組閣流産とは? わかりやすく解説

組閣流産

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 00:48 UTC 版)

宇垣一成」の記事における「組閣流産」の解説

昭和12年1937年)に廣田内閣総辞職したおりしも昭和6年1931年)の満州事変、翌昭和7年1932年)の五・一五事件、翌昭和8年1933年)の国際連盟脱退昭和11年1936年)には二・二六事件など、軍部による策謀日本国際的孤立化、さらには陸軍皇道派などによるテロ事件発生新聞報道による政治批判政党政治腐敗による国民政治家不信などにより政情が不安定化していた。そして、それをきっかけとして軍部政治への干渉著しくなり、危険な戦争へ突入懸念された。 元老西園寺公望加藤内閣陸軍大臣であったときに内閣方針によく協力し軍縮成功した宇垣の手腕を高く評価していた。また宇垣ならば軍部抑えが利くとも判断していた。西園寺奏上を受け、昭和天皇宇垣首相使命承知しなかった(昭和天皇独白録参照)。「大物ありながら軍部ファシズム流れ批判的であり、また中国英米などの外国にも穏健な姿勢を取る宇垣」の首班登場は、世評高かったのである。 しかし、石原莞爾歩兵大佐などの陸軍中堅層は軍部主導政治を行うことを目論んでいた。宇垣組閣成れば軍部に対して強力な抑止力となることは明白であったので、彼らは宇垣組閣阻止すべく動いた石原自身属す参謀本部中心に陸軍首脳部突き上げ寺内寿一陸軍大臣説得し宇垣に対して自主的に大命拝辞させるように「説得」する命令寺内大臣から中島今朝吾憲兵司令官命じてもらった中島中将宇垣組閣の大命受けよう参内する途中宇垣の車を多摩川六郷橋止めてそこに乗り込み寺内大臣からの命令であると言い拝辞するようにと「説得」したが宇垣はこれを無視して大命受けた。 しかし、石原諦めず軍部大臣現役武官制に目をつけて宇垣内閣陸軍大臣ポスト誰も就かないよう工作した宇垣陸軍大臣在任中、「宇垣四天王」と呼ばれたうちの2人杉山元教育総監小磯国昭朝鮮軍司令官にも工作成功し陸軍大臣ポスト宙に浮く宇垣小磯直接陸相就任打診したが、「三長官会議合意がとれればよい」「(合意とれないから直接頼んでいるのだと詰め寄った宇垣に)三長官会議合意とれない状態で引き受けても、東京に向かう途中で予備役編入』の通知受け取って無駄骨になる」と言われている。 当時予備役陸軍大将だった宇垣自身首相陸相兼任による内閣発足模索し「自らの現役復帰陸相兼任」を勅命実現させるよう湯浅倉平内大臣打診したが、失敗した際の宮中への悪影響恐れた湯浅らに拒絶されたため組閣を断念せざるを得ない状態へ追い込まれた。石原後年宇垣組閣流産させたこのときの自分行動人生最大級間違いとして反省している。石原反省は、宇垣の組閣流産の後の政治の流れが、石原が最も嫌う日本中国全面戦争石原時期尚早考えていた対米戦争への突入へと動いていったことによるもので、石原宇垣の力をもってすれば、この流れを変えることができたに違いない考えたわけである。また西園寺もこの組閣失敗によって気力をなくし、天皇下問奉答辞退したい意向述べるほどであった大正デモクラシーのさなかの第1次山本内閣において軍部大臣現役武官制予備役拡大したときに、もっとも強硬に反対し、陸軍首脳部突き上げたのが当時陸軍省軍務局軍事課長だった宇垣であり、皮肉にも広田内閣時に復活したその現役武官制により組閣断念追い込まれた。予備役でも陸相になることが可能であれば宇垣自身陸相兼任すれば宇垣内閣発足できた。

※この「組閣流産」の解説は、「宇垣一成」の解説の一部です。
「組閣流産」を含む「宇垣一成」の記事については、「宇垣一成」の概要を参照ください。

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