスでも君主と王朝(ないし国家)の区別はみられなかったが、フランス革命後、立憲君主制の下で制定された1791年刑法は君主と国家を初めて区別した[3]。フランス革命後のフランスではオーストリアプロイセンとの対立から1791年刑法、1810年刑法(ナポレオンによる統治下)、1832年改正法(七月王政下)のいずれも外患罪など国家の外的安全を重視した[3]。そのため内乱罪と大逆罪は1853年改正法でも一括りにされていた[3]ベルギーの1867年刑法、ドイツの1871年刑法、オランダの1881年刑法、イタリアの1889年刑法なども大逆罪と内乱罪は一括りにされていた[3]

一覧

イギリス

アメリカ合衆国

脚注

  1. ^ 将基面, 貴巳『反逆罪』岩波書店、2024年11月20日、14-33頁。 
  2. ^ 前掲将基面・49~52頁
  3. ^ a b c d e 新井勉「近代日本における大逆罪・内乱罪の創定」『日本法學』第79巻第2号、2013年。 
  4. ^ 前掲将基面・64~66頁
  5. ^ 前掲将基面・110~112頁
  6. ^ 前掲将基面・157~170頁

関連項目


「国家反逆罪」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「国家反逆罪」の関連用語

国家反逆罪のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



国家反逆罪のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの反逆罪 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS