気象予測の科学化とは? わかりやすく解説

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気象予測の科学化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/14 02:36 UTC 版)

ヴィルヘルム・ビヤークネス」の記事における「気象予測の科学化」の解説

ヴィルヘルムは師であるヘルツの「将来出来事予測が重要である」という考え方影響受けていた。彼は、1901年頃から自身構想一部として、大気の状態の時間変化自身循環定理使って計算することを考え始めていた。当時気象予測は、個人主観に基づく天気図経験的解釈頼っていた。ヴィルヘルム気象予測個人経験ではなく物理学方程式用いた科学化によって客観化することを意図した。彼は1904年に「力学物理学問題としての気象予測」という論文の中で、流体力学基づいて気象予測のための「大気厳密な物理学」を確立するという長期的な目標となる理念発表したその中で彼は次のように述べている。 "全ての科学者信じているように、大気がその前の状態から次の状態に物理法則に従って推移することがもし正しければ予測を行うための問題合理的に解決するための必要十分条件は、1.大気初期状態についての十分に正確な知識。2.大気がある状態から別の状態に推移する際に従う法則についての十分に正確な知識、であることは明白である。" 彼は気象予測のための手段として、流体力学熱力学適用した予測方程式群を示した。これが今日気象予測のためのプリミティブ方程式原型となった彼の循環定理は、変数物理学法則間の関係を補助的に計算するために使われた。 ヴィルヘルムは、1905年12月アメリカニューヨークにあるコロンビア大学招聘され講演行った。この講演聞いたアメリカ気象局気象学者クリーブランド・アッベはヴィルヘルムアメリカ気象局での講演要望した。その際に狭い気象ではなくカーネギー研究所の広い部屋で「力学物理学問題としての気象予測」という題で講演してもらうことにした。この講演聴衆中にカーネギー研究所理事長数理物理学者だったウッドワードRobert Woodward)がいた。ウッドワードヴィルヘルムの手法に感銘し、その研究実現のために彼をカーネギー協会研究提携者にして、1906年から助手雇用するための助成金援助することを約束したカーネギー協会による支援1941年まで続き、それによってヴィルヘルム多く気象学研究者育てることができた。この中から次に挙げるような世界的に有名な気象学者続々輩出することとなった 。 サンドストレーム(Johan Wilhelm Sandström):スウェーデン気象サービス長官 ヘッセルベルク(Theodor Hesselberg):ノルウェー気象研究所所長国際気象委員会IMC事務局長 スベルドラップHarald Sverdrup):ヴィルヘルムの後のベルゲン大学気象学教授カリフォルニアスクリプス海洋研究所所長ノルウェー極地研所所長、オスロ大学教授 ヤコブ・ビヤークネスJacob Bjerknes):ヴィルヘルム・ビヤークネス息子で、スベルドラップの後のベルゲン大学気象学教授と後のカリフォルニア大学UCLA気象学教授 ゾルベルク(Halvor Solberg):オスロ大学気象学教授 ベルシェロンTor Bergeron):ウプサラ大学気象学教授 ロスビー(Carl-Gustaf Rossby):シカゴ大学ストックホルム大学気象学教授 ゴッドスク(Carl Godske):ベルゲン大学気象学教授 ヴィルヘルムは、1907年ノルウェーのロイヤル・フレデリック大学(後のオスロ大学)の教授となった。そこでヴィルヘルムとサンドストレームは、気象基本方程式使って大気の状態を把握するために、天気図上での風の幾何学的な表現研究した。これより、風の瞬間的な流線と等風速線を用いて大気二次元運動場を図として表現できるようになった。また作成された図を解析することにより、風が収束または発散している地域視覚的にわかるようになった。これらの成果近代的な天気図解析法の基礎として、1910年から11年にかけて「気象力学水文学Dynamic Meteorology and Hydrology)」という本の第1巻静力学」と第2巻運動学」にまとめられカーネギー協会援助によってアメリカで出版された。また彼は、気象観測結果物理学的に扱えるように、気圧観測単位水銀柱の高さmmHgから圧力を表すmbarミリバール)に変更することや高度にジオポテンシャルハイトを導入することを初め提案した

※この「気象予測の科学化」の解説は、「ヴィルヘルム・ビヤークネス」の解説の一部です。
「気象予測の科学化」を含む「ヴィルヘルム・ビヤークネス」の記事については、「ヴィルヘルム・ビヤークネス」の概要を参照ください。

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