民法第478条を巡る議論とは? わかりやすく解説

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民法第478条を巡る議論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 21:52 UTC 版)

過誤払い」の記事における「民法第478条を巡る議論」の解説

ところで、民法第478条立案時、民法起草委員である梅謙次郎想定していた適用場面は、 債権者死亡し相続人弁済受けたが、実は隠された他の相続人存在した場合 債権譲渡無効取消解除により効力失った場合債権譲受人 など、債権が誰に帰属しているか争いのある場合であったといわれる。この背景には、誤って真の債権者以外の者へ行った弁済取り消し債務者債権を一旦回収してから改め真の債権者弁済しなおすのは煩雑なので、弁済受けた者が直接真の債権者債権を渡すのが良いとの考えがある。 このような立法経緯や、その母法フランス民法1240条)の考え方考慮すると、顧客と全く無縁である第三者への出金本条適用して銀行免責認めるのは不適切である、との批判以前からあった。また、本来債務弁済適用することを前提とした同規定を、預金払戻し適用することは不適当であるとの批判があるし、預金払戻しのみならず貸付金払渡し場面にもこれを適用することは、解釈拡大しすぎているとの批判もある。 しかし、昭和40年代以降裁判所の判断では、まず金融機関出金行為検討加え通帳印鑑真贋確認正しく行われ過失がないと認定すれば直ち本条適用して銀行免責認めるのが主流である。 2003年平成15年)には、現金自動入出機による預金払戻しについても民法第478条適用されるとし、機械処理であることは同条の適用否定しない判示する最高裁判決最高裁平成14年(受)第415平成15年4月8日第三小法廷判決民集574号337頁) - 判決本文出されている。ここから預金者保護法想定する場面以外では、偽造キャッシュカード盗難キャッシュカードによる損失についても、まず銀行の手続の妥当性を問うて、そこに瑕疵なければ免責とする判断なされるものと見られるそのほか、以下のような取引にも民法第478条適用される定期預金期限前解約 定期預金は本来、所定期日まで預けておくものだが、期限前に解約し受け取ることについても民法第478条の適用がある。 貸付金払渡し 定期預金担保とした貸付金や、保険契約者貸付制度に基づく貸付金の払い渡しについても、民法第478条の適用がある。 定期預金担保とした貸付金 銀行預金商品において定期預金担保とした繰越貸付制度当座貸越制度ともいう)が設けられている商品がある。本来は借金個別借入契約手続行い、この過程慎重に本人確認行い権限者への貸付け排除するべきとの主張に対して定期預金期限前解約同視できるという判断、又は自動繰越貸付制度普通預金延長であるという判断から、この貸付金払渡しについても、一定の注意義務果たしていれば民法第478条の適用認める。 特に、自動繰越貸付では、通帳提示印鑑照合のみで貸付け受けられる点から、普通預金同程度注意義務行われた貸付民法第478条の適用認め顧客定期預金貸付金相殺して喪わせる。 保険契約者対す貸付金 生命保険商品によっては、解約返戻金内の所定範囲内貸付を行う契約者貸付制度がある。保険契約者本人なりすました権限者がこの制度に基づく貸付受けて金銭受領して逃亡する事例がある。借り入れに際して個別契約行い、この過程慎重に本人確認義務行い権限者への払い出し排除するべきとの主張に対して約款保険証書提示印鑑提示をもって取引を行う旨定めてあり、その履践過失なければ注意義務果たしたとして民法第478条適用し貸付金と、保険金解約返戻金との相殺認める。 クレジットカードのキャッシング・ローン クレジットカード付帯のキャッシング・ローン機能不正に出金が行われた場合には、所定の期間内届け出ればその被害補填するところが多い。 さらに、ネットバンキングにおける金銭詐取についても、金融機関認証手段講じて本人認めた上で取引付随する損害顧客負担させる旨の約款正当化されるとの指摘もある。

※この「民法第478条を巡る議論」の解説は、「過誤払い」の解説の一部です。
「民法第478条を巡る議論」を含む「過誤払い」の記事については、「過誤払い」の概要を参照ください。

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