調査の意義・Q&A
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 00:36 UTC 版)
「国勢調査 (日本)」の記事における「調査の意義・Q&A」の解説
本調査の意義に関する主な質問と質問は以下のとおりである。 (国勢調査に関する各種の疑問に対する総務省統計局の回答については、平成22年国勢調査に関するQ&Aを参照) 住民基本台帳で人口を把握しているのだからその値を使えばいいのではないか →これは明確な誤解であり、住民票を移さない人口の多さと統計結果でその地域の施策が変わることを全く理解していない。さらに住民基本台帳で得られるのは男女別等基本的な属性および家族構成のみで、就業状況等の詳細な属性が把握できない。さらに就学や単身赴任、入院などによる期間が限定的な人口移動は住民票の転入転出届を出さずに行われることが多く住民票からは把握できない。実際、大学の多い大都市地域では、住民基本台帳に基づく若年人口が、国勢調査に基づく若年人口を大幅に下回っており、大学生の中には、住居移動をしても住民票の変更手続きをしないまま、大学に通っている者が多いという事情を伺わせる。この様に、住民基本台帳に基づく統計では利用面で限界があることから、日本では定期的に国勢調査を行い、正確な実態を把握することとされている。例えば市内に大学が数多くある東京・八王子市だけでも2015年の国勢調査で判明した市内の人口は57万8000人で、住民票に基づいた人口56万3000人より、1万5000人多い結果となっていた。佐藤正広東京外国語大学大学院教授は、「住民票は移していないものの、ゴミも出すし、上下水道も使う。さまざまな社会的なインフラに負荷がかかるため、行政としては、そこまで計算に入れて中長期的な計画を立てなければならない。このほか、コンビニの出店計画などにも影響が出るだろう」と指摘している。 何のために調査を行うのかそもそも知られていない。 →国勢調査で提出された人口は人口分析だけではなく、法定人口として地域行政の規模(議員定数の決定、市や指定都市などの設定要件、地方交付税交付金の配分、都市計画の策定、過疎地域の要件、衆議院議員選挙区の画定)を決定したり社会福祉・まちづくり・経済政策・災害対策など、行政上、欠かせない役割を担っている。また、国勢調査の結果から、日本の将来人口推計や地域ごとの人口や雇用の実態などが明らかにされ、それを通じて国民が国や地域の実態や将来像を正しく理解するために広く活用されている。このように国勢調査は、その結果が様々な政策に用いられるほか、国民が国や地域の実情を知ることを通じて、国民生活に役立っている。 調査員が訪問する時間帯は多くの会社等の勤務時間と同じ昼間であり、共働き等で昼間家にいない場合、調査員と調査対象者が会うことが難しい。 →2010年以降の国勢調査では、提出をより容易にするために、世帯が希望すれば調査票を郵送により提出できることとしており、そのために全世帯に郵送提出用封筒(郵送料は国が負担)を配布することとされている。2015年には回答者の36.9%はインターネットで回答している。2020年には総務省はコロナ感染予防のため、対面式の方の調査を説明などをインターフォン越しに行ったうえで、書類は郵便受けに入れるなどとした方針に変えた。 調査票の回収方法に関して、2005年調査においては、調査員を装った者が調査票を回収する事件が発生したり、また調査票を調査員に渡すことに抵抗を感じる世帯も多くなっている。 →2010年国勢調査では、調査員をより正確に識別できるよう、調査員が、写真入りの身分証明書、腕章、国勢調査のネーム入りの手提げ袋を携行することとしており、これによって従来よりも識別性が高まるとされている。また、調査票を調査員に提出する場合には、すべての世帯で、予め配布された封筒に調査票を封入して提出することとされている。また、希望する世帯は郵送によって調査票を提出することも可能とされている。 過去の国勢調査結果を参照する場合、従前、統計局のウェブサイトでは、1980年以降の国勢調査結果を公開していたが、それより前のものは載せていなかった。民間のサイトでも同様であり、そのため、戦後高度経済成長期の日本の実態を調べるには、わざわざ図書館などで国勢調査報告書を閲覧しなければならなかった。 →2008年からは政府統計共同利用サイトの開設などを通じて、インターネットによる統計提供の拡充・改善が進められている。国勢調査の結果を始めとする各種統計が、より長期間の系列インターネットで従来よりも使いやすい形で提供されるようになっている。 なお、国勢調査の過去のデータを利用する場合には、総務省統計局の次のサイトの情報が便利である。 平成7年国勢調査結果 平成12年国勢調査結果 平成17年国勢調査結果 国勢調査の時系列データ 人口統計の長期時系列データ(明治、大正期も含み、国勢調査のほか人口動態統計なども収録)
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