生育環境・培養など
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/20 22:57 UTC 版)
糞から分離される種もあるが、ほとんどの種が土壌から発見される。森林はもちろん、耕作地であれ草原であれ、ほとんどの土壌からは、何種類かのクサレケカビ属の種が発見される。 純粋培養する場合には、通常の培地でよく成長し、胞子形成をする。しかし、培養を続けるにつれて、菌糸は成長するものの、次第に胞子を形成しなくなる傾向がある。培地中に土壌抽出液を混ぜると、この傾向はやや薄らぐと言う。 なお、一般に土壌等の試料からの微生物の分離培養は、室温と称して25℃で行われるのが通例であるが、森林土壌の温度は、温帯においてはこれよりかなり低いはずである。それを踏まえて、より低温で分離培養をしたところ、この属の目新しい種が多数分離できたとの報告がある。 また、一部の種では、土壌中の甲殻類(ダンゴムシなど)の死体があると、その周囲で盛んに接合胞子を形成することが知られている。このことは、その菌が土壌中の特定の基質と深い関連をもつ生活史を持っていることを示す。他にもそのような性質を持つものもあるのかもしれない。 しかしながら、このような個々のカビの種の生態的特徴や土壌内の個別の構造とのかかわりなどはほとんど研究が進んでいない分野である。新鮮な落葉や枯れ枝からの分解過程の研究等においては、クサレケカビ類はあまり顔を出さない。ただ、土壌の生活に特化した常在的な菌であることは確かのようである。今後の研究を待たねばならない。
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