生育環境・生態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/01/31 02:19 UTC 版)
山間部に生育し、日なたから林内まで出るが、いずれにせよ貧栄養の土壌に好んで生育し、乾燥した斜面に出る。山火事などで裸地になったところに大きな群落を作ることがある点でも共通している。貧栄養な土壌を好む。 植物生態学ではウラジロ・コシダ群落を認める場合がある。これは森林伐採や山火事などで裸地になった場所に成立し、密生した群落を形成する。そのために他の植物が侵入しにくくなり、そのために遷移の進行が阻害され、一定期間維持される。樹木がその上を覆うと、光量不足から衰退し、消滅する。 群落の様子(マウイ) 群落の様子(同上) 藪こぎの様子 林床での生育状況 コシダはハワイの生態系におけるキーストーン種であり、ハワイの熱帯雨林の多くの地域に影響を及ぼしている。コシダはハワイの全ての島で見られる。生態遷移における先駆種として、溶岩流や崖錐、放棄された道といった裸地に侵入することができる。新たな土地で生育する際、繰り返し茎および葉の層を生み出し、それによって植物体によるネットワークを作り上げる。葉は死ぬが、茎の分解は非常に遅く、ネットワークが存続する。このネットワークには有機堆積物が蓄積し、落葉の堆積した層が形成され、それは時に1メートルにも達する。そこにはさらにシダ自身の根茎が侵入し、その層をさらに強固なものとする。 コシダが取り除かれた場所では、侵入種植物が移入できるため、コシダの一つの重要な機能はこれらの植物種からの熱帯雨林の侵害を妨害することである。コシダはアレロパシー作用を有している。また、コシダは森林生態系の中でも特に生産力のある種である。森林のバイオマスとしては比較的少量であるにもかかわらず、ある地域の基礎生産力の2分の1を越える割合を占めている。
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生育環境、生態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 06:39 UTC 版)
タヌキモ属の種は、淡水域であればあらゆる環境で生育できるが、南極や一部の太平洋の島などには自生していない。また、もっとも種数が多い地域は、南アメリカ次いでオーストラリアである。多くの食虫植物と同様、タヌキモ属はミネラル分の溶存量が少ない湿った土壌や、腐植質の土壌で生育する。水溶性のミネラルが流水によって失われるような、非常に湿潤な土壌では、食虫の能力が明白な利点となって、タヌキモ属が、サラセニアやモウセンゴケといった他の食虫植物と一緒に生育していることもある。 タヌキモ属の種のおよそ80%は陸生で、湿性の土壌や湛水土壌では、小型の捕虫嚢を常に水分に触れさせることができる。これらの種は、地下水面が地表面と非常に近いような湿地でも生育が確認される。陸生の種は世界中に分布するが、ほとんどは熱帯に生息している。 残りの約20%の種の3分の2ほどは水生植物であり、残りは着生植物、岩生植物(en)である。水生の種のほとんどは池や、流れが穏やかで底土が泥質である水域で、水面を自由に漂っており、開花のときのみ水上に花を突き出す。例えば U. vulgaris は、ユーラシア大陸の池や水路に分布する水生種であり、分枝して1m以上に伸長する匍匐茎は、水中で筏の役割を果たす。また岩生植物として生育する種は、流れの速い水域や滝などにも適応している水生の種は通常酸性の水中で見られるが、アルカリ性の水域でも非常に良好な生育を示す。しかしアルカリ性の水域では、より多くの植物が生育しており、競争が激しいためにタヌキモ属が生育できないものとみられる。 南アメリカの一部の種は着生植物で、熱帯雨林の湿ったコケや樹皮の上、時にはチランジアなどの葉腋に貯まった水中で生育している。U. nelumbifolia などロゼットを形成する着生性の種は、走出枝(ランナー)を伸ばして、近くに生育しているパイナップル科の種などを探し出し、その植物の上を新たな生育地とする。 タヌキモ属の種は、厳しい気候条件下においても、その植物体の構造や摂食行動によって、非常に高度に適応して生き残ることが出来る。温帯の多年生植物は、冬期には草体を枯死させて新たに再生させる必要があり、冬期がなければ草体が弱体化する。一方熱帯や暖帯の種は、休眠する期間が必要ない。 イギリスやシベリアなど気温の低い地域では、タヌキモ属の各種は茎の先端に殖芽を形成する。秋期を過ぎると草体の生長が鈍化し、植物体そのものは枯死または凍結してしまうが、殖芽は茎から分離して水底に沈み、氷の下で越冬できる。そして春に発芽して、ふたたび水面で生長する。オーストラリアに生育する種の多くは雨季にのみ生長し、10mm程度の大きさの塊茎を生産して乾季を過ごしている。そのほかの種は一年草で、種子によって越冬する。
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