蛮社の獄とその最期とは? わかりやすく解説

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蛮社の獄とその最期

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 04:13 UTC 版)

渡辺崋山」の記事における「蛮社の獄とその最期」の解説

天保9年1838年)にモリソン号事件知った崋山長英幕府打ち払い政策危機感持ち崋山はこれに反対する『慎機論』を書いた。しかしこの書は海防批判する一方で海防不備憂えるなど論旨一貫せずモリソン号についての意見明示され結論至らぬまま、幕府高官対す激越批判で終わるという不可解な文章になってしまった。内心では開国期待しながら海防論者を装っていた崋山は、田原藩年寄という立場上、『戊戌夢物語』を書いた長英のように匿名発表することはできず、幕府対外政策批判できなかったためである。自らはばかった崋山提出取りやめ草稿のまま放置していたが、この反故にしていた原稿が約半年後の蛮社の獄における家宅捜索奉行所あげられ断罪根拠にされることになるのである。 かつて、蛮社の獄は、幕府保守派目付鳥居耀蔵蘭学者嫌って起こした事件とされていたが、これは明治藤田茂吉がこれを自由民権運動との連想書いたためである。だが実際には、鳥居江川英龍との確執原因であり、天保10年1839年5月鳥居江川とその仲間を罪に落とそうとした。江川老中水野忠邦にかばわれて無事だったが、崋山家宅捜索の際に発表控えていた『慎機論』が発見され陪臣の身で国政容喙したということで、田原蟄居することとなった。 以上の通説に対して江戸湾巡視の際に鳥居江川の間に対立があったのは確かだが、もともと鳥居江川以前から昵懇間柄であり、両者親交江戸湾巡視中や蛮社の獄の後も、鳥居失脚する弘化元年1844年)まで続いているとの指摘がある。鳥居江戸湾巡視蛮社の獄1年も前から花井虎一使って崋山内偵進めており、蛮社の獄原因鳥居江川確執求めるのは誤りで、蛮社の獄鳥居が『戊戌夢物語』の著者探索ことよせて「蘭学にて大施主」噂されていた崋山を、町人たちともに「無人島渡海相企候一件」として断罪し、鎖国排外閉鎖性緩み対す一罰百戒企図して起こされ事件であるとしている。 天保12年1841年)、田原池ノ原屋敷謹慎生活を送る崋山一家貧窮ぶりを憂慮し門人福田半香計らい江戸で崋山書画会を開き、その代金生活費充てることとなった。ところが、生活のために絵を売っていたことが幕府問題視されたとの風聞が立ち(一説には藩内の崋山派による策動とされている)、藩に迷惑が及ぶことを恐れた崋山は「不忠不孝渡辺登」の絶筆の書を遺して、池ノ原屋敷納屋にて切腹した。 著書に『初稿西洋事情書』『再稿西洋事情書』『外国事情書』『鴃舌或問』『鴃舌小記』など。 崋山対する反崋山派の圧力その死後強く、また幕府の手前もあり、息子渡辺小崋家老就任して家名再興果たした後も墓を建立することが許されなかったという(江戸幕府崋山の名誉回復と墓の建立許可したのは、江戸幕府滅亡直前慶応4年3月15日1868年4月7日)のことであった)。なお、小崋をはじめとする崋山の子はいずれ子供恵まれなかったために、明治期にその家系断絶することになった1891年明治24年)、崋山正四位位階贈られた。1946年昭和21年)、田原城出丸跡に崋山祭神とする崋山神社創建された。

※この「蛮社の獄とその最期」の解説は、「渡辺崋山」の解説の一部です。
「蛮社の獄とその最期」を含む「渡辺崋山」の記事については、「渡辺崋山」の概要を参照ください。

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