経過と影響とは? わかりやすく解説

経過と影響

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/12 09:41 UTC 版)

詩と詩論」の記事における「経過と影響」の解説

詩と詩論』は、感傷排して知的に詩を構成しようとする新しい詩人、詩論家と見られていた春山行夫中心に1920年代既成詩壇あきたらない超現実主義などの欧米新し前衛文芸思潮影響受けた若い詩人たち(岡本潤らの『赤と黒』、北川冬彦らの『亜』、『謝肉祭』『薔薇魔術学説』などの同人)の集合体同人誌として1928年昭和3年9月スタートした個々同人傾向多様であったが、第一次世界大戦後未来派ダダイズム表現派などの移植続き新現実主義新心理主義紹介など、詩のみならず同時代欧米文学論流れ積極的に紹介した詩的精神であるのにとどまらず文学的「エスプリ・ヌーボー」運動のともなったのであり、日本における20世紀文学確立目指すものであるとともにプロレタリア文学対抗する芸術派モダニズム運動の拠点となった。また当時季刊誌流行最初でもあった。 第1冊創刊号では、萩原朔太郎を「旧詩人」と呼びフランスの「エスプリ・ヌヴォー」の詩風標榜していた。第2冊には創刊同人以外にも、北川冬彦と『青空』で同人だった梶井基次郎の「櫻の樹の下には」「器楽的幻覚」などが掲載された。 第5冊、第7冊ではポール・ヴァレリー特集し、第8冊ではアメリカ現代作家の短編小説翻訳特集した伊藤整は、第3冊で「現代アメリカ詩壇」、第4冊ではアメリカのエドナ・ヴィンセント・ミレイ、イギリスデーヴィッド・ハーバート・ローレンスウォルター・デ・ラ・メアなどを紹介した。また阿部知二は、第5冊で「主知的文学論」を掲載して以来一連の評論書いて分断波紋投じた春山はこれに並行して厚生書店から「現代芸術批評叢書」を編集し堀辰雄訳『コクトオ抄』、安西冬衛軍艦茉莉』、北川冬彦マックス・ジャコブ骰子筒』、北川冬彦戦争』、西脇順三郎超現実主義詩論』、瀧口修造アンドレ・ブルトン超現実主義絵画』、阿部知二主知的文学論』、春山行夫詩の研究』、伊藤整新心理主義文学』、永松定訳ハーバード・ゴオマン『ジョイス文学』など20冊以上を刊行した1930年昭和5年6月春山行夫らの「現実遊離傾向」に不満を持った北川冬彦飯島正神原泰三好達治淀野隆三前田武などが脱退し季刊雑誌詩・現実』を武蔵野書院から創刊した。北川らはシュルレアリスムフォルマリズムだけに飽き足らず、「新現実主義」に基づいた雑誌目指した。『詩・現実』はやや左翼であった寄稿作家全て左翼というわけではなく、梶井基次郎の「愛撫」「闇の絵巻」などが掲載された。 その後春山行夫の『詩と詩論』は1931年昭和6年12月の第14冊で終刊し、同じく厚生書店出版により『文學』という名で1932年昭和7年3月から1933年昭和8年6月まで(全6冊)継続発行した。その「モダニズム」の部分系譜は、雑誌詩法』、『新領土』に受け継がれ戦後の『荒地』の詩人達の出発点となった。また『荒地』後の吉岡実、『凶区』の詩人達なども、昭和10年代ダダイズムモダニズム運動との関連指摘されており(木原孝一など)、『詩と詩論』の影響は、戦後にまで及んだ

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