統一的な身分証明書としての実用性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/10 05:35 UTC 版)
「住民基本台帳カード」の記事における「統一的な身分証明書としての実用性」の解説
住民基本台帳カードについては、使い道があまり無いのが難点(住基ネットを利用する手続・方法、住基ネットに対する問題提起を参照)と言う指摘がある。だが、これまで日本における公的機関が発行した、証明写真付きの身分証明書としては、運転免許証や日本国旅券が一般的であった。 特に、モータリゼーションの発達に伴い、年齢・性別・居住地に関わらず、国民の大多数が運転免許証を取得するようになり、身分証明書と言えば『運転免許証である』といった「常識」ができあがっており、また近年、個人情報の確認を必要とする状況が、公的機関はもとより、銀行取引や荷物の受け取り、レンタルビデオ店での登録など様々に増加し、証明写真付きの本人確認が必要とされる状況が増えるにつれ、これらを持たない人々が、不自由を強いられる状況が増えてきた。 そのような中、住民基本台帳カードによって住民基本台帳に登録されている者(=住民登録されている日本国民)なら、誰もが安価に容易に取得できる身分証明書を得られることになり、発行を評価する声もある(身分証明書を参照)。 また、在日米軍基地の一般公開時の本人確認においては、2007年以降(都道府県による。本籍欄の廃止は2010年)に交付された運転免許証では本籍欄がないため、国籍の確認ができない。そのため、日本国旅券あるいは顔写真付きの住民基本台帳カードを所持していないと、入場出来ない様になっている(厚木基地・横須賀基地など。横田基地においては、警視庁から運転免許証確認リーダーを借用して本籍を確認するので入場できる)。 ただ、カードの券面上には固有番号の記述が一切ない(住民票コードそのものなので表記できない)。このため受け付ける側で「身分証明書の番号を書き控える」ことが決められている場合、担当者が混乱したり拒否される(別の身分証明書を求められる)事例が起きている。 一例として、配達時不在の書留や小包等の郵便物を郵便局窓口で受け取る場合や、自宅において本人限定受取郵便を受け取る場合があげられる。これは局員向けのマニュアルには、身分証明書として住民基本台帳カード単体でも身分証明として認めているにも関わらず、他の身分証明とひとくくりに「所持者の許可を受けた上で、提示された身分証明書の番号を書き控える」と記載されているためである。 これも、ゆうゆう窓口の場合は局内で確認を取って柔軟に対応されることが多いが、配達員の場合は相当混乱し、別の証明書を要求されたり受け渡さず一旦持ち帰るようなことも起きた(なお本人限定郵便の郵便局窓口での受け取り時においては、複写機の設備がある場合は複写を取られるので、比較的混乱が少ない)。そのため郵便局員2人が同時に確認を行うように取り決めた郵便局もある。 しかしながら、前述の不正使用が原因となり、本人確認のために身分証明書を求める事業者によっては、写真付きであっても住民基本台帳カードを身分証明書として認めていないケースが増えてきた。一例としては、楽天銀行やじぶん銀行、大阪府信用金庫協会加盟の信用金庫、消費者金融(大手銀行のカードローンも含む)などのような金融機関や、ソフトバンクモバイルのような移動体通信事業者である。 大阪府の信用金庫については、偽造された住基カードを用いて不正に作成された口座が売買され、特殊詐欺に使用されたという経緯から、住民基本台帳カードを提示した際はもう一点他の確認書類がないと口座開設を認めないと公式に発表している。 ソフトバンクモバイルにおいては、一時期、住民基本台帳カードを本人確認書類として認めていなかった時期があり、これよって、当時これを用いて契約した者であっても、現在において認めているパスポートや運転免許証を持たない場合には、解約や料金プランなどの手続きが一切行えずトラブルとなっている。その後、プリペイド式携帯電話のみではあるが、2009年(平成21年)4月20日以後に発行された写真・QRコードが添付されたカードであれば、他の公的証明書の書類と一緒に提出すれば、確認書類とみなす場合もあるように改善された。 また金券ショップ、リサイクルショップの換金や、消費者金融の新規口座開設に際し、住基カード、ないしはマイナンバーカードが、写真付きであっても公的機関発行証明書と認められない場合もある。 即日発行がそもそもなされない自治体もあるが、即日発行ができるのは、本人が直接申請に出向き、運転免許証・パスポート・身体障害者手帳や健康保険証、年金手帳など複数の身分証明書を提示した場合などに限られている。また申請した事実確認が後日、自宅宛に郵送される。 申請を法定代理人や任意依頼人に委任する場合は、当日発行はされない。後日郵送されてくる照会書を持参して受け取るが、任意代理人による申請は必ず本人が受け取る必要がある。また、病気入院他でやむを得ない事情があって、市区役所・町村役場に直接来られない時などは、医療機関への確認や本人への意思確認が行われる。その後、郵送される通知書兼照会書(委任状付き)を持参し、代理人の本人確認ができる公的機関の身分証明書を提示して受け渡される。 なお、プライバシー保護のための暗証番号(任意数字4桁)は本人が設定するものであり、これも代理人による受け取りが原則できない理由の一つである(受け取りが代理人の場合には、シール等で回答書の中が見えないように対策されている)。
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