気象兵器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/31 03:54 UTC 版)
![]() |
この記事には複数の問題があります。
|
気象兵器(きしょうへいき)とは人為的に気象を操作することにより敵対する国家や地域に損害を与えることを目的とした兵器の一種。環境改変技術のひとつでもある。1977年の環境改変兵器禁止条約においては、環境改変技術 (Environmental Modification Techniques) と表現され、「自然の作用を意図的に操作することにより地球(生物相、岩石圏、水圏及び気圏を含む)又は宇宙空間の構造、組成又は運動に変更を加える技術」と定義されている。
環境改変兵器禁止条約
1977年5月18日、軍縮NGOの「環境制御会議 (Environmental Modification Convention)」において気象兵器を制限する環境改変兵器禁止条約(環境改変技術の軍事的使用その他の敵対的使用の禁止に関する条約;Convention on the Prohibition of Military or Any Other Hostile Use of Environmental Modification Techniques。略称はENMOD)がジュネーヴにおいて採択された[1]。なお、東京大学の教授田中明彦は、「環境改変技術敵対的使用禁止条約」と訳しており[2]、また中京大学の杉江栄一は「環境破壊兵器」と訳している[3]。 同条約では、環境改変技術を破壊や攻撃などの軍事目的による使用を禁止し、気象制御などの平和目的での使用に限定された[1]。
同条約において環境改変技術とは、「自然の作用を意図的に操作することにより地球(生物相、岩石圏、水圏及び気圏を含む。)又は宇宙空間の構造、組成又は運動に変更を加える技術」をいう[1]。
同条約に日本は1982年6月4日に国会承認をはたし、批准した[4]。同条約にはアメリカ合衆国も調印し、1978年10月5日に適用された[4]。
アメリカ国防総省コーエン長官の発言
1997年4月28日にジョージア大学で開催された対テロリズム対策会議において[5]、アメリカ国防総省長官ウィリアム・コーエンが、「幽霊(Ghosting, 背乗り)スパイ」や「ウソの脅威による恐怖」について、アメリカの作家であり未来学者であるアルビン・トフラーやウイルス兵器(生物兵器)に言及しながら、環境型テロリズム (eco-type of terrorism) や、電磁波によって意図的に惹き起こされる地震や火山活動などの自然災害、すなわち気象兵器について言及した。コーエンのこの発言は、諜報機関の活動を麻痺させるために気象兵器、地震兵器、生物兵器に関わるブラフが流されることに注意を払う必要があるという文脈で語られている。
陰謀論での例
「陰謀論」においての主張には下記のような例がある。
- アラスカで行われている高周波活性オーロラ調査プログラム(HAARP)において気象兵器の研究が行われているというもの[6]。HAARPが天候を操作した証拠はなく、操作する能力もないと否定されている[7]。
- 地震は人工的に引き起こされ兵器として利用されているというもの[8]。震災級の揺れを起こすことは非現実的と否定されている[8]。
フィクション作品での描写例
- 小説『3001年終局への旅』ではモノリスが太陽光を遮断して人類を抹殺しようとするが反撃を受け失敗する。
- 小説『琵琶湖要塞1997』ではIBM軍が使用制限された核兵器に代わる戦略兵器として列島軍に地震兵器を、スミノフ軍に気象兵器を使用したがバタフライ効果により制御不能になり自国も異常気象に見舞われる事態になった。
- 小説『新旭日の艦隊』では海に構造物を浮かべて海流を変えることにより気象を変える気象兵器が登場する。
- 漫画『パタリロ!』では犯罪組織タランテラが人工的に雹を降らせて世界の大都市の破壊を狙う「スターダスト計画」を目論み、MI6やマリネラ王国なども巻き込んだ闘争を繰り広げた。
- 漫画『スプリガン』では空間を歪めて巨大レンズを作り出す「メギド・フレイム」、火山を制御する「炎蛇」、大気制御装置「ノアの箱舟」が登場する。
- 漫画『轟拳ヤマト』では巨大ロケットで地球の地軸を変え、人工的にポールシフトを起こさせようとした。
- 漫画『ブルーシティー』では核爆弾でオゾン層を破壊し、紫外線で地上の全生命を死滅させる人類自決指令「6・9(シックス・ナインズ)指令」が発動された。
- 漫画『サイレン戦士』では惑星改造の一環として海水温を上げる処理が行われ、大雨により農作物が壊滅する事態となった。
