網漁法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 18:46 UTC 版)
詳細は「漁網」を参照 漁網は通常、比較的薄い糸を結んで作られた網である。紀元前180年頃、ギリシアの作家オッピアノスが漁法に関する教訓的な詩『Halieutica』を書き、船からの投網使用、輪状に開いているたも網掬い、そして「主人が寝ている間に働く」様々な仕掛けを含む様々な漁獲手段を説明した。 網漁法は商用漁業の主な方法だが、延縄、引網、底引き網、そして仕掛けも使用される。 投網 - 周縁部の網裾に小さな沈子(網石)を複数つけた、円状に広がる網。「投げ網」「打ち網」とも言う。網は水面に広がるような方法で手で投げられ(打つとも言う)、沈んでいく。 その網を引き戻すことで魚を捕まえる 。この単純な装置は数千年もの間、様々な変更を加えて使用されている。 流し網 (drift net) - 海潮流に漂わせて使用する、錨で固定しない刺し網 。多くの国の沿岸部で使用されている。公海上での使用は禁止されているが、依然として行われている。 刺し網 - 網目に引っかかることで通過しようとする魚を捕らえる網。頭部の鰓などが引っかかった魚は、網を抜けての前進も後退もできなくなる。網目をより細かくし、鰓でなく歯や上顎骨で魚を捕まえるように設計された網 (Tangle net) もある。 ハアフネット (Haaf nets) - 主に英国ソルウェー湾で使用される。1000年前にヴァイキングによって英国に持ち込まれたこの技術は、漁師が大きな長方形の網を水中深くに持って歩き回ったり、鮭が網の中へ泳いでくるのを待つというもの。その後、魚は網上げによってすくい獲られる。 たも網 - 輪状に開いた枠つきの、手で持つ小型網。これは古代から使用されている。「すくい網」「さで網」とも呼ばれ、水面付近で魚をすくい上げるのに使用される。たも網には一般的に柄がついているが、柄がない場合(単純なすくい網)もある。釣り人などは略語で「たも」とも呼ぶ。たも網は魚をさほど傷つけないため、タグ・アンド・リリースや水族館用の魚捕獲に使用される。 敷き網 - 一定の深さまで網を水没させ、その後垂直に持ちげることで魚を獲る方法。網は平たいものでもできるが、袋状や箱型、ピラミッド型、円錐型でも可能である。敷き網は手動でも船でも操作可能で、海岸でも実施できる。典型的には魚をおびき寄せる餌や集魚灯(英語版)を使用する。チーナバラ (Cheena vala) - インドの沿岸部で行われている敷き網。巨大な機械仕掛けが直径20m超の水平ネットを把持しており、網が水中に浸されて再び引き上げられるが、それ以外は動かせない。元々は東南アジアから来たものだが、名称は「中国式の漁網」という意味。 サランバオ (Salambaw) - フィリピンの筏または艀で行われる伝統的な大型の敷き網。高さ15-20m前後の直立柱や塔構造を活用する。柱の頂部には、互いに交差する2つの大きなカーブした竿材があり、大きな四角形の網がこれら竿材の端に取り付けられている。柱はクレーンとして機能し、加重レバー機構を使用して傾けられて網を沈めることができる。操縦者はレバーを押し引きするか、或いは自分の体重でレバーを下ろすためにその上に登って、柱を上げる。大型アウトリガーカヌーで行われるサランバオの変種はバスニガン (Basnigan) として知られている。 引網 - 様々な方法で水中に網を配置し、網ごと引いて魚を獲る大型の漁網。浜辺から網を揚げる地引き網が単純かつ一般的な技法。 巻網 - 網の下端沿いに付けられた沈子(重り)と上端の浮子(浮き)によって垂直に立つ巾着網が知られており、網船を使って魚群を包囲したのち網裾を絞りこんで逃げ道を塞ぎ、網をたぐり寄せて魚を獲る。このほか日本独特の巻網として「揚繰網」がある。 トロール網 - 大きな円錐形の網で、海や海底沿いにを引きずるよう設計されたもの。日本では海底を引くものについて「底引き網」とも言う。トロール漁では、トロール船と呼ばれる1隻以上の船によってこの網が水中を引かれる。この水中で網を引き回す行為からトロール漁と呼ばれる。
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