第3波 「医療非常事態宣言」発令・2度目の緊急事態宣言
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「吉村洋文」の記事における「第3波 「医療非常事態宣言」発令・2度目の緊急事態宣言」の解説
10月下旬から府内の新規感染者数が増加傾向に転じたが、吉村は11月中旬まで「一人一人が感染対策の意識を高めることが最も有効な手段」と強調し、特別な対策を取ってこなかった。11月11日に府は静かに飲食することやマスク着用の徹底を呼びかけたが、夏の「5人以上での飲食自粛」より弱い内容だった。11月18日の庁内会議では健康医療部が最悪の場合12月8日に病床が足らなくなるという分析を示したが、第1波、第2波での試算が当たらなかったこともあり、危機感は共有されなかった。府の1日の感染者数が370人に上った11月20日の対策本部会議でも、吉村は北海道では始まっていた時短営業の再要請について慎重姿勢を崩さなかった。しかし、翌21日からの3連休で過去最多の感染者数の更新が続くと、府は急遽24日にも対策本部会議を開き、北区と中央区の飲食店などに時短営業を要請する方針を決めたが、11月末時点での実質的な病床使用率は86.7%にまで上昇しており、医療関係者からは「対応が遅すぎる」と強い批判が上がった。また、新規感染者が増加した10月下旬には吉村と松井一郎大阪市長は大阪都構想の住民投票の投開票を前に連日街頭演説に立っており、府庁内からは「知事は都構想で頭がいっぱいだった」の指摘も出た。情報規制によってコロナ不安を鎮静化するため、11月11日には大阪府本部会議において全国で唯一となる患者情報の個票公表廃止を決定し、政府の一部統計に大阪府の情報だけが反映されない状態にした。 11月30日には新型コロナの重症者だけを受け入れる「大阪コロナ重症センター」の第1期分が完成したが、患者の受け入れに必要な医療従事者は確保のめどは立っておらず、大阪府医師会の茂松茂人会長は「以前から、病床は余っていても運営するスタッフが足りていないと言ってきた。ずっと議論してきたのに、慌てて対策を講じても遅い」と府の対応を批判した。12月3日に吉村は「自粛は意味がなかったとどんどん発信してほしい」と述べていた従来方針から転換させ、「医療非常事態宣言」を発令し、府民に対し不要不急の外出を控えるよう呼びかけた。また、12月5日には出演した民放番組で自衛隊に看護師の派遣を打診していることを明かした。これに対しては自衛官出身の佐藤正久参院議員が「自衛隊は便利屋ではない。それを理解した上で緊急対応の必要性から要請内容を具体化して要請するのが基本」と指摘し、吉村が「便利屋と思ったことは一切ありません」と応酬する一幕もあった。12月10日には和歌山県の仁坂吉伸知事が、「大阪が危ない。日本も危ない。」と題するコラムを県公式サイトに載せ、仁坂はこの中で以前から何度か府に対して爆発的な感染拡大が起こらないようアドバイスをしてきたことを明かし、医療崩壊を防ぐため、陽性者の隔離や検査の強化といった保健行政の機能強化を訴えた。吉村はこれに対し、「貴重なご意見をいただいている」とした上で「和歌山(仁坂知事)と言い合うつもりはない」と述べた。 2021年1月4日には感染拡大を受け、関東の1都3県の知事が国に緊急事態宣言の発令を要請したが、同日吉村は「大阪は現状で感染急拡大をなんとか抑えられている。今の段階では国に対して要請するつもりはない」と述べた。しかし、府内の新規感染者数は6日に560人、7日に607人と2日連続で過去最多を更新し、吉村は7日に「明らかに感染拡大の兆しが見えているなかで、先手の対応を打つべきだ」と述べ、一転して兵庫や京都と調整し緊急事態宣言の発令を要請する考えを示した。 2月1日の府の対策本部会議では吉村が政府への宣言解除要請を判断する独自基準策定を急きょ表明し、4日には『①新規感染者数の直近1週間平均が300人以下②重症病床使用率が60%未満』のいずれかを7日間満たした場合に専門家の見解も踏まえて解除要請を決定すると決めた。政府は解除基準について、重症病床使用率の目安は「50%」としており、政府が示す解除より緩い内容になっていることから、府専門家会議の座長を務める朝野和典大阪大学教授(感染制御学)は①・②の「いずれか」ではなく「両方」を満たした場合に解除を検討するよう求め、一部の府幹部も病床率の基準に異論を唱えたが、吉村は「国が『駄目だ』となれば、国に説明責任が生じる。府として宣言に相当しないと考えたら、解除要請はあるべき姿じゃないか」などとして押し切った。大阪府は8日に①の基準を満たしたが、直近7日間の重症病床使用率は62~70%となっており、9日の対策本部会議では解除要請に対する医療関係者らの反発が強く、要請を見送った。最終的に2月23日に大阪・兵庫・京都の3府知事で政府に対し2月末をめどに緊急事態宣言を前倒しで解除するよう要請した。
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