- アニメ『宇宙戦艦ヤマト』ではガミラス星本土決戦でガミラス側が気圧減圧器で低気圧を発生させ、ヤマトを濃硫酸の海に叩き落とす作戦を実施した。
- 映画『マトリックス』では人類が太陽光をエネルギー源としている機械に対抗するため、ナノマシンを空中に散布して太陽光を遮断したが逆に人類が電池にされてしまう設定になっている。
- 映画『ジオストーム』では気象や気候をコントロールする人工衛星が暴走して気象兵器に成って世界の都市で気象と気候の変動をして世界中が大パニックする。
脚注
- ^ a b c “環境改変技術の軍事的使用その他の敵対的使用の禁止に関する条約”. オンライン条約集. 同志社大学国際法研究室. 2025年2月27日閲覧。
- ^ “多数国間条約集”. worldjpn.net. 2025年8月31日閲覧。
- ^ 杉江, 栄一 (1981). “細菌学的兵器禁止条約および環境破壊兵器禁止条約(資料)”. 中京法学 15 (3): p1–8. ISSN 0286-2654 .
- ^ a b “環境改変技術の軍事的使用その他の敵対的使用の禁止に関する条約(環境改変技術敵対的使用禁止条約) - データベース「世界と日本」”. worldjpn.net. 2025年8月31日閲覧。
- ^ http://pbble.com/doc/DoD-Secretary%20of%20Defense%20William%20S.%20Cohen%20(1997).pdf アメリカ国防総省 DoD Newsブリーフィング:ウィリアム・S・コーエン国防長官 プレゼンター:国防長官William S. Cohen 1997年4月28日午前8時45分
- ^ ジェリー・E・スミス著『気象兵器・地震兵器・HAARP・ケムトレイル』ベンジャミン・フルフォード監訳・解説、成甲書房、2010年[要ページ番号]
- ^ Rahul Rao (2024年11月8日). “No, HAARP can’t create floods, climate change can make heavy rainfall more extreme”. Climate Feedback. Science Feedback. 2025年2月27日閲覧。
- ^ a b 宮本聖二 (2023年3月22日). “地震は人工的な兵器?専門家が人工地震説を解説【ファクトチェック】”. 日本ファクトチェックセンター 2025年2月27日閲覧。
参考文献
![]() |
出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。
|
- ロザリー・バーテル (Rosalie Bertell) 『戦争はいかに地球を破壊するか 最新兵器と生命の惑星』中川慶子、振津かつみ、稲岡美奈子 訳、緑風出版、2005年。ISBN 4846105075
関連項目
外部リンク
- 同志社大学国際法研究室オンライン条約集 環境改変兵器禁止条約
- 東京大学田中明彦研究室 データベース「世界と日本」多数国間条約集
- Non Lethal Warfare Proposal:Weather Modification, The Sunshine Project
- Weather as a Force Multiplier, Owning the Weather in 2025 - 08-004c002.PDF
- Environmental Warfare and Climate Change
- Space Preservation Act of 2001 Federation of American Scientists
気象兵器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 02:28 UTC 版)
「アレックス・ジョーンズ」の記事における「気象兵器」の解説
『マザー・ジョーンズ(英語版)』誌によるとジョーンズは気象兵器説の信者であり、また『Salon』は彼は「大統領は竜巻を作るだけでなく、必要に応じてそれを移動させるころが出来る気象兵器を操作できる」と主張していることを報じた。気象兵器に関する彼の見解は主要メディアで報じられている。彼はまたハリケーン・イルマが地球工学的に創造された可能性があると主張した。
※この「気象兵器」の解説は、「アレックス・ジョーンズ」の解説の一部です。
「気象兵器」を含む「アレックス・ジョーンズ」の記事については、「アレックス・ジョーンズ」の概要を参照ください。
- 気象兵器のページへのリンク